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テレワーク中のメンタルヘルスを保つ「模擬通勤」のススメ

2021.12.01

 少し前よりは確かに街にはビジネススーツ姿の人々が増えたようだ。もちろんコロナ禍がひと段落したからだが、それでもまだコロナ前には戻ってはいない感もある。そしてスーツの“カジュアル化”も確実に進んでいるようだが――。

座りっぱなしの仕事を終えて巣鴨の街を歩く

 朝からパソコンの前で座りっぱなしの作業が続き、日が暮れてから外出して用事を1件済ませた。もう今日は店じまいということで、渋谷から乗った山手線を池袋で降りずに巣鴨までやってきた。特に理由はないが渋谷や新宿、池袋などの大きな駅ではない場所でひと息つきたかった。そしてもちろんそこにはアルコールの誘惑もある。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 今年も早いもので師走が意識される季節になってきた。師走の寒さにはまだ遠く及ばないが、街ではコート姿の人も珍しくない。

 自分はまだジャケットだけだが、今日は上下揃いのいわゆるセットアップを着て出てきた。ビジネススーツではないのだが、下はセンタープレスの入ったパンツで革靴も履いているのでビジネスカジュアルくらいには見えるだろうか。

 長かった“宣言”も解除されたということで、電車内や街中にはビジネスマンの姿もだいぶ戻ってきているのだが、コロナ禍以前のレベルにはまだ戻っていないことは明らかだ。そして今回のコロナ禍でビジネスウェアの“カジュアル化”がさらに加速したことも間違いないのだろう。国内大手の紳士服チェーン4社が直近の決算で軒並み赤字を計上したことも先日のニュースで報じられていた。これだけ“宣言”が長引いていれば何の不思議もない。

 そしてコロナが収束したとしても、以前のようにはフォーマルなビジネススーツが売れることはまずないように思える。コロナ禍がきっかけとなってビジネスにおいても対面接触が減ったことに加えて、今自分が着ているようなセットアップを一度着てしまうと、決して少なくない数の人々がもう窮屈なビジネススーツには戻れなくなる側面もありそうだ。

 とすれば今の自分も、見ようによっては仕事終わりのサラリーマンに見えるだろうか。このままどこかの酒場に入れば、はたから見れば仕事が終わって会社を出てきたサラリーマンが帰宅途中に「ちょっと一杯」やっているように見えるのかもしれない。

 決してそこに何か良からぬ企てがあるわけではないが、それは“偽装サラリーマン”であり、この服は“サラリーマンコスプレ”といえるのかもしれない。“偽装”し、“コスプレ”をすることで何か得することがあるのかどうかはわからないのだが……。

 コスプレでもなんでも構わない、どこか手軽に飲める店に入ろう。巣鴨駅北口の駅前ロータリーの奥にある飲食店街エリアへと足を向ける。

※画像はイメージです(筆者撮影)

テレワーク中のメンタルの健康を保つ“模擬通勤”

 今日はこうして夜に外出する用件があったものの、もし用件がなかったとすればおそらく今も部屋のパソコンの前で作業を続けているだろう。となると朝から夜までずっと椅子に座りっぱなしということになる。仕方のないことではあるが、あまり気分のいいことではない。

 そもそも今回のコロナ禍では多くにとって、総じて部屋にいる時間が長くなり、それはすなわち椅子に座っている時間が長くなっていたということだ。とすればメンタル面でもあまり良い状態ではなかったことは想像に難くない。最新の研究においても、ロックダウンの期間中に座る時間が長くなった者は、うつの傾向が高まっていたことが報告されている。


 2020年3月の最初のCOVID-19の発生時に、多くの人々が外出禁止令を順守したり、自己隔離を選択したりして、突如、座る時間が長くなりました。最近発表された研究によると、その後の数週間、座っている時間を長くし続けた人は、うつ病の症状が高くなる可能性があります。この関連性を詳しく調査することで、人々のメンタルヘルスの改善に役立つ可能性があります。

 調査参加者は、座ったり、スクリーンを見たり、運動したりするなどの活動に費やした時間と、パンデミック前のそれらの行動の時間との比較を自己申告しました。彼らはまた標準的な臨床尺度を使用して、精神的健康への変化(例えばうつ、不安、ストレス感、孤独感)を報告しました。

「私たちは身体活動とスクリーンタイムは背反する関係にあることを知っています。それは一般的にメンタルヘルスに関連していますが、(コロナ禍の)急激な変化に対応するこのような大規模なデータを実際に見たことはありません」

