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世界の超富裕層を知る投資マイスターが解説する「日本人の金融リテラシー」

2021.12.20

【短期集中連載】世界の超富裕層を知る投資マイスターが解き明かすお金の話

【第5回】「貯蓄から投資へ」の声に踊らない日本人、金融リテラシーは低いのか?

スイスの伝統的プライベートバンクの運用哲学や世界の超富裕層の投資哲学にも詳しい、独立系アドバイザリー・ファーム「アリスタゴラ・アドバイザーズ」代表・篠田丈が、経済ニュースの読み解きから具体的な投資アドバイスまで縦横無尽に語っていく短期新連載。今回は、日本人の金融リテラシーについて取り上げる。

「最低限身に付けるべき金融リテラシー」の4分野とは?

かねてより金融庁や証券業界などが力を入れてきた「貯蓄から投資へ」の掛け声。その背景にあるのは、日本では家計の金融資産約2000兆円の5割以上が預金として滞留している事実です。そこで、家計の金融資産を貯蓄から投資へ移すことで、個人の資産形成を促すとともに、日本の金融市場を活性化し、海外からの資金も呼び込もうと言うのです。

また、「貯蓄から投資へ」の掛け声とともによく言われるのが「金融リテラシー」です。リテラシー(Literacy)とはものごとを読み解く能力のことで、金融リテラシーとは金融に関する知識や情報を正しく理解し、主体的に判断することができる能力のことです。

具体的に、金融庁は「最低限身に付けるべき金融リテラシー」として、

①家計管理
②生活設計
③金融知識及び金融経済事情についての理解と適切な金融商品の利用選択
④外部の知見の適切な活用

という4つの分野に分け、さらに適切な収支管理やライフプランの利用など合計15項目を挙げています。

なぜ金融リテラシーが必要かという理由について、金融庁では「国民一人ひとりが、より自立的で安心かつ豊かな生活を実現するため」としています。現代社会では、生活していくうえで金融との関わりを持つことは避けられません。だから「生活スキル」として、金融リテラシーを身に付ける必要がある、というのです。

「国民一人ひとりの金融リテラシーが向上すれば、結果として、健全で質の高い金融商品の提供の促進や、家計金融資産の有効活用にもつながり、公正で持続可能な社会の実現に役立ち得る」と言います。

現実離れした「金融リテラシー・マップ」

確かに、「貯蓄から投資へ」とか「金融リテラシーを身に付ける」というのは、総論としてはその通りでしょう。銀行預金には金利がほとんど付きませんし、世の中には様々な金融商品や投資商品が溢れ、中には怪しげなものも少なくありません。いまだに高齢者などを狙った詐欺事件も多発しています。

しかし、実際にどのような金融商品を選べばいいのか、具体的に金融リテラシーとはどのようなものなのかという具体論になると、とたんに話がよく見えなくなっていきます。

金融庁では「金融リテラシー・マップ」というものをまとめていて、上記の「最低限身に付けるべき金融リテラシー」の4分野について、年齢層別に具体的な内容を挙げています。

それを見ると、例えば、中学生の「③金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択」の分野では、「資産形成商品」について「リスクとリターンの基本的な関係について理解する」「期間と金利の関係を知り、継続して貯蓄に取り組む態度を身につける」とあります。

「リスクとリターンの基本的な関係について理解する」ことはまさに投資で最も重要な点ですが、残念ながら大人でもきちんと理解しているケースはまれです。それに対して、「期間と金利の関係」と「継続して貯蓄に取り組む態度」はあまり関係ないように見えます。

そもそも、中学生がそんな理解や態度を身に付けることは無理ですし、ほかにもっと学ぶべきことがたくさんあるはずです。個人的な意見ですが、他の項目も含めて、「金融リテラシー・マップ」は“絵に描いた餅”という印象をぬぐえません。

個人の金融資産はバブル崩壊後、2倍に増加

そもそも、日本の家計の金融資産はバブルのピーク時だった1990年に約1000兆円でした。その後、「失われた30年」と呼ばれるデフレ経済が続きましたが、いまは約2000兆円と倍に増えています。

一方、株価は1989年の12月末に3万8915円87銭の最高値を付けてから大きく下落し、最近ようやく30年ぶりに3万円を超えたといってニュースになっている状態です。ちなみに、ヨーロッパやアメリカの株価は、この間におおむね2~3倍に上昇しています。

結局、デフレ経済のもとでは、銀行預金こそが資産を減らさない最良の運用方法だったのです。それに、日本の金融機関が提供する金融商品や金融サービスの質が低いままだったこともあるでしょう。手数料ばかり高い投資信託やラップ口座、株式や投資信託の回転売買ばかり勧める営業担当者などです。

