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「そのうち…」と思っていても忘れ去られてしまうのはなぜ?

2021.11.30

 歩く先にあるテイクアウトのから揚げ店を見て、すっかり忘れていたことを不意に思い出した。思い出さなかったらそれまでという他愛ないことなのだが……。

途中下車した要町の賑やかな通りを歩く

 時間の空いた時にはなるべく歩くことを自らに課していることもあり、練馬区某所からの帰路、東京メトロ有楽町線を要町で降りた。すっかり夜が更けているが、店が並ぶ表通りは華やかだ。今日はもう急ぎの用事もないので、あたりを少し歩いてみたい。どこかで何か食べて帰ってもよいのだろう。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 日が沈んでからも街が明るいのはやはり安心感を抱かせる。歩く足取りもそのぶん軽くなるというものだ。

 各種店舗の営業がこうして通常に戻ってくると、会食や飲み会などの話も持ち上がってくるのだろうが、今年は忘年会や新年会をやらない企業が多いことが最近のニュースで報じられている。これもコロナ禍がもたらした社会の変化なのだろう。

 通りの中華料理店では店先のテーブルにブラ容器に詰めた総菜が積み上げられていて、お店の人が道行く人に声をかけていた。惣菜をテイクアウトして家で飲むのも悪くはないのだが、なにぶんにも“宣言”中は部屋で食べたり飲んだりすることが多すぎてやや食傷気味でもあることは否めない。

 池袋とは反対方向へ通りを進む。どこかで引き返すことになるが、少し歩き続けてみたい。

 忘年会や新年会をやらない企業が増えているにしても、プライベートやプライベートに近い関係者の間では徐々に会食や飲み会が増えてくるだろう。個人的にも「コロナが落ち着いたら」という案件がいくつかあるのだが、いずれも宙に浮いたままである。幹事的な取りまとめる人物が設定されているのかどうもわからない。このまま何も進展がなく、話が立ち消えになったとしてもまったくおかしくない気がする。

 もしも幹事的な人物がいるのだとすれば、これまでにもいつかは飲み会のセッティングをしなければと折に触れて思い出したのだろう。しかし昨今の相次ぐ“宣言”下でそれも延び延びになってしまい、もはや思い出すことがなくなってしまったとしても不思議ではない。

「コロナが落ち着いたころ」というようなボンヤリした未来の案件はどうしたって後回しになるというものだ。「そのうちに」と思ってはいても、今、現時点で着手していない以上は延々と先延ばしにできてしまう。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 通りの賑やかさも徐々に薄れ、歩く先は住宅街の様相を呈しはじめている。商店の並びが途切れようという場所にはテイクアウトのから揚げ専門店があった。

 今日のところはから揚げを買って帰るという選択肢はないのだが、鶏のから揚げを見たことですっかり忘れていたことを思い出し、心の中で思わず声をあげた。数日前にスーパーで鶏もも肉を買って冷蔵庫に入れっぱなしであることを思い出したのだ。

 賞味期限は3日後だったことを憶えているが、買ってからすでに4日が過ぎているので、賞味期限を1日過ぎていることになる。1日の超過であればよく熱を通せばセーフだと認識しているが、そうであればこそ、これから部屋に戻って必ずその鶏肉を調理して食べなければならない。

 なんということだ。ひとまず戻ることにしよう。通りを横切る横断歩道がタイミングよく青になったので、向こう側に渡ることにした。どこかで何かを食べる案も白紙撤回だ。

「そのうちに」は後回しにされて結局は立ち消えに

 鶏肉を買った当日のことを思い出してみると、その日のうちに食べるかどうかは半々くらいの気持ちであった。その後、夜になってから部屋で酒を飲み簡単なつまみを食べはじめのだが、お腹のほうは満足してしまい鶏肉をフライパンで焼くこともなく、「そのうちに」ということになって後回しの案件となり、今の今までその存在を忘れてしまっていたのだ。

 飲み会のセッティングでも鶏肉の調理でも、いかに「そのうちに」があてにならないものであるのかが思い知らされるのだが、最新の研究でも「そのうちに」として後回しにした案件がいかに水に流され、忘れ去られているのかが解説されている。中途半端に長い締め切りを設けると、どんどん後回しにされてそのうち捨て置かれてしまうというのである。


 オタゴ大学の新しい研究によると、誰かに何かを手伝ってもらいたい場合は、期限をまったく設定しないことが最善であることがわかっています。ただし、期限を設定する場合は、期限を短くしてください。

 オタゴ大学経済学部ビジネススクールのステファン・ノウルズ教授と共著者が「Economic Inquiry」で発表した研究では、タスクの完了に対する期限の長さの影響をテストしました。

