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がんを見ながら治療できる!?千葉大医学部附属病院に国内初導入された高精度放射線治療装置「Elekta Unity MRリニアックシステム」の革新性

2021.12.06

がん治療技術が年々、進化している。からだに優しい放射線治療は国内でも増加傾向にあるが、さらに有意義な治療のできる最新治療装置が千葉大医学部附属病院で国内初導入された。その高精度放射線治療装置「Elekta Unity(エレクタユニティ)MRリニアックシステム」により、今後、日本の放射線治療はどう変わるのか、そして患者のメリットを探る。

放射線治療の現状と概要

千葉大医学部附属病院に高精度放射線治療機器「Elekta Unity MRリニアックシステム」が導入され、先日、その報告がされた。その中で、千葉大学大学院医学研究院 画像診断・放射線腫瘍学の教授 宇野隆氏により、放射線治療の現状や導入された治療機器についての解説がされた。その一部を紹介する。

●放射線治療の現状

日本国内におけるがんの放射線治療は世界的にみて遅れているという。

米国ではがん患者の66%に、ドイツは60%、英国は56%に放射線治療が適用されていると報告されている。しかし日本では現在でも放射線治療が適用されるケースは25%にとどまっているのが現状だという。

そうした中、国内でも放射線治療が適用される患者数は増え続けている。現在、日本で放射線治療を受ける患者数は27万人ほど。過去20年で2.5倍になった。主に外来通院で治療しており、2025年には34万人を見込む。

放射線治療の高精度化が進むことで治療成績は向上し、副作用の軽減も達成されてきた。これから向かう超高齢化社会の中で、からだに優しい放射線治療の適用患者数はさらに増加することが予想される。

●放射線治療とは何か

放射線治療は、がんに集中的に放射線をあてることにより、がん細胞にダメージを与え、死滅させる治療報告。再度増殖するのを防ぐためにすべてのがん細胞に照射するが、周囲の正常組織も放射線のダメージを受けることになる。正常細胞が回復するための時間を待って、適切な量の放射線を繰り返し照射することで、正常組織のダメージを最小限にする。

放射線治療に用いる機器は複数種類ある。外部照射と内部照射といった照射方法の違いや、放射線の種類の違い、放射線の生成方法によって分けられる。

国内外で最も一般的な治療装置は、「リニアック(直線加速器)」という体の外側から患部に照射して治療する機器。

近年では、治療前に患部の位置を正確に確認するために、CT画像を取得できるリニアックが普及しており、治療直前に取得した画像で照射位置を補正・確認する画像誘導放射線治療が一般的になっている。また、CTよりも軟組織の臓器やがんなどを確認しやすいMRI画像が取得できる、「MRリニアック」と呼ばれる新しいリニアックも登場している。

放射線治療装置が進化!「Elekta Unity」とは

「Elekta Unity MR リニアックシステム」と千葉大学大学院医学研究院 画像診断・放射線腫瘍学の教授 宇野隆氏

その「MRリニアック」の一つが、オランダ・ユトレヒト発の高精度放射線治療機器「Elekta Unity MR リニアックシステム(以下、Elekta Unity)」だ。

MRリニアックは、MRIと放射線治療装置(リニアック)が一体化したもの。治療ビーム照射中の体内がMRIによる見えるようになる。

宇野氏によれば、Elekta Unityは従来のCT画像ではなく、高磁場MRIによって治療直前および照射中に患部を可視化できるため、リアルタイムで、その日の腫瘍と重要臓器の位置や輪郭をより正確に把握し、日々の状況に適応させた照射ができるという。この結果、近接する正常組織の副作用を抑えながら、がんの局所制御率を改善できる可能性があるという。

