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【開発秘話】累計53万個以上出荷されているカネボウ化粧品「スイサイ ビューティークリア ブラック パウダーウォッシュ」

2021.12.22

■連載/ヒット商品開発秘話

 日頃のスキンケアで酵素洗顔は不可欠という女性も多いことだろう。酵素洗顔料で現在、売れ行きを大きく伸ばしているが、カネボウ化粧品の『スイサイ ビューティークリア ブラック パウダーウォッシュ』である。

『スイサイ ビューティークリア ブラック パウダーウォッシュ』は2020年1月に発売された『スイサイ ビューティークリア パウダーウォッシュN』に皮脂除去複合成分を配合。頑固な毛穴汚れや角栓を落とすほか、テカりやベタつきの原因となる過剰な皮脂、くすみの要因となる汚れの蓄積や古い角質まで吸着してからめ取る。

 2021年6月に数量限定で発売したところ、すぐ完売。8月に再度限定発売した後、11月から定番商品化された。先に発売された15個入りトライアルサイズと定番商品化に伴い発売された32個入りを合わせて、これまでに53万個以上出荷されている。

32個入り

15個入りトライアルサイズ

男性にも酵素洗顔の素晴らしさを実感してほしい

 カネボウ化粧品は花王の傘下にあり、研究開発や生産は花王と一本化。『スイサイ ビューティークリア ブラック パウダーウォッシュ』の開発も花王が担当している。担当した東恵広さん(化粧品事業部門 商品事業開発センター スキンケア商品開発部)は、開発の経緯を次のように話す。

「2015年から現在の部署でスイサイブランドの商品開発に携わっているのですが、初めてパウダーウォッシュを使って顔を洗ったら肌がツルツルしたことに驚きました。男性にも効果や素晴らしさを実感してほしいと思い、男性向けのものがつくれないかと考えるようになりました」

 実現を目指すべく男性の肌に関するリサーチをあらゆる角度から実施したところ、男性は女性より2倍近く肌の皮脂汚れが多いことと、若い世代の間で肌をキレイに見せるためメイクをする人が増えてきていることがわかった。以上のことから東さんは、もともとの皮脂汚れに化粧品に含まれる油分がプラスされ毛穴汚れに悩む人が増えてくる、という仮説立てた。

 この仮説を元に東さんは2019年、男性向け酵素洗顔料を起案し社内で提案する。ただ、当時はまだ酵素洗顔料を使っている男性はほとんど見られず、時期尚早な面が否めなかった。

 状況は2020年に変化する。「酵素洗顔料を使っている男性が徐々に現れてきました。2020年に入ってから男性誌などでも話題になり始め、認知がじわじわ広がってきました」と東さん。男性に酵素洗顔料が受け入られる環境ができつつあったことから、2020年秋に開発が最終決定された。

黒を想起させる成分にもこだわる

 開発は順調に進むかに見えたが、剤形がパウダーなことがネックになった。水溶性の成分が使えず、使えるものが数少ない粉由来のものに限られるからだ。

 それに、東さんは洗浄成分について、洗浄力以外に2つのこだわりがあった。

 1つは、わかりやすいもの。よく知られているものやイメージしやすいものを使い、使ってみたくなったり汚れが落ちそうだと思ったりしてもらうようにすることを意識した。

 もう1つは、黒いもの。かっこよさや洗浄力の強さを表すために、中身とパッケージは黒を基調とすることにした。黒といっても、イメージは人工的な印象を持たれないグレーに近いもの。イメージに近いサンプルや画像を研究所に提供したほど、色にはこだわった。

「条件に見合わないものしかなかったら……」という不安が研究者に付きまとったが、洗浄成分の1つにクレイ(泥)を選定した。ただ、「クレイと聞いても泥だとわからない人が多い」(東さん)ことから、炭も使うことに。クレイは粒径が17μmと小さいことから、200μmの毛穴の奥に入り込み汚れを吸着する。一方、炭は多孔質体で、肌表面のベタつきを吸着する効果がある。

 試作は洗顔料にしては多い30回以上。そして、一般的な洗顔料をよりつくるのに時間がかかった。『スイサイ ビューティークリア ブラック パウダーウォッシュ』『スイサイ ビューティークリア パウダーウォッシュN』は花王独自の「顆粒パウダー製法」でつくられているが、「粉を寄せ集めて粒をつくるので完成に時間がかかります。試作では研究員がつきっきりになりました」と東さんは話す。

