
Androidスマートフォンには、「Galaxy」や「Xperia」といった多くのシリーズがあります。これはグーグルが開発する「Android OS」というオープンソースを各メーカーが採用しているためで、自由度が高くユニークな個性をもつ製品が多いのも、Androidスマートフォンの魅力になっています。
そんな中、グーグルがソフトウエアだけでなく、ハードウエアも手掛けるスマートフォンシリーズ「Pixel」から、最新モデルである「Google Pixel 6」「Google Pixel 6 Pro」の2モデルが発売。従来シリーズからデザインを刷新し、初となる自社開発プロセッサを搭載するなど、注目ポイントの多い製品となっています。
今回は、発売前に製品を試せたので、両端末を使いながら、それぞれの特徴を紹介していきましょう。
「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」は2021年10月28日に発売!
「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」は、2021年10月28日より発売を開始。公式オンラインストアである「Google Store」のほか、「Pixel 6」はau/ソフトバンクの2キャリアから、「Pixel 6 Pro」はキャリアとしてはソフトバンクの専売となっています。
2キャリアからの発売価格は執筆時点(2021年10月中旬)で未発表ですが、「Google Store」からは「Pixel 6」が7万4800円~、「Pixel 6 Pro」は11万6600円~の発売となります。また、それぞれ純正ケースが3630円で販売されます。
性能を向上させながら大きく路線変更したデザイン!
シリーズ最新モデルとなる「Pixel 6/6 Pro」ですが、前モデル「Pixel 5」以前の端末と比較すると、デザインにかなりの変化があります。
左からPixel 5、Pixel 6、Pixel 6 Pro
特徴的なのは背面のデザインで、従来は背面中央に指紋認証センサー、左上にカメラユニットを配置するという構図でしたが、今モデルからは指紋認証センサーがディスプレイ内蔵になり、カメラは横一線の“カメラバー”と呼ばれる形になっています。
カメラユニットの存在感が増し、出っ張りは多少気になるところではありますが、本体を机に平置きした際には左右にぐらつく心配がなく、少し傾斜がつくため正面から操作しやすいという“副産物”的なメリットも感じられました。ただし、レンズに傷がつく可能性は否めないので、カバーをつけるといった対応がおすすめです。
上がPixel 6、下がPixel 6 Pro。側面の加工にも違いがある。
本体は両端末ともにIP68の防塵・防水性能に対応。おサイフケータイ機能の利用も可能になっています。
6.4インチ/6.7インチのディスプレイ性能は「Pixel 6/6 Pro」でかなり違う?
「Pixel 6」と「Pixel 6 Pro」には販売価格に約4万円の差があり、購入を検討している人にとっては、“4万円の性能差”が感じられるかがポイントでしょう。両端末にはスペック上複数の違いがあるのですが、顕著に表れているのがディスプレイ性能です。
「Pixel 6」はディスプレイが6.4インチの有機ELパネル、解像度は1080×2400のFHD+、縦横比率は20:9と若干縦に長い形。「Pixel 6 Pro」は6.7インチの有機ELで、解像度が1440×3120のQHD+、縦横比率は19.5:9となっています。本体質量は「Pixel 6」が207g、「Pixel 6 Pro」が210gです。
サイズに違いがあるのはもちろんのこと、「Pixel 6」は扱いやすいフラットディスプレイ、「Pixel 6 Pro」はディスプレイ左右が湾曲しているエッジディスプレイを採用しているので、アプリゲームをプレイしたり動画を視聴する際には「Pixel 6 Pro」のほうが迫力や没入感を演出できます。“扱いやすさ”を取るか、“視聴体験”を取るかといったところでしょう。
また、「Pixel 6」はリフレッシュレートが「Pixel 5」と同様の最大90Hzなのに対し、「Pixel 6 Pro」は最大120Hzに対応しました。リフレッシュレートが高いほど画面はスムーズに動くのですが、実際にゲームをしたり動画を視聴していても、じっくり見比べなければ体感できないレベルで両端末ともサクサク動きます。ヘビーにゲームをするといったユーザーでない限り、あまり気にならないポイントかもしれません。
自社開発プロセッサ「Google Tensor」の実力はいかに!
