
気取らない屋台料理にこそ、その国らしい魅力が詰まっているのかもしれない。
Netflixで独占配信中の『ストリート・グルメを求めて: アジア』(2019年)、『ストリート・グルメを求めて: ラテンアメリカ』(2020年)は、現地の人々から愛される素朴な屋台料理を紹介するフード・トラベル番組。
あらすじ
アジア・南米各国の屋台料理を紹介するだけでなく、作っている現地の人々の暮らしや人生にもスポットを当てる。
アジア編は、タイ・バンコク、日本・大阪、インド・デリー、インドネシア・ジョグジャカルタ、台湾・嘉義市、韓国・ソウル、ベトナム・ホーチミン市、シンガポール、フィリピン・セブの全9話。
ラテン・アメリカ編は、アルゼンチン・ブエノスアイレス、ブラジル・サルヴァドール、メキシコ・オアハカ、ペルー・リマ、コロンビア・ボゴタ、ボリビア・ラパスの全6話。
見どころ
安価でカジュアルな屋台料理は、格式高い高級料理とは違って、調理人にスポットライトが当たりにくいジャンルだ。
しかし、地域の人々の食と笑顔を支えているという誇りに満ちた店主たちの表情はみな輝いており、その言葉も重い。
日本・大阪の回では、京橋にある築元豊次さんの“居酒屋とよ”を取材している。
鹿児島県喜界島出身の築元さんは、15歳の時に集団就職で大阪にやってきた。昼夜を問わず働き続けて貯金を貯め、念願の自分の店をオープンする。
料理の美味しさだけでなく、明るく元気な築元さんの人柄に惹かれて訪れる客が多いそう。
苦労を見せず、いつも笑いやユーモアを大切にしている築元さん。
しかし冒頭のインタビューでは、真剣な表情で「自分を海の動物に例えるとしたらクジラだと思いたいです。強くなければ自分の流れは作れません。流されるままに流れてもいい結果はでません」と語っている。
いつも“アホなこと(面白いこと)”を言って明るく笑っていることこそが、強さや自信、そして生命力の現れである。
そんな大阪人の美学が垣間見えるエピソードだ。
親しみやすいグルメを紹介する番組としては、同じくNetflixの『サクッと揚げたて!フライ天国』もオススメ。揚げ物のサクサク音が耳に心地よく、癒し効果も抜群だ。
Netflixシリーズ『ストリート・グルメを求めて: アジア』、『ストリート・グルメを求めて: ラテンアメリカ』
独占配信中
文/吉野潤子