※「Iowa State University」より引用


 米・アイオワ州立大学をはじめとする研究チームが2021年10月に「Frontiers in Psychiatry」で発表した研究では、2020年4月から5月の8週間にわたるCOVID-19パンデミックの期間中、座って過ごす時間の長時間化が、うつ症状の改善を鈍らせる行動上の危険因子であったことを報告している。

 研究チームは、全米50州とコロンビア地区からの3000人を超える調査参加者からデータを収集して分析したところ、パンデミック以前に適切な身体活動(毎週2.5~5時間の中程度から激しい身体活動)を満たしていた参加者は、パンデミック直後から平均して身体活動が32%減少していたことが明らかになった。そしてこの参加者グループは期間中により落ち込み、不安で、孤独を感じていたと報告したのである。

 身体活動が減り、気分の落ち込みを多くの人が感じていたのだが、状況に適応した人々は意識的に運動を心がけてメンタルヘルスの改善を遂げていた。一方で在宅勤務などで座っている時間が長いままの人々はメンタルヘルスの改善が鈍いこともまたわかった。

 在宅勤務で仕事が立て込んでくれば確かに座りっぱなしになってしまうだろう。とにかく意識的に動き、運動をするしかないわけだが、研究論文主筆のジェイコブ・マイヤー助教授によれば、パンデミック前に通勤していた在宅勤務者は仕事の前後に“模擬通勤”をしてみることを推奨している。仕事の前後に家の周囲を散歩するなどしてみることで、その日の身体活動がほかの面でも活発になるということだ。

 仕事前の朝、外出可能な服装に着替えて周辺を散歩していれば、その後はちょっとした用事でも外出しやすくなり、確かに身体活動は増えそうである。そして仕事が終わってからの“模擬通勤”では、その後の「ちょっと一杯」もより美味しく感じられてきそうだ。

立ち飲み屋で仕事終わりの「ちょっと一杯」を楽しむ

 さて、「ちょっと一杯」してみるとしよう。飲食店が軒を連ねる通りを歩いていると、某立ち飲みチェーンの店を認める。とりあえず入ってみることにする。

 以前には何度も入ったことのある店だが、“宣言”の解除後は初めてだ。1年半ぶりくらいにはなるのかもしれない。店内はけっこう広く、立ち飲みではあるがゆったりした気分で飲める店だ。座りっぱなしだっただけに、むしろ立ち飲みのほうが気分的にもいい。

 カウンターに陣取らせていただき、チューハイと刺身を2点、それに煮込みを注文する。ここの料理はすべて1人前のサイズでそのぶん価格も安い。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 カウンターの先客には明らかに仕事帰りのスーツ姿の男性が2人いた。私服姿の男性も2人いたが、もちろん何らかの仕事が終わった帰りなのだろう。そして自分も正真正銘、仕事終わりの客である。

 仕事は部屋で行っているが、こうして仕事終わりに外に出てジョッキを傾けて飲む酒は、そのまま部屋で飲む酒とは大違いである。1日の生活の中でメリハリが生まれて、昨日とは違う1日にすることができるのだ。

 昨今はコロナ禍もあり何かと行動が制限されていることから、気づけば漫然と変わり映えのない日々を送りがちになってしまうのではないだろうか。少なくとも自分はそうである。

 振り返ってみて今のこの時期を“失われた日々”にしないためにも、1日の過ごし方に意識的に変化をつけてみたいものだ。毎日を変わり映えのない“のっぺりした”1日にしないようにしたい。

 チューハイを半分ほど飲んだところで、先に日本酒を注文する。一合徳利もあるが、コップ酒で構わない。ハシゴ酒が意識されてきたからだ。立って飲んでいると腰も軽くなり、2軒目に行きたくなることがよくある。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 背後の長いスタンディングテーブルが並ぶ席では若者のグループが賑やかに盛り上がっている。“ウィズコロナ”にあってはあまり褒められた行為ではないだろうが、久しぶりのことなのだとすればそれも致し方のないところだ。最後まで節度は守ってもらいたいものだが。

 さて、ここはいったん切り上げるとしよう。次に行く店もすでに決めている。お店の人にお会計を頼んでジャケットの内ポケットから財布を取り出す。そういえば、普段よりも“腰が軽く”なっているのは、今の自分の“サラリーマンコスプレ”も影響しているのかもしれない。まぁコスプレかもしれないが仕事終わりであることに違いはない。昨日とは違う1日を楽しむことにしよう。

文/仲田しんじ

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