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【開発秘話】シリーズ累計131万本を販売しているmatsukiyo「ヒルメナイド」シリーズ

2021.12.03

■連載/ヒット商品開発秘話

 冬が深まるにつれて気になるのが乾燥肌。肌を乾燥から守るため、保湿剤が手放せない人も多いことだろう。

 保湿剤で売れ行き好調なのが、全国のマツモトキヨシグループとココカラファイングループ、それぞれのオンラインストアで販売されている『matsukiyo ヒルメナイド』シリーズである。2018年9月に発売された『matsukiyo ヒルメナイド』シリーズは、ヘパリン類似物質を採用。油性クリームに始まりローションなどとラインアップを拡大し、これまでにシリーズ累計131万本を販売している。

ヒルメナイド油性クリーム

社会問題に端を発した開発

 企画されたのは発売の1年ほど前。背景には、医療機関で処方されるヘパリン類似物質含有医療用医薬品が、健康保険財政を圧迫しかねないと社会問題にまで発展し、2018年春に処方制限案まで発展させる事態があった。ドラッグストアの使命であるセルフメディケーション推進の観点から、医療で必要としている人たちが不利益を被らないようにするため、自社のプライベートブランド(PB)からヘパリン類似物質を含有した皮膚疾患薬を発売することにした。

 マツキヨココカラ&カンパニーグループでグループのマーチャンダイジング戦略の策定・実行などを担うMCCマネジメントで、『matsukiyoヒルメナイド』シリーズの開発を担当した櫻井壱典氏(営業企画本部商品開発部商品開発課 課長)は次のように話す。
「医療用医薬品が保険適用外になると、本当に必要としている人たちの自己負担が大きくなります。これは悲しいことです」

MCCマネジメント
営業企画本部商品開発部商品開発課
課長
櫻井壱典氏

 医療機関で処方されるヘパリン類似物質含有皮膚疾患薬には様々な剤形があるが、『matsukiyoヒルメナイド』シリーズはまず、油性クリームをつくることに強くこだわった。その理由は、医療機関では一番多く処方される剤形だがOTC医薬品ではほとんどなかったため。医療機関で皮膚疾患薬を処方されたことがある人にはなじみがあった。

 油性クリームはテクスチャーが固めで、皮膚の温度で溶け浸透する。OTC医薬品は万人受けすることを目指して開発するので、誰にでも受け入れられる使用感を意識するとベタベタする剤形は選ばれにくい。これがOTC医薬品で油性クリームが少ない理由だが、櫻井氏はもう1つ、大きな理由を挙げる。

「いろんな人に受け入れられるものを目指すと複数の成分を使うことが珍しくありませんが、油性クリームは複数の成分を使ってつくるのが技術的に難しいです」

パートナー探しに3か月費やす

 こうした事情から、日本には油性クリームをつくっている企業が少なく、櫻井氏があたったのも数十社にとどまった。

『matsukiyoヒルメナイド』の油性クリームは単一処方製剤だが、櫻井氏には複数の成分を配合した油性クリームを将来発売したいという構想があった。この構想に理解を示し協力してくれることが、パートナー選びでは重要なポイントになった。

 パートナーを探し始めてから約3か月後、ジャパンメディック(富山市)が協力してくれることになった。ジャパンメディックは医薬品各社が発売するOTC医薬品の企画・開発・製造を行なっており、ヘパリン類似物質含有の油性クリームも開発済み。数年がかりで製造上の課題を克服し、自社ブランドで油性クリームを製造販売していた。「当時、ここまで準備できているところは他にはありませんでした」と櫻井氏は話す。

『matsukiyoヒルメナイド』の油性クリームは、ジャパンメディックが組んだ処方を活用。製造と並行し、複数の成分を配合した油性クリームの開発に着手した。

年間販売目標を1.5か月で達成

 油性クリームは予想以上に売れた。当初の年間販売計画は、水性クリームの年間販売実績の1.3倍程度としていたが、発売開始から1.5か月で達成。発売に関する報道発表が数多くのメディアで取り上げられたことから発売開始と同時に猛烈な勢いで売れ、一時期は商品供給が滞ったこともあった。

