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音声入力の正確さ、カメラのズーム機能をAIの力で進化させたGoogle「Pixel 6」シリーズの実力検証

2021.11.13

■連載/石野純也のガチレビュー

プラットフォームとしてAndroidを展開するグーグル自身が手がけるスマートフォンが、Pixelシリーズだ。その最新モデルが、2021年10月に発売された。Pixelはフラッグシップモデルと廉価モデルのaシリーズに二分されるが、新たに発売された「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」は前者。グーグルの最新技術が惜しみなくつぎ込まれ、同社の目指しているスマホの新しい形が垣間見える。

 Pixel 6、6 Pro最大の特徴は、グーグルが自ら設計したチップセットの「Tensor(テンサー)」を搭載しているところにある。これまでのPixelは、いずれもクアルコムのSnapdragonを採用していたため、大きな転換点と言えるだろう。Tensorは、グーグルが得意とするAIに最適化するために設計されており、Pixel 6、6 Proでは、関連機能が大幅に強化されている。

 チップセットの力を引き出すため、カメラ機能も強化。特にPixel 6 Proは、シリーズ初となるペリスコープ型の望遠カメラを搭載し、AIを使った超解像ズームで最大20倍まで劣化の少ないズームが可能になった。そんなPixel 6、6 Proを発売前から試用することができた。1週間強使ってみた同モデルの実力をレビューしていこう。

自社設計のチップセットでAI性能を大幅に強化したPixel 6(右)とその上位版にあたるPixel 6 Pro(左)

デザインを刷新して素材の高級感を強調、カメラバーのデザインも新しい

 これまでのPixelには、どちらかと言えば日常に溶け込むデザインが採用されていた。ボディに金属を使っても、その上から塗装を施し、柔らかな質感を強調していた。一方で、ぱっと見がポリカーボーネートを使ってコストを抑えたaシリーズと見分けづらく、価格に見合っていたかというと、そこには疑問符がつく。対するPixel 6、6 Proは素材使いを刷新。金属は金属、ガラスはガラスということがわかりやすくなり、豪華さを感じられるようになった。

Pixel 6 Pro

Pixel 6

 手触りや日常に溶け込むデザインはPixelの売りの1つだったため、賛否両論ありそうだが、筆者はPixel 6、6 Proを評価している。スマホには、やはりその価格にふさわしいデザインや素材選びがあると思っているからだ。特に10万円を超えるようなハイエンドモデル、フラッグシップモデルは、もう少しわかりやすい高級感がほしい。Pixel 6、6 Proは、そんな声にこえたかのように、金属やガラスの質感を際立たせるデザインになっている。

側面は金属のフレームがキラリと輝く

背面はガラス製。カメラバーを境に、ツートンのカラーリングで仕上げられている

 カメラ回りのデザインも一新され、Pixel 6は2つ、Pixel 6 Proは3つのカメラと、フラッシュが、横一列に並ぶバーの中に収められている。カメラ機能を強化しようとすると、センサーやレンズのサイズがどうしても大きくなってしまう。いかに薄型の本体に収めるかは各社工夫しているところだが、カメラはカメラとして目立たせつつ、デザイン的にうまく本体に調和させている。iPhoneをフォローしたようなデザインのスマホが多い中、きちんと独自性を出してきた点は評価できる。

カメラバーの中にデュアルカメラ、ないしはトリプルカメラが並ぶデザイン

 素材感や背面のデザインは共通しているPixel 6とPixel 6 Proだが、2機種はサイズだけでなく、採用しているディスプレイも少々異なる。Pixel 6 Proは左右がカーブしたディスプレイなのに対し、Pixel 6はフラットディスプレイを搭載。Pixel 6 Proの方がサイズが大きいぶん、フィット感を重視してこのような仕様になったと思われる。一方で、カーブしているディスプレイは操作時に手のひらが画面の端に当たってしまう問題もある。Pixel 6 Proはディスプレイも6.7インチと大きいため、コンパクトさを求める人にはPixel 6の方がおすすめできそうだ。

