
西部劇を黒人ギャング同士の抗争にアレンジ。
2021年11月3日よりNetflixで独占配信中のNetflix映画『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール: 報復の荒野』は、アメリカで製作された西部劇。
主演は『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』『ザ・ファイブ・ブラッズ』『ラヴクラフト・カントリー 恐怖の旅路』のジョナサン・メジャース、『刑事ジョン・ルーサー』『マイティ・ソー』シリーズのイドリス・エルバ。
人気ラッパーのジェイ・Zがプロデューサーを務め、オリジナルサウンドも手掛けている。
あらすじ
テキサス州。少年時代、目の前で両親をギャング団に殺害された過去を持つ無法者ナット・ラブ(ジョナサン・メジャース)。
親の仇であるギャング団のボス、ルーファス・バック(イドリス・エルバ)は終身刑で刑務所に収監されていた。
しかしバックが赦免されたという知らせを受け、ラブは再びギャング団を再結成する。
亡き両親の無念と己のプライドを賭けた“荒野の報復”が今始まる!
見どころ
西部劇はアメリカの開拓時代が舞台であるため、これまでは白人男性が主役のものが圧倒的に多かった。
そこに描かれている力強い開拓者魂は観る人を勇気付けてきたが、元からアメリカ大陸に住んでいたはずの先住民が土地を奪われた上に“悪役”として扱われてきたことへの批判も尽きなかったのは事実だ。
良心の呵責に苛まれて、昔ながらの西部劇はもはや純粋に楽しむことができないという人も、実は多いのかもしれない。
しかし本作では、ヒップホップ音楽と組み合わせて黒人ギャング団同士の抗争にアレンジされており、西部劇としては新鮮。
もちろん描かれているのは主人公ナット・ラブの悲劇と復讐の物語だが、あくまでも対等な立場の者同士の抗争であるため、どんな立場の人であっても純粋にエンターテイメントとして楽しむことができるストーリーとなっている。
そしてイドリス・エルバ演じるルーファス・バックの演技も圧巻。手錠と鎖に繋がれた状態で暗闇からゆっくりと登場シーンは、“大悪党”らしい凄みがある。
前述のような批判はあるものの、いつの時代も西部劇の世界観は人々の心を鷲掴みにしてきた。
西部劇で見られる価値観や精神をより深く理解したい方には、同じくNetflixで独占配信中の番組『カウボーイになる方法』もオススメ。
テキサス州の牧場でカウボーイをしている男性が、日本人にとっての武士道のような“カウボーイ・スピリッツ”を教えてくれる。
Netflix映画『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール: 報復の荒野』
独占配信中
文/吉野潤子