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デジタル技術を活用して社会問題を解決する「パブリテック」って何?

2021.11.02

パブリック×テクノロジーの造語「パブリテック」は、デジタル技術を活用して社会問題を解決することを目指す取り組みだ。コロナ禍により深刻化した課題を受け、パブリテックはより一層加速した。どのような課題が生まれ、どのように解決へと向かったのか。

2019年より地方自治体や行政の業務改善を支援し、付加価値の高い行政サービスにつなげるパブリテック事業を展開する株式会社トラストバンクの担当者にインタビューを行った。

「パブリテック」とは?

パブリテックとは、「パブリック(Public)」と「テクノロジー(Technology)」を組み合わせた造語である。

主に、地方自治体がAIをはじめとしたデジタル技術を活用し、業務効率化や住民サービスの向上など、社会問題を解決する仕組みを構築することで、課題を解決する取り組みだ。

すでに各地方自治体は、さまざまな社会問題をデジタル技術の力で解決することに取り組んでいる。

コロナ禍による自治体ニーズの変化

コロナ禍となった2020年3月頃より、自治体のニーズはどのように変化してきたか。

トラストバンクの取締役兼パブリテック事業部長 木澤真澄氏は次のように答える。

トラストバンク取締役兼パブリテック事業部長 木澤真澄

「コロナ禍により、申請手続きなどの行政サービスについて、非対面でできるオンライン手続きのニーズが増大しました。また、職員自身も時差勤務やテレワークなど、時間や場所を選ばない働き方もできる環境が求められるようになりました。こうした背景から、『オンラインでやってみよう』『デジタルに挑戦してみよう』という機運が日本全国で生まれていることを感じています。このコロナ禍を受けた数年の進展は、後から見ても、大きな転換期になるのではないかと考えています」

実際、トラストバンクが2019年11月に正式リリースした国内初の自治体専用ビジネスチャット「LoGoチャット」も、リリース当初は一部の自治体には望まれていたが、まだまだ、全国的にはビジネスチャット自体になじみがない状況だった。一方、2020年3月以降になって、非対面でのコミュニケーション、テレワーク、そして新型コロナウイルスや災害など有事の際の迅速な情報連携等の必要性が高まり、LoGoチャットの利用自治体は拡大し続け、現在では、全国の自治体の4割以上、720を超える自治体で利用されているという。

「LoGoチャット」イメージ(トラストバンク提供)

LoGoチャットを使う自治体職員の様子(長野県塩尻市提供)

コロナ禍で深刻化した自治体課題をどう解決したか

新型コロナウイルス感染拡大を受け、自治体においては従来の課題がより深刻化したという。

木澤氏は、自治体特有の「多様かつ複雑な業務」がコロナ禍によって拡大していること、そして「行政DXを促進する必要性」がコロナ禍でより浮き彫りになったと述べる。

「自治体を取り巻く環境は、多様で複雑な課題にも素早く対応できる行政サービスが求められるようになっている一方で、全国の自治体職員数が減少し、多様かつ複雑な業務が拡大する変化をたどっており、コロナ禍によりそれは一層、加速するものとなりました。

そのような中で、行政のデジタル化が求められており、いち早く行政デジタル化を実現する上で『情報共有の効率化』『意思決定のスピード向上』、そして『全職員の行政DXへの参画体制』が必要となっています」

鹿児島県奄美市はワクチンの廃棄を防ぐため、LoGoチャットで余剰ワクチンの接種が可能な職員を迅速に募っている(トラストバンク提供)

そこでトラストバンクは、先述のセキュリティ面で安全性の高いクラウド型ビジネスチャットである「LoGoチャット」を提供。コロナ禍の情報共有やテレワークの推進を後押しするため、長期間の無料トライアルも行った。

「2020年3月にリリースした行政手続きデジタル化ツール『LoGoフォーム』は、特別なプログラミング知識が不要なノーコードなツールです。自治体職員が電子申請や申込予約、アンケートなどのWebフォームを自分で簡単に作成・集計し、一元管理できる自治体専用のデジタル化総合プラットフォームです。

今までのデジタル化は、その都度、システム開発の時間と費用が発生しており、それに携わる人材も一部の専門職員に限られていました。地域の実情に合わせた有事の対応において、オンライン化のニーズが高いものであっても、時間と予算と人手が限られており、今までは電子化が見送られてきました。しかし、職員が簡単に使いこなせる内製化ツールである『LoGoフォーム』により、有事にも迅速に対応できています」

「LoGoフォーム」イメージ(トラストバンク提供)