AIの処理に特化したパフォーマンスの高さによる音声認識機能は驚きの性能

 両機種の売りは、チップセットにTensorを採用したところにある。グーグルがチップセットを独自に設計したのは、AIの処理に最適化するためだ。処理能力に関しては他社のフラッグシップモデルが採用するSnapdragon 888と並ぶほどで、ベースの性能も高い。Geekbench 5でスコアを計測したところ、シングルコアスコアが1044、マルチコアスコアが2778を記録した。Snapdragon 888を採用する「Galaxy Z Fold3 5G」は、同スコアが846、2998だったため、数値は近い。一方で、これはあくまでCPUを比較した時の話。AIの処理能力では、さらに差がつく。

CPUの処理能力はSnapdragon 888と並ぶが、それ以上にAIの処理能力に力が注がれている

 この力を生かした機能の1つが、音声認識だ。Pixel 6、6 Proでは音声入力を端末上で完結させることができる。音声認識の処理を、すべてTensorで行っているためだ。ネットワークに音声を送らないため、処理が非常に速く、話しかけると即座にそれが文字になるうえに、プライバシーの心配も不要。音声だけでほぼ正確にメールを書くことができる。実際、以下は音声で入力したメールの一部。変換まで正確で、1カ所を除けばほとんど修正をする必要がなく、そのまま送信できる。

音声認識機能で、ほぼ完ぺきなメールを書くことができた

 音声入力は外出時に人が周りにいると使いづらいなど、出番が限定されてしまうのは難点だが、キーボードで1文字ずつ打っていくよりも素早く入力できる。特にスマホの場合、画面上に表示されたソフトウェアキーを打つことになるため、物理的なキーボードが前提のPCよりも入力が遅くなりやすい。Pixel 6、6 Proの音声入力は、このようなスマホの弱点をAIでカバーした機能と言えそうだ。

 端末上で実行できる翻訳機能も便利だ。画面上で再生している動画などの音声を認識して、自動的に特定の言語に翻訳してくれる。翻訳の精度もかなり高い。試しにPixel 6、6 Proの発表イベントを日本語で字幕にしてみたが、内容をきちんとつかむことができた。同様に、メッセージアプリ上での自動翻訳を使えるのも、Pixel 6、6 Proならでは。AIの力で言語の壁を超えたコミュニケーションができるのは、今までのスマホにはなかった新しい機能と言えるだろう。

動画などを再生している際に、流れている音を認識して字幕をつけてくれる。翻訳にも対応

 また、レコーダーの文字起こしがPixel 6、6 Proから日本語に対応した。こちらはシチュエーションによって精度が異なり、音声入力ほどの完璧さはない。例えば、以下は記者会見をテキスト化したものだが、ところどころに誤変換があり、そのままだと日本語として成立していない。特に反響が大きいホールなどの場所で、マイクを通して話された言葉を認識するのはあまり得意ではないようだ。とは言え、全体を通してみると、何となく言っていることをつかむことはできる。

レコーダーの文字起こし機能が日本語に対応した

 比較的固有名詞も正確に文字化されているため、検索キーワードとしても使えそうだ。キーワードで検索して、必要なところから再生し直すといった形で使う上では、非常に役立つ機能と言える。筆者のような記者はもちろん、会議の議事録を作る時や、音声メモ代わりとしても重宝しそうだ。ちなみに、英語の場合はより精度が高くなる。海外の発表会などの中継を見る際に、役に立つことは間違いないだろう。しかもこうした処理は、すべて端末上で完結している。ネットワークを介さないため、データ容量の節約にもなりそうだ。

