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コロナ禍で増えた「孤独な時間」で人々の幸福度はどう変化した?

2021.11.11

 通りを歩いていると、少し先にあるカラオケ店が入るビルから女の子が一人で出てきた。仕事を終えたアルバイトの子であってもおかしくない雰囲気だったが、もちろん別の可能性もあるだろう……。

コロナで増えた“ソロ活動”について考えながら街を歩く

 冷たく乾いた風に吹かれて夕暮れの街を歩く。街路樹の葉も色づきはじめていた。

 中野区某所での用件を終え、駅に向かって中野通りを歩いていた。どんどん日が短くなっていて辺りはもうすっかり暗い。

 某天丼チェーン店の前を過ぎる。けっこうお客は入っているようだ。それにしてもカウンター席を仕切る透明アクリル板、いわゆるパーテーションがすっかり見慣れたものになってしまった。

 続いて某牛丼店の前を通り過ぎる。この店も同様にカウンター席がパーテーションで仕切られている。

 もともと一人客が多い牛丼店だが、このパーテーションでさらに牛丼店での食事が“孤食”になっているともいえる。今回のコロナ禍で我々は、物理的にも精神的にも独りぼっちになることが増えたことは多くにとって事実だろう。コロナ前から基本的に“ぼっち”である自分にはそれほどの変化はないのだが、それでも外で飲食することはかつてないほど少なくなった。もちろんこれからは徐々にコロナ前の生活スタイルに戻っていくとは思うのだが……。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 牛丼店の先にはドラッグストアに続いてカラオケ店の看板が掲げられたビルがある。そのビルから一人の女の子が出てきた。二十歳前後だろうか。10代半ばであったとしてもおかしくはなさそうだ。路上に降り立つなり、駅の方へ向かって小走りに去っていく。

 もちろん何ら不思議なことのない光景だが、いったいこの女の子はこのビルに何の用があったのか、少しばかり気になった。もちろんこのビルに入っている店の利用客や従業員である可能性が最も高いのだが、女の子が一人で出てきたという点でその可能性の範囲は絞られてくるのかもしれない。

 このビルに入っている飲食店をこの時間帯に若い女の子が一人で利用していたというのは考え難いかもしれない。同じく、アルバイトなどの従業員であった場合、この時間に仕事を終えるシフトというのはあり得るのだろうか。あり得ないわけではないのだろうが、次に脳裏に浮かんできたのが「独りカラオケ」だ。

 もちろんコロナ前から「独りカラオケ」は一人で楽しむ趣味として認知が高まってきていたが、ある意味で面白いことに今回のコロナ禍で「独りカラオケ」は感染症予防上の有力な後ろ盾を備えた“立派な”趣味になったといえる。

 もちろんあの女の子が「独りカラオケ」していたのかどうか、知る由もなければ確かめる術もないが、そうである可能性は決して少なくないように思える。ともあれ趣味や娯楽における“ソロ活動”は昨今確実に増えていそうだ。

コロナ禍で増えた“孤独な時間”はおおむね充実体験

 JR中野駅北口に到着する。電車に乗って帰る前に、どこかで軽く何かを食べてもよかった。天丼店と牛丼店は通り過ぎてしまったので、今は戻る気にはなれない。高架橋の下を潜り抜けて南口に出てもいいのだろう。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 コロナ禍によって一人で食べ、一人で遊ぶことがこれまで以上に増えたともいえるのだが、予期せず味わうことになった“孤独な時間”を実際のこところ我々はどう感じているのか。最新の研究ではロックダウンで否応なく味わうことになった“孤独な時間”は、人々にとっておおむねポジティブな体験になっていたことが報告されていて興味深い。コロナ禍で味わうことになった“孤独な時間”は充実した貴重な体験であったというのだ。


 パンデミックの間に一人で過ごした時間は、すべての年齢の幸福にプラスの効果をもたらしたことを新たな研究が突き止めました。

 今日(11月1日月曜日)の「Frontiers in Psychology」に掲載された、2000人を超えるティーンエイジャーと成人を調査した研究では、ほとんどの人が世界的なCOVID-19パンデミックの初期に孤独から恩恵を受けたことがわかりました。

 すべての年齢層は、一人でいることのプラスとマイナスの影響を経験しました。しかし研究者たちは、孤独の描写には、否定的な効果よりも肯定的な効果が多く含まれていることを発見しました。平均して、参加者が一人でいるときの幸福スコアは、13~16歳の青年を含むすべての年齢で7点満点中5点でした。

※「University of Reading」より引用


 イギリス・レディング大学をはじめとする研究チームが2021年11月に「Frontiers in Psychology」で発表した研究では、2000人を超えるイギリス人を調査して、ロックダウン下で普段よりも孤独になった期間が及ぼしたメンタルヘルスへの影響を探っている。

