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AIを使って藤井聡太四冠の頭の中を見られたら

2021.11.20

【連載】もしもAIがいてくれたら

【バックナンバーのリンクはこちら】 
第1回:私、元いじめられっ子の大学副学長です
第26回:新型コロナ感染者が増えると〝いらいら〟が増える!?Twitterでどんな言葉がつぶやかれるのか分析してみた

AIを学べば「藤井四冠の思考」がわかる?

将棋の藤井聡太さんが史上最年少で四冠を達成しました。AIを使って将棋の腕を磨いているという藤井さんの力は、以前から「人間を超えている」「藤井さんの感覚はAIに近い」と評されています。

多くのトップ棋士たちがAIを使って鍛錬している時代ですが、以前羽生善治さん(当時三冠)が座談会の場で、「AIは手段として、みずからの実力や能力を伸ばす使い方をするのが建設的だと思っている。ただ、みんなが同じソフトを使って研究するということもあり、戦い方にどう個性を出すかということが突きつけられていると思う」と語られたそうです(2021年10月7日に公開されたNHKクローズアップ現代+記事)。

たしかに、棋士たちが同じ将棋ソフトを使っていると、同じような打ち方になる、ということはありえるかもしれません。棋士が将棋ソフトの影響を受けることを示す発言もこの記事に紹介されていました。広瀬章人八段いわく、「先日、藤井さんと対談する機会があって聞いたんですけど、けっこう珍しいタイプのAIを活用し始めているそうで、それに伴ってか指す戦法もちょっと変わってきたんですよね」とのこと。

AIとの対戦で、人間の藤井さんが進化し、使っているAIの特徴の影響を受けている可能性があるということですが、藤井さんとの対戦を相当重ねることで、AI側も藤井さんの特徴を学習し進化する可能性があります。

藤井さんのすごい頭の中がどうなっているのか見てみたい! という方は多いのではないでしょうか。あいにく藤井さんの頭の中を直接分析することはできないので、藤井さんとの対戦で進化したAIを読み解くことで、藤井さんの頭の中で起きていることを間接的に見てみることができるといいかもしれません。

AIが「学ぶ」とは何なのか?

普通のコンピュータのプログラムの場合は、「雨が降ったら傘をさす」「雨がやんだら傘を閉じる」というくらい、「どういう場合はどうする」といったルールを全て人間が決めているので、どういうふるまいをコンピュータがしたかで、コンピュータがどういう計算をしたかがわかります。ところが、AI、特にディープラーニング系AIについては、コンピュータが大量のデータから勝手に判断するルールを見つけて結果を出すため、結果からその判断過程を人間が見出すのが困難です。特に、このルールは、何千万という数のニューロン(人間の神経細胞であるニューロンを模した形式的なニューロン)とそれらをつなぐ莫大な数のシナプスの重みづけなので、人間が解読するのはほぼ不可能とされ、しばしば「AIのブラックボックス問題」と言われます。

上掲図のような多数のニューロンの階層構造を経ることで、人が教えなくてもAIは学ぶことができる。これは、2012年にGoogleが「ディープラーニングによりAIが猫の顔を認識できた」と発表したことから”Googleの猫”と呼ばれる。
出典:『坂本真樹先生が教える 人工知能がほぼほぼわかる本』(オーム社刊)

それではやはり、藤井さんの頭の中にあるニューラルネットワークは読み解けないのか……と残念に思われるかもしれませんが、Explainable AI(XAI)という分野の中で、ディープラーニング型AIを説明可能にするための研究が行われています。まだ、ディープラーニングによって獲得された複雑な機能を少しでもロジックで記述したり可視化できるようにしようとしている状況ですが、藤井さんと対戦を続けたAIとそれ以外の一般的なAIの違いを、また別のAIに見つけさせることで、どのロジックが異なるのか、がもしかしたらわかるようになるかもしれません。

坂本真樹(さかもと・まき)/国立大学法人電気通信大学副学長、同大学情報理工学研究科/人工知能先端研究センター教授。人工知能学会元理事。感性AI株式会社COO。NHKラジオ第一放送『子ども科学電話相談』のAI・ロボット担当として、人工知能などの最新研究とビジネス動向について解説している。オノマトペや五感や感性・感情といった人の言語・心理などについての文系的な現象を、理工系的観点から分析し、人工知能に搭載することが得意。著書に「坂本真樹先生が教える人工知能がほぼほぼわかる本」(オーム社)など。

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