 複数の成分を配合した油性クリームの開発・試験は続いていたが、完成するまでに他の剤形の販売が先行する。2019年6月にヘパリン類似物質の単一処方製剤によるローションと油性クリーム大容量タイプ、2020年9月にローションの使用感をさっぱりしたものにしたローションライトが発売された。

ヒルメナイドローション

ヒルメナイド油性クリーム 大容量タイプ

ヒルメナイドローションライト

2つの画期的なアイテムを開発

 複数の成分を配合した油性クリームは、2021年2月に油性クリームプラスとして発売される。ヘパリン類似物質に加え、乾燥などで荒れた肌の修復を促す2つのビタミン(トコフェロール酢酸エステル、パンテノール)を配合した。

「油性クリームの後に発売したかったので、本当は1年ほど早く発売したかったです」と櫻井氏は振り返るが、販売が遅れたのは開発が難航したからに他ならない。処方を組んでは試験を繰り返したが、うまく均一に分散させるのは困難だった。

ヒルメナイド油性クリームプラス

 油性クリームプラスは技術的に難易度が高いので実現しただけで画期的だが、2021年はこの他にも『matsukiyoヒルメナイド』シリーズから画期的な商品が生まれている。それは9月に発売された軟膏である。

ヒルメナイド軟膏

 軟膏は当初の構想にはなかったが、SNSで油性クリームを塗った後に白色ワセリンを塗っているという投稿がかなり見られたことから開発することにした。

「肌の乾燥がヒドい方は、保湿力をアップさせるためにこういう使い方をすることもあるようなので、軟膏もつくることにしました」と櫻井氏。ただ、開発は難航した。

 難航した理由は、水溶性のヘパリン類似物質を油性のワセリンに均一に分散させるのが難しいため。「軟膏は1から処方を組んだのですが、組んだ処方を一定期間置いて均一に分散しているかどうかを確認するために、どうしても時間がかかります。水と油に分離してしまわないようにするのは大変でした」と櫻井氏。処方を組んでは試験することの繰り返しだったが、製造時に特殊な工程を追加することで、長時間均一に分散した状態を維持できるようになったという。

 また2021年11月には、シリーズ初のビューティーラインになる薬用ボディミルクローション(医薬部外品)を発売した。コロナ禍でセルフスキンケア関連の商品の売れ行きが伸びていることを受けてつくられたもので、全身に使えるよう容量を300gとしポンプボトルを採用した。

ヒルメナイド薬用ボディミルクローション

取材からわかった『matsukiyoヒルメナイド』シリーズの開発要因3

1.先に油性クリームを発売した

 薬を使ってもらうためには、使用感が重要になる。その点油性クリームは、塗って時間が経つと肌になじんでくるところがあり、浸透する実感が得られる。効果を感じやすく、乾燥肌に悩む人たちの心をつかむことができた。

2.効果が期待された

 油性クリームは医療用ヘパリン類似物質含有皮膚疾患薬の中では最も多く処方されている剤形。お世話になっている人も多いが、OTC医薬品ではほぼ見当たらない。この剤形をOTC医薬品にラインアップしたことで医療機関が処方する薬と同じ効果が期待され、手が伸びた。

3.発売に社会的意義があった

 ヘパリン類似物質含有皮膚疾患薬が健康保険財政を圧迫しかねない社会問題にまで発展した方を受けて開発。社会問題の解決に少なからず貢献するので発売自体に大きな意義があり、賛同が得られた。

 発売から3年経過したが、冬になるとSNSで、画像とともに「お世話になっています」といった投稿が見られるようになったという。定着しリピーターがついていることの表れだが、『matsukiyoヒルメナイド』シリーズの市場投入は、ドラッグストアの使命であるセルフメディケーションの推進を進める小さな一歩になった。

製品情報
https://cp.matsukiyo.co.jp/pc/hirumenaido/

文/大沢裕司

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