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【サステイナブル企業のリアル】「紙を使った自然由来の素材はプラスチックごみ問題を解決するひとつの答えです」カミーノ代表・深澤幸一郎さん

2021.12.06

地球環境の保全に配慮、持続可能な社会発展に貢献する製品や企業を紹介するシリーズ、「サステイナブルな企業のリアル」。今回はプラスチックのお話だ。化石燃料資源由来の原材料をほぼ植物由来にし、99%が土に戻るプラスチックを開発した会社の物語である。

株式会社カミーノ、代表取締役深澤幸一郎さん(52)。世界中でSDGsの目標達成が叫ばれる中、ペットボトルや石油由来のプラスチックごみが海洋汚染をはじめ、環境に負荷を与える元凶の一つとなっている。深澤さんたちが開発した「パプラス」という製品は、プラスチックの原材料を99%植物由来成分にした。リサイクルが可能で、土の中に埋めれば3~5年で水と二酸化炭素に分解する。石油由来のプラスチックのように環境への負荷がない、画期的な素材なのだ。今回はパプラス誕生までの試行錯誤のストーリーである。

原爆記念公園寄贈の千羽鶴をリサイクル

山梨県出身の深澤は英語が得意だ。高校時代アメリカに留学した経験がある。大学を卒業して外務省に入省。研修はイギリスでガーナ、リベリア等、アフリカのいくつかの国に赴任。東京に戻り、海外向けの広報の仕事を担当した。

――申し分ない職ですね。なぜ外交官を辞めて独立したのですか。

「決まりきった役人の仕事より新しいことをやりたい。人と会うのが好きですし、日本と海外の橋渡しのようなことがしたかったんです」

9年間勤務した外務省を退職、当時普及しはじめたインターネットを通して、国内外の企業や団体のPRやコンサルタント等を担う会社を立ち上げる。小規模な会社だが仕事は順調だった。だが「デジタルの仕事を10数年やってきて、人と直接会って、リアルなモノを手掛けたいと、漠然と思っていたんです」

深澤は知り合いが手掛ける、牛乳パック等のリサイクルに注目する。

「これからはサスティナビリティが重視される時代です。その視点を考慮に入れて、事業を考えていきましょう」彼はそんな考えを伝えていた。

ほどなく広島市での折り鶴のリサイクルの情報が舞い込む。広島市平和記念公園内の“原爆の子の像”には、平和の願いを込めた千羽鶴が国内外から毎年1千万羽、10tも贈られる。その折り鶴を活用できるアイデアはないか、そんな広島市の呼びかけだった。

“ジャポニズム”の丸い扇子

千羽鶴はテグスなどで束ねてある。牛乳パックのリサイクルを手掛ける知り合いは、異物を自動で取り除ける機械を持っていた。早速、千羽鶴のリサイクルに手を挙げる。企業の宣伝広告のノベルティーとして折り鶴をうちわにしても、ごみ箱に直行では単なるゴミに代えるだけで意味がない。さて何がいいのか。

そんなある日、関係者の一人がフランスのノミの市で手に入れた丸い扇子を披露する。丸い扇子は100年以上前に欧州で起こった「ジャポニズム」といわれる日本ブームを意識し、1920年代に作られたもので、着物や扇子がデザインされていた。

「折り紙の再生紙でこれを作ったら、面白いんじゃないの」

「これなら大切に使ってくれるだろう」

スタッフの提案を採用し、『PEACE』の文字をデザインした丸い扇子を製作した。 

この扇子をミラノのデザイン展に出品し評価されて、欧州の有名ブランドが、自社のノベルティーとして採用する。深澤たちが製作した丸い扇子は、注目される一つの成功例となった。

「たまたま、紙というお題をもらったので」

2010年代半ば、深澤はネット中心のPRやコンサルタント等の業態から、開発・製造業へと大きく舵を切ることになる。

――紙を使って何か作ろうと?

「紙から紙の再生では新鮮さがない」

――例えば古紙を布に再生するとか。

「紙から布を作るのは大変で、大手レーヨンメーカーもその事業から撤退したほどです」

――深澤さんはプラスチックに目をつけるわけですが、そのきっかけを教えてください。

「十数年前のことですが、ドイツやフランス等で驚かされたのは、量り売りの店が多かったことです」

強度を増すため、紙に何を混ぜるか?

当時、知り合いのヨーロピアンと、こんな会話をした覚えがある。

「先進国が何で目方売りなの?パッケージに入れた方が清潔だし効率もいいし……」

「何言ってんの?石油由来のプラスチックの廃棄物が海洋汚染や、CO2排出による地球温暖化に影響を与えている。プラスチック製のパッケージなんて、考え方が遅れているよ」

――そんな話に、深澤さんはうなずいた?

「当時はピンときませんでしたが、数年前からプラスチック廃棄物による地球温暖化と海洋汚染が、ヨーロッパを中心に盛り上がって。2015年に国連サミットでSDGsが採択されましたし、日本にもこの波は必ず来ると」

外務省時代の海外勤務で目にした、途上国のプラスチックゴミの山や東南アジアでは日本語で書かれたペットボトルのゴミの山がまぶたに焼き付いている。環境破壊につながるプラスチックゴミの元凶は、石油等の化石燃料由来の原材料にある。これを紙に代えることができないか。

「紙は木からできている自然由来のもので、土に埋めれば最終的に二酸化炭素と水に分解されます」紙を使った自然由来の素材は、プラスチックゴミの環境破壊を解決する一つの答えだと深澤は確信する。

――しかし、紙は柔らかい。プラスチックのような強度を出すにはどうすればいいのか?

「紙に何かを混ぜれば強度が出る。強度さえ上げれば、既存のプラスチックのように何でもできると思ったんです」

さて、紙に何を混ぜるか。

微生物によって完全に消費され、炭酸ガスや水等に分解する生分解性の材料。それはわかっていたが、従来の石油由来の原材料とは違い、生分解性樹脂は成形が難しい。

その悪戦苦闘ぶりとブレイクスルーの物語は、明日公開する第2回目でたっぷり詳しく。乞うご期待。

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama

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