洗顔1回分のパウダーをプラスチック容器に詰め包装。パウダーとはいっても粒ではなく、花王独自の「顆粒パウダー製法」により粒よりやや大きい顆粒に仕上げている

 競合品に勝り商品化できるレベルに達したところで、社外モニターによるサンプル評価を実施。のべ50名近くの社外モニターの協力を得て2回行なった。

 社外モニターには女性も含まれた。男性をターゲットとした商品で女性にも評価してもらったのは、途中からターゲットに女性を含めることにしたからであった。

 ターゲット変更の背景には、新型コロナウイルスがあった。マーケティングを担当する飯野洋実さん(化粧品事業部門 リージョナルブランドビジネスグループ セルフスキンケアグループ シニアマーケター)は次のように話す。

「新型コロナウイルスによってマスクの装着が欠かせなくなりましたが、当社でコロナ前とコロナ後で肌の状態がどうなったかを調べたところ、女性も顔の皮脂が気になり始めていることがわかりました。毛穴に関する悩みは変わらずでしたが、テカりやベタつきに関する悩みが急増。結果を受けて議論したところ、男女問わずコロナ禍にピッタリなアイテムと意見がまとまりました」

花王
化粧品事業部門 商品事業開発センター
スキンケア商品開発部
東恵広さん
化粧品事業部門 リージョナルブランドビジネスグループ
セルフスキンケアグループ シニアマーケター
飯野洋実さん

サンプリングで発売前にクチコミが拡散

 数量限定で販売を始めたのは、脂性肌向けの商品は毛穴汚れを落とす商品より市場規模が格段に小さいため。市場性があるかどうかを見極めるために、まずは試しに販売し、定番商品にできるかどうかを見極めることにした。

 発売前の4月に、某ECサイトでテカり、ベタつき、毛穴の悩みを持っている3万人にサンプリングを実施。同月からサイトの商品ページに、さっぱりした洗い上がりなどを評価するレビューが書き込まれたことから、発売までにクチコミが拡散し、発売と同時に多くの人が買い求めた。

 クチコミ拡散のほか、ウェブCMやユーチューバーを起用した動画配信など、関心を集める販売施策も奏功。長引くマスク生活で肌のテカり、ベタつき、ニキビのような肌荒れに悩む人が多かったことから、6月に11月に定番商品化することが決まった。当初構想では定番商品化は2022年。東さんは32個入りを大急ぎでつくることになった。

制作したウェブCM。秋冬シーズンの肌のテカり(上)、マスクの蒸れ(下)対策として訴求している

 2回の数量限定販売で出荷されたのは25万9000個。定番商品化後の出荷が急拡大しているが、その要因の1つが花王の営業にあった。飯野さんは次のように話す。

「当社の営業は家庭用品と化粧品で分かれていますが、この商品は家庭用品の営業担当が商談に回ってくれました。この商品は制度品化粧品(メーカーが直接取引契約を結んだ小売店で販売する化粧品)のコーナーではなく、一般の洗顔カテゴリーでメインに展開している商品であり、花王内の他洗顔ブランドを担当する営業が商談を行なったことで、スムーズな配荷につながりました」

取材からわかったスイサイ ビューティークリア ブラック パウダーウォッシュ』のヒット要因3

1.高い洗浄力

 皮脂除去複合成により、毛穴の黒ずみや汚れだけではなく皮脂も落とす。一度使えば肌のテカり、ベタつきが解消できる実感が持て、多くのユーザーを獲得するに至った。

2.インパクトのある見た目

 黒を基調にしたパッケージはドラッグストアのような小売店では目立つ。その分、手に取ってもらいやすかった。

3.コロナ禍で求められた

 長引くマスク生活により、とくに女性で顔のテカりやベタつきといった肌の悩みを抱える人が増加。途中から男性だけではなく女性もターゲットとしたことで、肌で悩む男女から多くの支持が得られた。

 ECサイトのユーザーレビューなどを見ると、洗浄力の高さを評価する声が目立ち、皮脂が多くて悩んでいる人が多いことがうかがい知れる。望まれている商品といってもいいだろう。愛用者の声を受けた改善に向け、今後検討や準備を進めていくという。

製品情報
https://www.kanebo-cosmetics.jp/suisai/products/black_powder_wash/

文/大沢裕司

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