 一般的にはどんな理由であれ孤独を強要されることにはネガティブなイメージがつきまとうともいえるのだが、今回の研究では、孤独がもたらすポジティブな効果はあまり積極的には語られないだけであって、実は全年齢層でメンタルに前向きな影響を及ぼしていることが示されたのだ。

 もちろん疎外感などのによるネガティブな感情も味わってはいたのだが、それにも増してポジティブな効果が働いていたというのである。

 ロックダウンで最もネガティブな経験を味わったのは働く若者のグループだったのだが、それでもネガティブ体験よりはポジティブ体験のほうが多く、全体としてはポジティブな体験であったことが報告されている。

“孤独な時間”がどのように有意義であったのか。具体的にはスキル獲得のために時間を費やすことができ、より自律性な活動を行うことができたことが主に挙げられている。研究チームによれば、ロックダウン中に多くの人が趣味を再開したり、あるいは新しく趣味を始めたり、散歩やサイクリングで近場の自然に触れる時間が長くなっていたりと、“孤独な時間”を充実させていたことが浮き彫りになったのだ。

“おひとり様”に快適な空間で食事をする

 中野通りを跨ぐ高架橋を潜り抜けて南口に出る。飲食店、特に居酒屋が密集する北口界隈と違い。南口側は人通りもやや少なく落ち着く街並みだが、それでも飲食店はこちらもかなり多い。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 どこか近くの店に入ろうと思うが、特にこだわって店を選ぶつもりもない。別に牛丼でもかまわないのだが、ざっと見渡したところそれらしきファストフード店はないようだ。

 中野通りを右側に渡ったところのビルの2階に、某大手チェーンのカフェレストランがある。ここでもいいのだろう。さっそく向かってみる。

 ビルに入っている店舗だけに店内はこじんまりとしている。消毒と検温を済ませて店の人に案内されたが、1人客が気兼ねなくいられる小ぶりのテーブル席が多い。席の間も低い仕切りで区分けされている。そうした席のいずれかに着くようにと促され、空いているテーブルに着く。

 ある意味では牛丼店のカウンター席よりもさらに“孤食”ができるプライベート空間かもしれない。人目を気にすることなく束の間の時間を過ごせそうである。

 テーブルにあるタブレット端末を操作して「若鶏のグリル大葉おろし」に、ご飯と味噌汁、ドリンクバーなどがついたセットを注文する。これから部屋に戻って少し作業があるので今はアルコールはやめておく。というか、アルコールを飲む前提であればこの種の店に入るはずもない。

 席を立ってドリンクバーへ行き、グラスにアイスキューブを入れてからアイスコーヒーを注いでテーブルに戻る。一人で快適に過ごせる空間だけに、仕事が立て込んでいなければ1時間くらいは余裕で過ごせそうだ。ともあれこうして“おひとり様”でも気兼ねなく過ごせる場所があるのは有難いことである。

 コロナ禍で注目されたアクティビティの1つには一人でキャンプをする「ソロキャンプ」もある。「独りカラオケ」同様、この「ソロキャンプ」もコロナ前からじわじわと支持を集めてきていたが、これもまたコロナ禍で安全な趣味としてお墨付きをもらうことになった格好だ。これらはまさに“ニューノーマル”な趣味ということになるのだろう。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 料理が運ばれてきた。思っていた以上のボリュームだ。ご飯は箸で食べたいが、鶏肉はナイフとフォークを使ったほうがいいだろう。ナイフで切り分けた鶏肉に大根おろしを乗せて口に運ぶ。さっぱりしていてご飯が進む。美味しい。

 レストランでの食事は誰か気の置けない人物と共にしたほうが美味しく食べられるというものだが、コロナ禍の影響は確実にあるようで、店内の半分以上は一人客という感じだ。複数人では二人組みがほとんどで、三人以上の団体客は見たところいないようだった。

 一人客の中にはノートパソコンを開いて作業をしている者も少なくない。もちろんスマホを眺めたり読書をしている者もいる。一人の外食もまったく普通のことになったといえるのだろう。そして店の作りが“おひとり様”にも心地よい。

 夜に近所の住宅街を歩いていたりする時など、一人でジョギングをしている人の姿を目にすることがこのコロナ禍で明らかに増えたように思える。前出の研究が示唆するように、増えた“孤独な時間”を有意義に過ごしている人々は実はかなり多いということになるのだろう。暮らし方や生活習慣を考え直すきっかけを提供してくれたという点で、コロナ禍は重要な“気づき”をもらたしてくれたといえる。近いうちに人生初の「独りカラオケ」を体験してみる案もないわけではない。

文/仲田しんじ

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