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【開発秘話】126万袋以上売れているパインと再春館製薬所が作った「ドモホルンリンクルのど飴」

2021.11.18

■連載/ヒット商品開発秘話

 コラボレーションはそれまでにない商品やサービスを生み出す有効な手段。意外性のある組み合わせほどアッと驚くものができるのではないだろうか?

 そんなことを感じさせる商品が、2020年9月に発売された『ドモホルンリンクルのど飴』。漢方発想の基礎化粧品『ドモホルンリンクル』の再春館製薬所と、ロングセラーキャンディ『パインアメ』のパインが共同開発し、パインが製造・販売を手がけている。意外なコラボは話題を呼び、2021年9月末までに126万袋を売り上げている。

奇跡的に重なった2つの偶然

 コラボを切り出したのはパインからであった。背景にあったのは、本格派ののど飴が手薄という長年の課題。パインで『ドモホルンリンクルのど飴』の企画・開発を担当した木下堅太さん(開発部企画課)はこの課題解決を模索していた。

 あるとき、偶然見た『ドモホルンリンクル』のテレビCMに目が留まった。 のど飴市場では医薬品系の商品のブランド名を冠したものが一定の支持を得ていたが、木下さんはテレビCMを見てこんなことを直感した。

「ドモホルンリンクルの名前を使ったのど飴はおもろいんちゃうん?」

『ドモホルンリンクル』の商品コンセプトを生かしたのど飴を思いつき、早速企画書を作成。再春館製薬所に想いを率直にぶつけてみることにした。

パイン
開発部企画課
木下堅太さん

 再春館製薬所に初めて連絡したのは2019年9月9日。電話したのは熊本本社ではなく東京事務所だったが、ここから“偶然”ともいえるコラボが実現する。

 東京事務所は10名程度と小規模だが新規事業担当者がいた。そうとは知らず木下さんは電話をしたが、電話を最初に取ったのがその新規事業担当者(当時)で、『ドモホルンリンクルのど飴』の開発に関わった音成宏美さん(現・グッドエイジング創造事業本部事業推進部)であった。

 話を聞いてもらえることになり、企画書を提出。その約10日後に、木下さんは東京事務所で、企画の詳細や想いを話す機会を得る。

「木下さんの提案が素晴らしく、私がいったん預かってから事業本部長に提案することにしました」

 このように振り返る音成さん。企画は社内で検討され、熊本本社でパインのプレゼンが行なわれる。通販主体の再春館製薬所は、商品を身近に感じ気軽に手に取れる機会の創出を事業課題の1つとして捉えていたことから、パインの企画提案には前向きだった。

楊貴妃が愛したライチを使う

「根本治癒」という漢方の理念に基づいたものづくりをしている再春館製薬所は、原材料のこだわりが強い。使用を要望した原材料は多々あったが、それらの中から、自社で独自開発した高麗人参の長白参(ちょうはくじん)、鱧(はも)コラーゲン、白きくらげの3つを使うことにした。

 どれも飴に使われることはない。木下さんは「苦くなってしまったり、独特の色味になってしまったりすることがなければ使えますし、できれば使いたいと思っていました。ただ、使ったことがないものばかりなので、現物を確認して判断しました」と話す。

 フレーバーは数ある候補の中からライチが選ばれた。ライチは木下さんが強力に推したものだったが、その理由は世界三大美女の1人である楊貴妃がこよなく愛したものだったから。再春館製薬所からすれば美と関わりがあり、漢方の本場中国との縁を感じさせた。

 味づくりで心がけたことは、1粒で満足しない味の実現。1粒食べ終わったらまた1粒食べたくなるものをつくることである。味わいはしっかり感じられるものの、強く主張しすぎない絶妙な加減を追求した。

 音成さんは初めて届いたサンプルを試食したとき、完成度の高さに驚いた。

「甘ったるくなったり、わざとらしい味になったりするかも、と考えていたところがあったのですが、個人的にはメントールとジューシーなライチの組み合わせが気に入りました。この2つを組み合わせることがイメージできなかったのですが、バランスが取れていました」

過去のテレビCMをTwitterでいじる

 発売当初は女性誌で取り上げてもらう機会が多く、中には1ページ使って紹介したところもあった。再春館製薬所で商品PRを担当する渡辺真喜子さん(グッドエイジング創造事業本部事業推進部)は次のように話す。