まさに「放射線治療中の体内の見える化」を実現した画期的な画像誘導技術であると言えると宇野氏。また、治療上、患者の負担を軽減することができるそうだ。

Elekta Unityは、2017年5月に世界で初めてオランダ・ユトレヒト大学医療センター(University of Medical Center Utrecht )で導入、治療がスタート。日本では2019年5月に製造販売承認を取得し、販売を開始した。現在、千葉大学医学部附属病院・東北大学病院・大阪市立大学医学部附属病院(治療開始予定)に導入されることが決定しており、2021年12月初旬に日本で最初の治療が千葉大学医学部附属病院で開始される予定にある。

Elekta Unityは、2021年10月時点で、世界27ヶ国で100台以上受注があり、そのうち、37台がすでに治療に使われているという。

MR画像誘導放射線治療を用いることで変わる治療の未来

Elekta Unityにより、今後、放射線治療はどう変わるのか。

宇野氏は、画像誘導技術のパラダイムシフトだとし、がん放射線治療が「見える化」。病巣の動きを見ながら正確に放射線を照射することができるという。

また、アダプティブ プランニング(即時適応放射線治療)が可能となる。放射線治療は1か月以上にわたり、連日、治療を行うことがあるが、治療期間中に体重減少や治療の効果による腫瘍の縮小が起きる場合がある。そうした状況に対して、最善な方法で放射線治療を行うために、照射方法などを再度検討することがある。これを適応放射線治療と呼び、通常はこの作業に数日を要する場合があるが、MRIを用いることで腫瘍の縮小等に対応し、それらを加味した最適な放射線治療を行うことかできる。つまり、その日の状態や状況に合わせたプラン最適化が図れるというわけだ。

正確性、即時性、リアルタイム性、レスポンス評価・適応がしやすくなり、機能プランのプランニングが向上するなどのメリットが見込める。

Elekta Unityによる患者メリット

Elekta Unity導入により、実際に放射線治療を受ける患者にはどのようなメリットが見込めるか。宇野氏は次の点を挙げる。

「腫瘍位置を同定するために、マーカーを埋め込む必要がなくなることや、放射線治療の照射の回数が減ることで、患者さんの負担が減ります。照射回数が減ることは、今までより早く治療を進めることができることにもつながります。

また画質の良いMRIで体内をリアルタイムで見ながら病巣や正常組織を確認して照射することで、近接する正常組織への線量を低減することができます。さらに、放射線被ばくの体積と線量を減らすことで、副作用を抑えながら、がんの局所制御率を改善できる可能性があるため、治療効果・生存率向上が期待できます」

今後、生存率の向上は臨床試験で示されていくという。

前立腺がんや直腸がんに効果が期待される

Elekta Unityによる治療に期待がかかるがんは、どんながんか。

Elekta Unityでは、1.5テスラMRIシステムというMRIで描出できる腫瘍のほとんどが治療の対象となる。特に、前立腺がん、直腸がん、少数転移、肝臓がん等、体幹部の軟組織腫瘍の治療においてその効果が期待されているそうだ。また、膵臓がん、中心型肺がんなど、今まで治療が難しいとされてきたがんに対しても臨床研究が進められており、高い治療効果が期待されている。

Elekta Unityの2021年6月末時点の治療実績では、特に、前立腺がんが圧倒的に多いことが分かっている。その理由はどんなことにあるのか。宇野氏に見解を聞いた。

「前立腺がんは男性のがんとして最も多いがんで、患者数も多いです。早期の前立腺がんに対する放射線治療は手術と同等の治療成績であるにもかかわらず、これまでそれを知らされずに手術を受ける患者が多かったのです。放射線治療は手術と比較して尿漏れや男性機能の低下などの治療後の合併症が少ない治療ですが、短所の一つに、4週から7週間要するという治療期間が長いことが挙げられていました。その点、MRリニアックによる治療では、照射の回数が5回以内となるため、通院回数が大幅に減り、患者さんにとって非常に受けやすい治療となります」

放射線治療が進化しただけでなく、これまでの「がん治療=外科手術」のイメージも変化していくかもしれない。からだに優しく、患者負担も少ない、MRIリアニックによる放射線治療に、今後、期待したい。

取材・文/石原亜香利

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