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俳優へ転身!舞台、映画、ドラマと一歩ずつ前進する33歳の元Jリーガー・青山隼の今

2021.11.04

11月公開の「恋する寄生虫」に出演。俳優として急成長中の33

尊敬する大先輩・寺島進との2ショット(事務所提供)

インタビューで笑顔を見せる青山隼(事務所提供)

林遣都と小松菜奈のダブル主演で1112日から全国公開される「恋する寄生虫」。本来であれば2021年春上映予定だったが、コロナ禍で半年以上延期され、ようやく今月、お目見えされることになった。

この映画に体育教師の役で出演しているのが、2015年夏までJリーガーだった俳優・青山隼。その後、俳優へと転身し、舞台やテレビ、CMなどへと活動の幅を広げている”33歳の若手である。

「撮影はコロナ禍前の2020年春に行われました。僕は体育教師の役、事務所を通じてオーディションに呼ばれ、数人の中から選ばれる形だったんですが、同じ芝居を10回以上するのはなかなか難しかったですね。僕は5年前、『痛快TV・スカッとジャパン』(フジテレビ系)の再現ドラマで最初のテレビ出演をさせてもらったんですが、カメラ位置や制作現場を知らなかったせいで、2223回もNGを出してしまった(苦笑)。その時に比べたらだいぶ成長したなと自分でも思います。完成版はまだ見てないです、今からすごく楽しみですね」と青山は爽やかな笑顔を見せる。

元日本代表の内田篤人(JFAロールモデルコーチ)がシャルケ在籍時代の2013年1月に剛力彩芽主演の月9ドラマ「ビブリア古書堂の事件手帖」に職業安定所員役でゲスト出演したり、同じく元日本代表の播戸竜二(Jリーグ特任理事)が今夏上映された松坂桃李主演の映画「虎狼の血 LEVEL2」に賭場の客役で出演したりと、サッカー選手が俳優にチャレンジしたケースはいくつかあるが、本格的な転身例は青山が初めてだ。

かつては香川真司、内田篤人とも共演

「僕は仙台出身で、ユース時代は香川真司(PAOK)と同じFCみやぎバルセロナユースでプレーしていました。2006年に名古屋グランパスへ加入。セレッソ大阪、徳島ヴォルティス、浦和レッズで10年間もJリーガーとして活動することができました。2007年には真司やウッチーと一緒にU-20ワールドカップ(W杯)にも出させてもらった。今思っても本当に素晴らしい経験でしたね。

ただ、現役中はずっと不安と葛藤の日々でした。叔母の篠ひろ子、叔父の伊集院静からは『いつまでサッカーを続けられるか分からないから、普段からいろんなことに視野を広げて生活しなさい』と言われていました。そんな時、徳島の熱狂的サポーターだった大杉漣さんの作品を見て、演じることに興味が湧いた。それから27歳で引退して、思い切って俳優の道に飛び込んだんです」と彼は大胆決断の背景を説明する。

2006AFCU-19選手権(インド)に出場した青山(左端=筆者撮影)

とはいえ、芸能界は素人がいきなり活躍できるほど甘い世界ではない。JリーガーはJ1~J3で1600人程度だが、俳優と名の付く人は1万人をゆうに越えるだろう。潤沢な生活ができるレベルに達した人はほんの一握り。青山自身も現在のジャパン・ミュージックエンターテインメントに所属し、養成所に通い始めたが、当然のごとく仕事は入らない。Jリーガー時代の貯金を取り崩してばかりもいられず、都内繁華街の中華料理店でアルバイトを始めた。

就業経験皆無の元トップアスリートが28歳にして生ビールや酎ハイの作り方を1から学び、皿洗いを強いられるのは苦痛も伴うはずだが、「どんなことにも学びはあるし、何もせずじっとしてるよりは楽しい」と明るく前向きに取り組んだ。体を動かしてスッキリできるのは体育会系の強みかもしれない。

初テレビ出演の「スカッとジャパン」では20回以上のNGも

最初の仕事は201610月に出演したHYBRID PROJECT Vol.14 RANPO chronicle 虚構のペルソナ』という江戸川乱歩原作の舞台。妻がいるのに人形を愛する夫というサイコパスな役。サッカーにまい進してきた彼には想像もできない人物だったが、体当たりで乗り切った。前出の「スカッと」はこの直後。サッカー部員の役で、素の自分を出せばよかったのに、カチカチになりすぎて、自然な演技とは程遠かった。

これを機に仕事は少しずつ増えていったが、生計を立てられるわけではない。中華料理店のアルバイトは1年ほどでやめ、事務所と縁のある川崎のサッカースクールで少年指導をスタート。俳優とコーチの二足の草鞋を履きながら「少しでもいい役者になりたい」と願い続け、努力を惜しまなかった。

サッカーコーチ業も熱心に取り組む(事務所提供)

そんな彼を襲ったのがコロナ禍だ。2020年4月以降はエンタメ業界が事実上ストップ。映画やドラマで主役を張る大御所でさえも仕事が減少し、苦境に陥った。「スカッと」のような再現ドラマに有名俳優が出演することになれば、青山のような実績の少ない若手俳優にはチャンスが巡ってこなくなる。

