2021年に一大ブームとなったNFTは、IT業界に〝産業革命〟をもたらすどころか、世界経済の有り様をも変えようとしている。なぜ人々はNFTに大きな期待を抱いているのか。またブームは今後も続くのか。黎明期からNFTビジネスに関わり、その成果をYouTubeの「パジちゃんねる」で届ける安宅さんが詳しく解説する。
NFTに熱狂的な視線が集まるのはなぜか?
コロナ禍によってデジタル化が加速した2021年に、デジタルコンテンツによるNFTブームが起きたのは偶然ではない。実は、2017年に一度ブームが起きており、2021年は2回目だ。2017年ではネコを模したキャラクターを育てるゲーム「CryptoKitty」のNFTがその対象だったが、2021年はデジタルコンテンツ全体にブームが広がった。
「まだまだNFTは粗削り状態のテクノロジーです。しかし、コピーされ放題だったデジタルデータに唯一無二の価値をもたらし、リアルな経済活動と同じようにデータを扱える。これが今までできなかった新しい経済活動を生むのです」と安宅さんは解説する。「2022年以降、市場拡大が期待できる『メタバース』とNFTとの相性もよく、バーチャル世界で新たな利益獲得を目指す企業がこぞってビジネスを立ち上げている理由ともいえるでしょう」。
〝デジタルコレクション〟だけではなく、仮想世界でのビジネスに活かせる可能性がさらなるブームを呼びそうだ。
TwitterやInstagramのアイコンが次のNFTブームを呼ぶ!?
安宅さんの読みでは、NFTがより普及するポイントはTwitterなどのSNSで使うアイコン市場だという。「Twitter社がNFTの認証機能をテストするほかすでに『OpenSea』では、SNSで使う正方形サイズの画像が多く扱われています」。Instagramも同様にNFT関連の機能を開発中と、2021年7月頃に噂となった。「投稿に対してつける『いいね!』は、今は無価値ですが、多くの『いいね!』を集める投稿には価値がついて当然です。その価値を実現するのにNFTが使われる可能性があります」
NFTの一番のメリットは「直接課金」ができること!
あらゆるコンテンツをNFT化すると、仲介者が不要で、買い手に直接課金できるようになります。ファンとクリエイターとを繋ぐ以外にも、例えば広告ビジネスで、読者や視聴者が直接、広告主と繋がれるなどの大きな変化が期待できます。
株式会社Tokyo Otaku Mode
共同創業者兼COO
安宅 基さん
どんなNFTコンテンツが売れているのか?
一見すると奇抜とも思えてしまうNFT化した画像に、数百万円、数千万円相当の価格がつくことが日常茶飯事になってきた。「売れているNFTコンテンツには、資産性と流動性があります。例えば『CryptoPunks』というNFTのシリーズがあります。これは1万体しか配布されていないのもさることながら、所有している人のみが加入できるロータリークラブの会員証のような用途があります。そのため内外の富裕層たちがこぞって購入しています。2021年8月には、クレジットカードブランドでおなじみのVISAも購入しました」。安宅さんはこう続ける。「現実世界だと、社交場やビジネスシーンで高級腕時計を身につける人がいます。身だしなみを整える感覚で自分の感性をアピールできますし、『オレ、こんなの持っているぜ』と自慢して承認欲求を満たせる。これと同じことがNFTでも起こっているのです」。
どうやらNFTの背景にあるストーリーが、これから売れるコンテンツの条件になりそうだ。例えば、有名タレントが購入したという情報や、著名クリエイターの子供が小学生にしてNFTコンテンツを作ったという情報が、実際にNFTの付加価値になっている。
●富裕層コミュニティー感を演出する「CryptoPunks」
ドット絵のシンプルなイラストがなぜ?と思うだろうが、NFTアートの元祖ともいわれ、世界中の富裕層からの視線を集める。
NFTの販売情報や投資情報の仕入れ先は〝Twitter〟から
将来的に価値の高まるNFTコンテンツの選球眼を養うにはどうしたらよいか。「Twitter上のNFTコレクターのアカウントをフォローして情報を得るのが手っ取り早いでしょう」。ただし、「NFTを含め仮想通貨界隈は、人を騙そうとする人も多いです。そういう人に限って親切な場合が多いので、情報を鵜呑みにせず自分で調べるクセをつけてください。また、セキュリティーにも人一倍気をつけたいです」と、自己管理の重要性を語る。お金に直結するコンテンツなのかどうか、常日頃から肝に銘じて情報を集めたい。
今、高額でもNFTを買っている人の着眼点
フル・オン・チェーンであること
よく売れて高値がつくNFTコンテンツに限って、シンプルな構図でしかもドット絵で描かれている。データをすべてブロックチェーンに書き込めるためだ。NFTと画像データとを一体で記録している状態を「フル・オン・チェーン」という。高画質で華やかな画像は、元データのURLのみしか書き込めずNFTと一体ではないのだ。
ブロックチェーンの思想に共感
ブロックチェーンには、データを中央で管理する人が存在しない。分散してデータを保持し合うという「自律」の考え方がある。記録したデータを半永久的に保持できたり、ブロックチェーンネットワークに接続した人たち同士でコミュニケーションしたりなど、中央集権とは異なる価値観を持って生活できる点に共感している人たちがいる。
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