そう考えれば、日本人の「金融リテラシー」は結果的に、意外に高かったのではないでしょうか。あるいは、「金融リテラシー」などという小難しいことを知らなくても、多くの日本人は直感的に正しい判断をしていたのです。

「金融リテラシー」に一番必要なのはバランス感覚

では、これからも金融資産の大部分を銀行預金にしておけばいいのか、直感的に運用方法を選択すればいいのかといえば、それはまた別の話です。巨視的に見ればここ40年ほど、日本だけでなく世界中で金利はほぼ一貫して低下してきました。そしていまや、日本だけでなく欧米でも長期金利がほぼゼロかマイナスというところにまで来ています。

金利がマイナスというと、「金利を払ってお金を預けるのか?」と思われるかもしれませんが、そんなことはなくて、実際には預金の出し入れや口座の維持に手数料(銀行はこの部分で調整したいと思っている)がかかる分、マイナスになるということです。(欧州のプライベートバンクでは一部でマイナス金利を取っているところがあります。)

しかし、こうした金利低下もそろそろ底打ちではないかと思います。コロナ禍が落ち着いて経済活動が再開する中、世界的に半導体やエネルギーなどの供給不足から、物価が上昇傾向にあります。これが本格的なインフレにつながるかどうかはまだ、はっきりしませんが、ゼロ近辺に張り付いている長期金利がこのままというのは考えにくいように思います。

つまり、巨視的に見て、金利が反転上昇トレンドに向かう可能性を頭に入れておくべきでしょう。また、ここにきてネット証券やIFAなどの一部で、質の良い金融商品や金融サービスを提供しようという動きも出てきたように感じます。そうなると個人投資家が、「金融リテラシー・マップ」のような細かい話ではなく、広い視点で「金融リテラシー」を高めることが当然、必要になってきます。

金融リテラシーで一番大事なのはバランス感覚

では、何から始めればいいのでしょうか。ここではいくつかヒントを挙げておきます。

まず、具体的な投資手法や投資商品について調べるのは後回しでいいです。そもそも、投資のやり方に正解はありません。それぞれの投資家の性格やリスク許容度、市場の環境などによって変わってくるからです。まずは、「市場の先行きは誰にもわからない」ということと、「リスクとリターンは結局、比例する」ということをしっかり認識しましょう。

市場の先行きは誰にもわからないとはいえ、金融市場のこれまでの歴史を振り返っておくことは有益です。1990年の日本のバブル崩壊、2000年のネットバブル崩壊、2008年のリーマンショックといった金融危機の経緯を今一度、調べてみてください。

リスクとリターンの関係については、「ノーリスクで確実なリターンをうたうのは詐欺」であり、「リスクとリターンは一時的に乖離することもあるが、結局は一定のところに落ち着く」ということを頭に入れてください。

その上で、自分の性格を振り返ってみるのもよいでしょう。よく「日本人は農耕民族だから投資には不向きだ」ということを言う人もいますが、私は違うと考えています。

日本人はどちらかというと、「石橋を叩いても渡らない」タイプと「ついカッとなって我を忘れてしまう」タイプの両極端に分かれる感じがします。投資の目的が、一攫千金を狙うことであれば(その場合は投資ではなく投機というべきですが)、私が言うことは何もありません。

そうではなく、投資の目的が、将来の生活の安定ということであれば、バランスを心がけてください。つまり、「生活の安定」は投資のみで確保すべきものではなく、そこには、働くことによる収入やそれに伴う税負担、また社会保障なども関係してきます。投資はあくまで、生活の安定や経済的な自立を実現する手段のひとつです。

ところが、日本人は税制度や社会保障についての理解が弱いようです。そのため、「税金を払うのは無駄」とか「年金は必ず破綻する」といった極端な議論に行ってしまい、一攫千金のような投資話に飛びついたりします。投資において、バランスはとても重要です。バランスを欠いた投資は決してうまくいきません。

日本人の「金融リテラシー」に一番必要なのは、お金と社会の仕組みについてバランス感覚を磨くことだと思います。

取材・構成/フォーウェイ(https://forway.co.jp/)仲山洋平、古井一匡

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文/篠田 丈

シノダ・タケシ。アリスタゴラ・アドバイザーズ代表取締役会長。日興証券ニューヨーク現地法人の財務担当役員、ドレスナー・クラインオート・ベンソン証券及びINGベアリング証券でエクイティ・ファイナンスの日本及びアジア・オセアニア地区最高責任者などを歴任。その後、BNPパリバ証券で株式・派生商品本部長として日本のエクイティ関連ビジネスの責任者を務めるなど、資本市場での経験は30年以上。現在、アリスタゴラ・グループCEOとして、日本、シンガポール、イスラエルの拠点から、伝統的プライベートバンクと共に富裕層向け運用サービスを展開、また様々なファンドを設定・運用、さらにコーポレートファイナンス業務等を展開している。https://aristagora.com/


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