文字起こししておけば、キーワード検索による頭出しも簡単になる

さらに磨きがかかったカメラ機能、アップデート保証も魅力的

 AIの応用例として、もう1つ挙げておきたいのがカメラだ。元々グーグルはPixelでコンピュテーショナルフォトグラフィーを開拓してきた草分け的な存在だが、Pixel 6、6 Proでは、その機能に磨きがかかっている。2機種共通で標準カメラのセンサーサイズが大型化したほか、Pixel 6 Proは光学4倍ズームに対応。流し撮りや長時間露光をした時のような写真を簡単に撮れる「モーションモード」にも対応した。

 画質は非常に高い。例えば、以下の写真はPixelが得意とする「夜景モード」で撮った夜の写真。明るい部分が白飛びしていないのはもちろんのこと、光が非常に少ない暗い場所も、きっちり風景が描写されている。モーションモードは、カメラを構えるだけで簡単に撮れるのが魅力。動いている人の背景をボカしてスピード感を強調したり、夜景で車が光の帯のように流れていたりする写真が難しいことを考える必要なく撮れる。

Pixelシリーズが得意としている夜景モードの写真。センサーサイズが上がり、クオリティに磨きがかかった

モーションモードを使うと、動きのある写真を簡単に撮れる

 Pixel 6 Proの超解像ズームも、かなり実用的だ。光学的には4倍までしかズームできないが、これまでのPixelと同様、デジタルズームとAIを組み合わせることで最大倍率を20倍まで拡大。写真を5倍に拡大している計算になるが、ディテールがしっかり残った写真が撮れる。一般的なデジタルズームのように、細部がボケたような仕上がりになってしまうことがないのは驚きだ。拡大するとさすがに粗は見えるが、ディスプレイに表示させるぶんには十分なクオリティと言えるだろう。

それぞれ超広角、標準、4倍、20倍で撮った写真。20倍まで拡大しても劣化が非常に少ない

 OSには、Android 12を採用する。カスタマイズがしやすくなったのが特徴で、象徴的なのは、壁紙に合わせてアイコンやメニューの色を自動的に調整する機能だろう。例えば、以下はベージュのような標準の壁紙を設定し、「テーマアイコン」をオンにしたホーム画面。アイコンの色合いが壁紙のテイストに合うよう、自動的に設定されている。設定メニューのフォントの色合いも、壁紙に合わせたものだ。これを緑が中心の壁紙に変えると、アイコンなどの色合いまで一瞬で変更される。ホーム画面に張り付けたポップなウィジェットも、Android 12のものだ。

壁紙に合わせてアイコンの色調まで変化する

 セキュリティやプライバシーといった設定を一元的に管理できるのも、Android 12の特徴だ。Pixel 6、6 Proは、グーグルが手がけているだけに、OSアップデートも3年保証される。いつ新バージョンが登場するかにもよるが、最低限Android 14ないしは15まではアップデートされ続けるというわけだ。セキュリティアップデートも5年保証になり、長く使える1台と言える。スマホの成熟化に伴い、買い替えサイクルは伸びているが、アップデートが途中で打ち切られてしまう端末も少なくない。こうした中、アップデートが保証されているPixelは、選ぶ際の安心感があると言えそうだ。

セキュリティを一元管理できるのも、Android 12の特徴だ

 自社でチップセットから設計し、その結果として音声認識が大幅に強化されたPixel 6、6 Proからは、スマホの新たな可能性を垣間見ることができる。少なくとも、カメラの画質競争だけに陥りがちだったハイエンドスマホの在り方に一石を投じたことは間違いないだろう。デザインも洗練され、フラッグシップモデルとして所有欲をかき立てる1台に生まれ変わった。これまでPixelシリーズを敬遠していた人にも、ぜひ手に取ってほしい1台だと評価できる。

【石野's ジャッジメント】
質感        ★★★★
持ちやすさ     ★★★★
ディスプレイ性能  ★★★★
UI         ★★★★
撮影性能      ★★★★★
音楽性能      ★★★★★
連携&ネットワーク ★★★★★
生体認証      ★★★★
決済機能      ★★★★★
バッテリーもち   ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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