コロナ禍で考えた新たな身の振り方

まさに厳しいご時世ではあったが、そこで1つの転機が訪れる。新たな担当マネージャーとの出会いだ。それをきっかけに自身の身の振り方を1から考え直す機会に恵まれたのだ。青山は一度は離れたつもりだったサッカー関係の仕事にも目を向け始め、俳優業に限らず、いろんなジャンルに幅広くチャレンジしていこうという意欲が沸き上がった。

こうした流れから出会ったのが、俳優・脚本家・監督とマルチな能力を発揮する上西雄大。芸能プロダクション兼劇団「10ANTS(テンアンツ)」の代表だ。彼が主宰し、10月に下北沢小劇場で上演された舞台「ヌーのコインロッカーは使用禁止」に青山は2役で出演したのである。

「上西さんとお目にかかったのは今年1月。監督の映画『ひとくず』をマネージャーと一緒に観に行った時にご挨拶させてもらったのが最初です。そこで、少し先にワークショップがあると聞いて、ぜひ参加させていただきたいと思っていたのですが、緊急事態宣言の度重なる延長で先送りになってしまいました。結局、次にお話ししたのは8月。監督の主宰映画『ねばぎば新世界』を本厚木の映画館で鑑賞した後、面談していただきました。『サッカー選手だったんですね』と優しく声をかけていただき、『ヌー』のワークショップに参加させていただくきっかけをいただきました。その2~3週間後に顔合わせがあり、本読みをしながらどの役にするか決めるということで、僕は刑事役をいただくことになりました。刑事は一度経験して見たかったので、その話を聞いた時にはワクワクしました。その後、稽古を重ねるうちに監督から『さらにもう一役、コインロッカーの客役もやってくれないか』と言われ、自分の芝居に向き合う姿勢を認められたようで、すごく嬉しかったです」

舞台出演に至るケースは、青山のような監督直々の面談を経る例もある一方、事務所の売り込み、書類選考後のオーディション、自費によるワークショップで引っ張られるケースもある。サッカー選手が全国大会に出てスカウトの目に留まったり、Jクラブのセレクションや練習参加に行って契約を勝ち取るのと似ている。同じような勝負の世界にいたうえ、俳優転身後の6年間で何十回ものオーディションを受けている彼は「一期一会のチャンス」をモノにする重要性を熟知していた。持ち前の「野生のカン」でこの作品を引き寄せたと言っていい。

作品に真剣な表情で向き合う(事務所提供)

「『ヌー』は僕にとって9作目の舞台。上西さん筆頭に共演者の方々は経験豊富で自分が一番下っ端だったんですけど、みなさん気配りがすごかった。それに物凄いタフ。夜遅くまで稽古して、深夜に事務作業をこなし、朝から京都の映画祭に行って、また舞台に間に合うように戻ってくるといったことを平気でやっていました。その行動力を見ていたら、自分はまだまだだなと痛感しました」

マルチな活躍を見せる上西雄大監督から受けた影響

このように稽古期間から毎日が発見の連続だったという青山。そういった中で一番勉強になったのが、上西が他の役者にダメ出しする1つ1つの内容だった。

「監督が言うことをメモして自分なりに考えました。例えば『このセリフは間を開けて』と言われた時、単にそうするのと、その意味を考えながらやるのとでは全然違いますよね。それが本当の意味での演技だと腑に落ちたんです。サッカーでも「止める蹴る」の基礎が大事と言いますけど、芝居も同じ。刑事役をやるにしても、先輩刑事や犯人との関係性やバランスを考えながらセリフの言い方を微妙に変化させるとリアルになりますよね。そういったことを丁寧に教えてもらえたので、役者としての自信が少なからず生まれました」

舞台は10日間で昼・夜の上演がある。今回はダブルキャストのため、青山はその全てに出たわけではないが、繰り返しているうちにマンネリ化しがちになる。そうならないようにフレッシュな状態を保ち続ける大切さも再認識した。いい緊張感の中、千秋楽まで走り切った時はかつてないほどの達成感を覚えた。

「指導しているサッカークラブの少年や保護者の方にも来ていただいて、本当に嬉しかったですね。彼らに活力やエネルギーを与えたいし、人生の選択肢を増やすお手伝いができればと思って取り組みました。『隼コーチが頑張ってる姿を見てジーンと来た』と言ってくれる人もいて、これからもっと精進していこうという気持ちになりました」

貴重な経験を経て、俳優として一段階飛躍した青山。11月の「恋する寄生虫」に続き、年明けにはドラマや映画でも彼の姿を見られる機会が増えそうだ。「まだまだスケジュールは真っ白ですよ」と本人は茶目っ気たっぷりに笑うが、「成功しなきゃいけない」という気負いがなくなり、身軽な状態になれたと言う。

演じることを深く理解できた「ヌー」での舞台経験(事務所提供)

偉大な先輩・寺島進のような男になりたい!

「僕は同じ事務所の寺島進さんを物凄く尊敬しているんですが、自分を大きく見せようとしたり、着飾ったりは全くしていない。ホントに自然体なんです。トップでやっている方は視野が広くて、周りへの気遣いができる。自分も寺島さんのような男になりたいと強く思っています」

俳優デビューして丸5年。青山は自分の進むべき方向が少しずつ見えてきたようだ。

30代になって新たな世界にチャレンジしても決して遅くない。何かに挑戦することに年齢は関係ない。それを身を持って示すべく、彼は今日も明日も全力でチャレンジし続ける。(本文中敬称略)

取材・文/元川悦子

長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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