「この後、5年ぶりに『ドモホルンリンクル』のリニューアル発売が控えていました。大々的なパブリシティ展開を考えていましたが、思っていた以上に『ドモホルンリンクルのど飴』の反応が高く、『ドモホルンリンクル』のリニューアル発売のことを紹介してくれるのかどうか心配になりました。各メディアに、『ドモホルンリンクル』のリニューアル発売についてもきちんと取り上げてほしいことをお願いしたほどです」

再春館製薬所
グッドエイジング創造事業本部事業推進部
音成宏美さん(左)
渡辺真喜子さん(右)

 パインは主にTwitterを活用し、商品の認知拡大に注力。『ドモホルンリンクル』のテレビCMをいじったツイートをするなどして注目を集める工夫をした。広報の井守真紀さん(開発部広報室)はこう話す。

「テレビCMがいじれたのはTwitterだからこそです。Twitterではこのほか、中の人が再春館製薬所の本社を訪れた際の社内の様子や、被り物をした中の人と西川正明社長の2ショット写真をアップするなど、どういう会社かわかるツイートもしています。そういうところを楽しんでもらえたのかもしれませんが、商品に意外性があるので驚きがあり、自然に拡散していったところがあります」

パイン公式Twitterアカウントで過去の『ドモホルンリンクル』のテレビCMをいじったツイート

パイン公式Twitterアカウントの中の人が再春館製薬所の熊本本社を訪れた際の会社紹介ツイート

パイン
開発部広報室
井守真紀さん

発売1周年を記念し『ドモアメ』をつくる

 認知が広がったことから想定の3倍以上のペースで売れ、発売から10か月で100万袋を突破。100万袋を超えたことと発売1周年を迎えたことを記念し、両社はコラボ企画としてインスタライブを実施した。2021年9月7日、おやつの時間の15時から30分ほど、両社のSNSを管理・運営する中の人が、商品の成り立ちをはじめ、両社のものづくりのこだわりなどを話した。再春館製薬所の横尾舞さん(グッドエイジング創造本部おつきあい推進事業部)は「リアルタイム視聴とその日の夕方にInstagramのストーリーズにアップしたアーカイブを通じ、約2800名にご覧いただきました」と言う。

 発売1周年企画ではこのほか、非売品の『ドモアメ』が抽選で50名に当たるキャンペーンも実施した。『ドモアメ』は『パインアメ』の形をした『ドモホルンリンクルのど飴』。パッケージは、中央にライチに扮した『ドモホルンリンクル』のLINE公式キャラクター『おもちちゃん』を配し、その周りにパインの公式キャラクターである『パインアメくん』を散りばめた。応募者は1400名ほど。市販を望む声もあり、「コールセンターに『ドモアメ』の販売を要望する声が届くこともあります」(横尾さん)という。

抽選で50名にプレゼントされた非売品の『ドモアメ』。中央に配した『ドモホルンリンクル』LINE公式キャラクター『おもちちゃん』がライチをかぶっている

再春館製薬所
グッドエイジング創造本部おつきあい推進事業部
横尾舞さん

取材からわかった『ドモホルンリンクルのど飴』のヒット要因3

1.身近に感じてもらえた

『ドモホルンリンクル』には「美」や「体に良さそう」などのイメージがあり生活者の心の琴線に触れてきたが、通販でしか買えず遠い存在のようなところがあった。だが、このブランド名を冠した商品が小売店に並んだことで身近に感じられるようになり、購買につながった。

2.意外性のある組み合わせによる高い話題性

 パインと再春館製薬所の両社は業界が異なることもあり、コラボするイメージがない。意外すぎるコラボは話題性が高く、注目を集めるのに十分だった。

3.2社のこだわりが結実

 SNSの活用などで認知が拡大したが、拡大した認知が購買に結びつくためには商品としての高い完成度が不可欠。再春館製薬所の原材料へのこだわりとパインの飴づくりのノウハウを融合し、美味しく飽きがこないものが完成した。

 本格派ののど飴が手薄だったパインは目玉となるのど飴ができ、通販主体の販売ゆえに親しみやすさに欠けるきらいがあった再春館製薬所は親しみやすさがアップ。そして多くのユーザーは、美味しさやサイズ感に好印象を持ち高く評価した。近江商人の経営哲学「三方よし」ではないが、パインと再春館製薬所のコラボは、両社とユーザーの三者にポジティブな結果をもたらした。

製品情報
https://www.pine.co.jp/domo/

文/大沢裕司

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