 参加者は、寄付が慈善団体に送られるオンライン調査に回答するよう招待されました。彼らに与えられた回答期限は、1週間、1ヵ月、または期限の提示がありませんでした。

 研究によると、調査への回答は1ヵ月の期限で最も低く、期限が指定されていない場合に最も高くなりました。

※「University of Otago」より引用


 オタゴ大学の研究チームが2021年10月に「Economic Inquiry」で発表した研究では、オンライン調査を通じて締め切り期限の設定の有効性が検証されている。

 約3000人の参加者はオンラインでアンケートに回答するように依頼され、回答すれば慈善団体に少額の寄付が支払われることが説明された。研究は参加者を3つのグループに分け、回答の締め切り期限を、1週間、1ヵ月、期限の指示無し、をそれぞれに設定した。

 アンケートに回答することが慈善行為に繋がるということで強く動機付けられてはいるのだが、回答状況を分析すると1ヵ月の締め切り期限を設定されたグループの回答率が最も低かった。そして意外なことに期限を示されなかったグループが最も回答率が高かったのである。

 研究チームによれば、1ヵ月という中途半端な期間を締め切り期限に設定することで、アンケート回答が後回しできる対象になってしまうため、何度も先送りしているうちに回答期限を超過してしまいがちになるということだ。

 1週間にすればそれよりも先送りの対象とは認識されにくくなって回答率はやや高まり、逆に期限を設定しないとそもそも先送りの対象にされないために回答率が最も高まったのである。

「そのうちに」という先送りの対象にされてしまうことで、最終的に水に流され、立ち消えになってしまうケースは考えられている以上に多いといえるのかもしれない。それを避けるためにも先送りの対象と思わせずに、今すぐやらせるよう仕向ける方策や仕組みが必要とされているようだ。

食堂での“ちょい飲み”でひと息つく

 スーパーで買った鶏肉を「そのうちに」食べるものとして後回しにしてしまったことで、知らず知らずのうちに“一件落着”してしまい意識にのぼらなくなってしまっていたようだ。から揚げ店を見ることなくもうしばらく忘れたままでいたなら、残念ながら鶏肉を捨てることになっていただろう。

 とはいえまぁ慌てることもない。このまま少しばかり長い距離を歩いて部屋に戻ることにしたい。

※画像はイメージです(筆者撮影)

「そのうちに」ということにしてそのまま放置している物事はほかにもないだろうか。こうしたことを検証するのは何かと耳の痛い話に繋がりそうだ。部屋の掃除やら、使わなくなったデスクトップパソコンや乗らなくなった自転車の処分やらと、考えるといろいろ出てくるが、やはりすぐに手を着けようとは思えてこない。我ながら困ったものである。

 歩く先に大衆食堂チェーンの店が見えてきた。どこにも寄らずに帰るつもりだったが、ある考えが浮かんできた。それは食堂での“ちょい飲み”だ。

 一部の酒飲みの間で楽しまれているのが食堂やレストランで酒を飲む“食堂飲み”や“ちょい飲み”である。単品メニューやサイドメニューを居酒屋の肴のように注文してアルコールを味わうという楽しみ方だ。そうやって飲んた後に食事メニューを頼むか、ご飯や麺類などは食べずに済ますかはその後の予定や胃袋次第ということになるだろう。

 そしてここの店でも“ちょい飲み”が可能である。特に現在、期間限定でハイボールとレモンサワーが安価になっていて、きわめてお得に飲めることを先日に知って体験したばかりだったのだ。家で鶏肉を食べるにしても、この“ちょい飲み”であればまったく問題ない。お店に入ることにしよう。

 入口の自動ドアを通り抜けてすぐ左側にタッチパネル式の券売機がある。さっそくハイボールとレモンサワーのボタンを押し、さらに「野菜サラダ」や「牛肉のすきやき小鉢」などのサイドメニューのボタンをいくつかタッチする。注文を確定させて千円札を投入すると二百数十円のお釣りが出てくる。お得だ。

 真ん中がアクリル板のパーテーションで仕切られた2人掛けの小さなテーブル席に着いて水を持ってやって来た店員さんに食券を渡す。店内は1人客が多く、気兼ねすることなく“ちょい飲み”が利用できる。総じて1人で入るのに好都合なお店だ。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 アルコールと料理が運ばれてきた。あまり食べたくはないが「ちょっと一杯」という酒飲みのわがままなニーズにぴったりだ。さっそくハイボールのジョッキに口を着け、サイドメニューにも箸を着ける。癒される時間だ。

 ともあれこうして夜も外で飲食できる日を迎えられて本当によかった。もちろん今後も予断を許さない面もあり、昨年のように大晦日になって感染者数が急増することがないことを願いたいものである。

 さて長居は禁物だ。サッと飲んでひと息着いたらすぐに店を出ることにしよう。自宅の冷蔵庫で待つ鶏肉をこれからどうやって食べることにしようか……。

文/仲田しんじ

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