「Pixel 6/6 Pro」には、シリーズ初の自社開発プロセッサである「Google Tensor」が搭載されています。
初登場のプロセッサということで、どれほどの処理性能を持つのかが注目なのですが、実際に負荷の大きいゲームを長時間プレイしたり、動画を見続けても動きがカクつくことはなく、ハイエンドスマートフォンとして十分な性能を持っている印象です。
筆者は普段「Snapdragon 888」を搭載した「Galaxy S21 Ultra 5G」を使用してゲームをプレイしているのですが、処理において劣る印象はありません。また、「Snapdragon 888」の気になるポイントである発熱に関しても、多少本体が温かくなる程度で、使用上不具合が起きるようなことはありませんでした。
搭載メモリは「Pixel 6」が8GB、「Pixel 6 Pro」が12GBとなっており、どちらも大容量です。複数のアプリを同時に起動したり、重いゲームをプレイするユーザーは12GB搭載の「Pixel 6 Pro」のほうが安心ですが、普段使いにおいて「Pixel 6」でパワー不足に感じることはなさそうです。
また、「Google Tensor」には独自のセキュリティコアが組み込まれており、運用も安心。最低5年間のセキュリティアップデートにも対応しているので、長く同じスマートフォンを使用したいという人にもおすすめできます。
ストレージは両端末ともに128GBモデル/256GBモデルの2つが用意されています。バッテリー容量は「Pixel 6」が標準で4614mAh、「Pixel 6 Pro」が標準で5003mAhとどちらも大容量。いずれもQi規格のワイヤレス充電や“バッテリーシェア”機能に対応しています。
また、昨今耳にする機会の増えた「eSIM」にも対応。物理SIMカードとの併用で「デュアルSIM」の運用も可能です。
“カメラバー”は画質も機能もユニークな仕上がり!?
背面カメラは「Pixel 6」が50MP 広角/12MP 超広角の2眼レンズ、「Pixel 6 Pro」はこれに48MP 望遠レンズを加えた3眼レンズを採用しています。インカメラは「Pixel 6」が8MP 視野角84度、「Pixel 6 Pro」が11.1MP 視野角94度となっています。
Pixel 6 Pro よく見るとPixel 6にはない望遠レンズが組み込まれていることがわかる
Pixelシリーズのカメラといえば、シャッターラグが少なくフォーカス速度も速いため、スマートフォンのカメラらしく“サッと”きれいな写真が撮れるのが特徴。加えて、AIで色味を補正し、鮮やかな写真に仕上げられるようになっています。
「Pixel 6/6 Pro」もこれらはしっかりと踏襲されており、手軽にきれいな写真が撮れるようになっています。夜景モードも優秀で、光をしっかりと取り込むことで、鮮やかな写真に仕上がる印象でした。
「Pixel 6/6 Pro」からの新機能としてユニークなのが、動き回る被写体に対してフォーカスをしっかりと合わせ、効果的な背景ぼかしが行える「アクションパン」と「長時間露光」機能。小さな子供やペットなど、ピントを合わせにくい被写体に対しても有用な機能です。
また、実用的な機能として挙げられるのが「消しゴムマジック」機能。写真撮影時に写りこんでしまったものを後からワンタップで消せる機能で、AIが削除案を提案してくれるほか、消したい対象をタップして選択することもできます。
「Pixel 6/6 Pro」×「Android 12」の独自機能が超便利!
「Pixel 6/6 Pro」は「Android 12」という最新バージョンのOSがあらかじめインストールされています。既存のAndroidスマートフォンでもいずれAndroid 12にアップデートできる可能性がありますが、このタイミングで最新OSを利用できるのは、ソフト/ハードともにグーグルが開発している強みです。
「Pixel 6/6 Pro」とAndroid 12の組み合わせでは、音声認識機能がかなり強化されています。「レコーダー」アプリではリアルタイムで録音した話し声を文字起こしできます。
また、翻訳機能も向上しており、チャットの文章や動画の音声をリアルタイムで翻訳できるようになっています。英語のメッセージが届いた際にはワンタップで日本語に翻訳できるなど、手軽に他言語の友人とやり取りできるようになりました。
安定・安心で使いやすい「Pixel 6」とヘビーユーザーに嬉しい大画面「Pixel 6 Pro」
グーグルがソフトウエア/ハードウエアともに開発するスマートフォンの最新モデルとして登場する「Pixel 6/6 Pro」。2モデルの性能差に重点を置きながら特徴を確認していきましたが、どちらもハイエンドスマートフォンとして完成度の高い仕上がりです。
当然、ディスプレイ性能やメモリ容量などに違いがあるため、ヘビーユーザーには「Pixel 6 Pro」がおすすめですが、扱いやすいフラットディスプレイに高い性能を持つ「Pixel 6」も使い勝手が良く、7万4800円~という価格は高コスパに感じられます。
内蔵のプロセッサや、利用できる機能はほぼ共通になっているので、ディスプレイサイズや望遠レンズの有無といった、ハードウエア的な仕上がりの違いに注目して購入機種を選ぶのが良いでしょう。
取材・文/佐藤文彦
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