3人のFIRE経験者の体験談でイメージがわいても、何から始めるべきかわからず思考を停止してはもったいない。考えるポイントはFIREした後にストレスなく暮らせる「生活水準」だ。そのためには生活費がいくら必要で、それを生み出す資産の積み立て目標がいくらか。FIRE後の生活をイメージしながら考えよう。
FIREするまでにいくら作るか生活水準はイメージどおりか
FIREを目指すうえで、何よりも先に、次の2つを考える必要がある。(1)FIREした後は全く仕事をしない完全FIREか、労働収入を得続けるセミFIREにするか、(2)FIREするまでにどのくらいの時間をかけ、資産をいくら作るのかだ。
この2つの答えを出す際には、FIREした後の生活イメージを具体的に考えたい。本記事で紹介した3人のFIRE経験者たちの資産額と生活水準を左図にまとめた。FIREには最低1億円の資産が必要だといわれることがあるが、例えば海外移住をしたアキラさんは日々の支出を抑えつつ収入を得る生活設計で、約5000万円の資産でFIREできた。FIRE後の生活水準次第では、より少ない金額でも可能性がある。
(1)FIREした後に仕事をするかどうかは、悩む人が多そうだ。今の会社員生活に苦痛を感じていても、今の仕事と無関係なアルバイトで短時間なら大丈夫な場合はあるだろう。アキラさんのようにYouTubeを新しく始めるというパターンもあるかもしれない。FIREした後も何かしらの労働をする場合には、毎月いくら稼げるのかを可能な限り試算したい。
(2)FIREまでにかける時間と目標金額は、自身の収入や可処分所得に依存する。具体的な試算例は次ページで紹介するが、結婚、出産、子供の進学などの人生のイベントも考慮しよう。これらで一時的に資産が目減りする分だけFIREまでの時間が長くなる。
FIRE後の生活費は「4%ルール」で考えるとよい。例えば5000万円の資産があれば、その4%の200万円が、年間で生活費に充てられる不労所得の目安になる。
2つの質問の答えが決まると、FIREに向けて、毎月どれだけ、どのような資産に投資すればよいかがわかる。少なく見積もっても5年以上はかかるので、強いストレスがかかるストイックな節約や、リスクの高い投資は、結果的に投資資金を失いやすくなる。無理なく、できれば楽しく続けられる額で投資していきたい。
FIREまでの道のりをイメージするポイント
「FIRE=完全に仕事を辞める」と考えず、FIRE後にも一定の労働収入を得て生活する「セミFIRE」でよければ、FIREまでに貯めなければならない金額が少なくなり、かける時間も少なくできる。
FIRE後の生活イメージはこの2軸で
FIRE後は豪華絢爛な生活をする人もいれば最低限の生活費で慎ましく生活する人もいる。家庭の有無や子供の人数なども考慮すべきだが、ストレスなく生活できる水準を見定めよう。
【Q】FIREした後も仕事はしたほうがいいのですか?
【A】興味がある活動を仕事にすれば、社会性・充実感・経済的余裕のいずれも得やすくなると思います。
元大手サラリーマン
穂高唯希さん
取材・文/久我吉史