LoGoフォームでは、コロナワクチンの接種希望調査、ワクチンパスポートの申請、感染症対策の店舗認証、協力金の支給の申請、保健所の濃厚接触者や入院患者からの体調報告などで活用されているという。自治体がコロナ対策ですばやくLoGoフォームを活用できるように「コロナ対策パッケージ」としてフォームのテンプレートを提供し、サポートしている。

パブリテックにより進む自治体間のコラボ

パブリテックは、ただの業務効率化だけでなく、自治体同士の情報共有やコラボレーションを容易にした。実際、トラストバンクの行政DXサービス「LoGoシリーズ」は、自治体同士のコラボレーションの促進にも一役買っているという。

「民間企業と異なり、以前から全国の自治体は互いに協力しながら、それぞれの地域や行政サービスの向上を目指して、取り組みや成功事例を共有する文化があります。もちろん各地域で課題や施策は異なりますが、基本的には行政サービスは全国どこも同じ仕組みですので、どこかの地域の成功事例は全国の自治体の参考になり、全国の地域の住民サービス向上に役立ちます。

しかし、これまで自治体が他の自治体から情報収集をする際には、その都度電話をかけて聞いたり、現場まで足を運んで視察をしたり、年に数回の集合研修や事例発表会等で情報収集をしていました。こうしたニーズを満たし、自治体間のコラボレーションをさらに促進させるために、全国の自治体職員がオンラインで意見交換できるコミュニティの場として、LoGoチャットで『ユーザーグループ』を提供しています」

コミュニティの場であるLoGoチャットの「ユーザーグループ」とはどのような場なのか。

「これは、全国の自治体職員がオンライン上で情報交換や相談をしたり、成功事例を共有したり、互いに気軽に議論ができる場です。すでに9,000名近くの職員が、100以上のテーマで日々、議論や成功事例等の知見の共有をしています」

数多くあるテーマの中で、今、一番盛り上がっているのが「新型コロナワクチン接種」に関するトークルームだという。ここでは、全国のワクチン担当の自治体職員などが420名以上参加し、ワクチン接種のスケジュールの策定方法や予約の受付方法、国からの通達の解釈、余剰ワクチン対策など現場の課題に対する意見交換が日々活発にされているそうだ。ここでは、質問への回答やアドバイスが飛び交い、自治体同士がコロナ対応を助け合う動きもみられたという。

LoGoチャットユーザーグループの「新型コロナワクチン接種」ルーム画面例(トラストバンク提供)

「新型コロナワクチン接種のトークルームは、2020年2月頃、トラストバンクが自治体の要望を受けて立ち上げました。ここでは、日夜、前例のない新型コロナウイルスのワクチン接種対応について、全国の担当職員が420人以上入り、ワクチン対応について課題やノウハウを意見交換しています。たとえば、自治体が設置するコールセンターで使える共通のFAQを参加職員みんなで作ったり、接種会場の簡易受付シートを作成して共有した職員さんがいたりしました。長野のある自治体職員は、ワクチン接種記録システム(VRS)にデータを一括登録できる効率化ツールを自作してLoGoチャットに投稿したところ、他自治体から改善案が投稿され、ツールをブラッシュアップできた事例もありました」

「LoGoフォーム」についても、シェア機能が自治体コラボに役立っているという。

「LoGoフォームには、申請手続きやアンケートなどの電子化したフォームを他のLoGoフォーム利用自治体にテンプレートとしてシェアできる機能があります。これにより、自治体間での助け合いが生まれ、ナレッジとして蓄積することができ、すでにその共有フォーム数は400を超えています」

今後の課題と展望

すでに自治体の業務効率化を促進し、自治体間の情報共有やコラボにまで発展しているパブリテック。今後の課題は?

「自治体や行政におけるDXやデジタル化が実現するためには、行政内部のデジタル化がどれぐらい進むかということと、地域に住んでいる住民側のデジタル化がどれぐらい進むか、ということが大きな課題でした。

アフターコロナ時代における行政内部のデジタル化と住民接点のデジタル化について、成功のカギは『大きなDX』と『小さなDX』の両輪にあると考えています。国の方針や組織の戦略といったトップダウンの『大きなDX』の動きと、一人ひとりの職員による地道なデジタルツール利活用の促進というボトムアップの『小さなDX』の動きを、いかに車の両輪としてかみ合わせるかにあります。

我々は、行政DXツールを提供する立場として、この『小さなDX』のボトムアップの動きを後押しすべく、地域が『小さなDX』の成功事例を積み上げていけるよう支援していきたいと考えています」

パブリテックが発展していくと共に、生活者の生活の利便性が高まっていくことは間違いないといえる。行政DXの進行と共に、一住民として、積極的にデジタルを活用していくことも意識したいものだ。

【取材協力】
株式会社トラストバンク「パブリテック事業部」

取材・文/石原亜香利

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