
ネット上に誕生した〝新しい金融〟に、投資マネーが集まっている。仮想通貨を基軸にした仕組みにより利回りは最大で数千%にも上るというが、なぜそんなことが可能なのか。そして普及すると、私たちの生活はどう変わるのか?
自動取引で手数料が安い仮想通貨を使った〝新しい金融〟
円やドルを一切使わず、仮想通貨(暗号資産)だけを貸し借りする金融サービスがネット上に存在する。そこでは24時間365日、貸し借りが行なわれている。
一般的な金融では証券会社や銀行がその運営を行なうが、このサービスには管理者が不在だ。そのため人件費がかからず、手数料は最安で数円程度と格安。その半面、取引はすべて自己責任であり、トラブルが起きても補償はない──これが、DeFi(Decentralized Finance=分散型金融)の姿である。具体的には、最も代表的な仮想通貨である「ビットコイン(BTC)」を貸し出して、年間1〜2%の利息が仮想通貨で得られる。
DeFiは、技術に明るい有志によって2014年頃に誕生した。
巨額の投資マネーが集中し(左下グラフ)、その年間利回りは最大で数千%に上るなど、既存の金融では考えられないようなことが起きている。そのため、金融庁や日本銀行も調査レポートを発行するなど積極的に調査を進めており、注目度の高さが窺える。
DeFiの根幹技術には「ブロックチェーン」と「スマートコントラクト」が用いられている(詳細は上掲図解)。すべて自動で行なわれるからこそ、契約の不履行もなければ、利息の支払い漏れなども存在しないといわれている。
もちろん、メリットばかりではない。DeFiに詳しい野村総合研究所上級コンサルタントの周藤一浩さんが解説する。
「現在はこのサービスの将来性に期待する人たちの投資マネーが集まっていますが、機械任せということは、何かプログラムに不具合が見つかった場合、サービスが停止してしまう恐れがあります。するとそこで通貨のように使われている暗号資産の価値が急落するなど、既存の金融とは異なるリスクをはらんでいます」
■ DeFiに流入する資金総額は右肩上がり2020年下期からの取引量増加が顕著。「Compound」というDeFiサービスで使う仮想通貨が急騰し、ブームの火付け役となった。
取材・文/久我吉史
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構成/DIME編集部