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世界の超富裕層を知る投資マイスターが解説する「日本人がFIREに向いていない理由」

2021.11.07

【短期集中連載】世界の超富裕層を知る投資マイスターが解き明かすお金の話

<第4回>なぜ、日本人はFIREに向いていないのか?

スイスの伝統的プライベートバンクの運⽤哲学や世界の超富裕層の投資哲学にも詳しい、独立系アドバイザリー・ファーム「アリスタゴラ・アドバイザーズ」代表・篠田丈が、経済ニュースの読み解きから具体的な投資アドバイスまで縦横無尽に語っていく短期新連載。今回は、最近、金融系メディアでよく見かけるようになった“FIRE”という言葉と日本人について考察する。

アメリカ人らしい発想の“FIRE”

“FIRE”とは、Financial Independence, Retire Earlyの略で、経済的独立と早期リタイアを実現することを指します。アメリカでリーマンショック後、30代、40代を中心に「投資の収益で生活費を賄い、早期リタイアする人」が増加し、ミレニアル世代(1981~96年生まれ)からも支持され、広まったようです。

具体的には、「25年分の生活コストをためること」と「それを平均年4%で運用すること」を目指すそうです。生活コストが年400万円なら1億円を貯め、それを平均年4%で運用すれば確かに、毎年の生活コストを捻出できる計算です。

日本でもこうした考え方を取り入れ、一定の金融資産を貯め、40代で早期退職するのを「夢の実現」などと書かれたものが一部、見られます。

個人的な意見ですが、“FIRE”はアメリカ人らしい発想です。

アメリカはもともと、自由主義の色彩の強い国であり、国民全体を対象とした公的健康保険がないなど、社会保障制度が脆弱です。労働市場の流動性も高く、キャリアプランにしろ、ライフプランにしろ、老後の準備にしろ、多くは個人の努力と責任とされています。

そうした社会風土において、貯蓄に励み、“FIRE”を目指す人がそれなりにいるのは分かります。

また、“FIRE”は資産家や富裕層を目指すのではなく、基本的にミニマリストの発想といえます。貯蓄のために生活費を切り詰め、早期リタイアした後も贅沢をしない生活を送ることが大前提になっているのです。

アメリカには一方で、金融業界などで働き、何百億円、何千億円という資産を築き、あとは自由気ままに生きている富裕層や資産家もいます。こうしたビジネスで成功したアメリカ人の富裕層や資産家には確かに早期リタイア組が多くいます。彼らの特徴は、派手な生活をして、人脈やお金の使い方をあっけらかんとひけらかすことです。

筆者の知人で60代のアメリカ人もその一人です。ウォールストリートで働いて有り余る資産をつくり、40代でリタイアしました。西海岸に移って有名芸能人などと遊んで暮らし、5年ほど前には日本に移住。日本でも芸能人のほか資産家や経営者などと交流し、都内に300軒ほどあるミシュランの星付きレストランはすべて制覇したと豪語しています。また、映画に何十億円投資して何倍のリターンになったとか、逆に何十億円損したとかペラペラ話してくれます。

アメリカ人というのは、“FIRE”派にしろビジネス成功組にしろ、ある意味、お金との付き合い方が単純で、かつそれを対外的にアピールしたがる傾向があるようです。最近の中国人にも似たような感じを受けます。

ヨーロッパの富裕層や資産家は“早期退職”とは無縁

一方、私が多く接するヨーロッパの富裕層や資産家は発想においても、実際の行動においても、アメリカの“FIRE”派やビジネス成功組とはかなり違います。ヨーロッパの富裕層や資産家は基本的に、見た目も話し方も質素で、人脈やお金の使い方など自分から口にすることはまずありません。

そして、大きな特徴はファミリービジネス(又は別)の本業を持っていて、普通に働いていることです。私が親しくしているスイスの老舗運用会社の経営者も、フランスの大手金融機関でのかつての上司も、個人的には富裕層や資産家ではありますが、平日の昼間は忙しく過ごしています。

そして、本業から常に新しいキャッシュフローを生み出し、それを元々ある資産に組み込みつつ、保守的に長期分散運用しているのです。本業によるキャッシュフローと長期分散での資産運用という両輪がポイントです。実は、アメリカ人ですが投資の神様といわれるウォーレン・バフェット(バークシャ・ハサウェイ社)も、保険業で保険料収入というキャッシュフローを生み出しつつ、それを安定した事業基盤を持つ銘柄に投資・運用して資産を拡大しています。また、ウォーレン・バフェットは90歳を超えて今なお現役です。

本当に安定的に結果を出している富裕層や資産家のやり方は、おそらく共通しているのでしょう。

もちろん、そうした王道をいく富裕層や資産家も、一定の年齢になると次第に仕事量を減らしたり、子どもに継がせてリタイアするケースもありますが、投資も仕事も人生の一部として楽しんでいるのです。

日本人に向いているのはヨーロッパ流

話を戻すと、個人的には日本人にアメリカ流の“FIRE”は向いていないと思います。日本人は意外に根が真面目なところがあって、早期リタイアしてもその後、することがなくて時間を持て余しがちです。「“FIRE”こそ人生の夢」、などというのはあまりに寂しい話ではないでしょうか。

特に若い人たちに申し上げたいのは、“FIRE”を目指して若いうちからケチケチお金を貯めるより、まずは知識や経験、スキルを高めるため、自分に投資することです。それが一番効率の良いお金の使い方であり、一生使える財産となります。

大した資産もないのに、「何に投資したら儲かる」とか考えるのは、時間の無駄です。100万円を運用して利回り20%でもしょせん20万円に過ぎません。それよりも本業で稼ぐ力が付けばどんどん収入が増え、1000万円単位の資産もできます。そこからさらにキャッシュフローを生み出しつつ、運用資産を拡大していけば、1億円までいかなくても数千万円単位の老後資金を確保するのはそう難しいことではないでしょう。

それに、日本にはアメリカにない健康保険や公的年金など社会保障制度がそれなりにあり、数千万円単位の老後資金があれば、そう心配することなく暮らせるはずです。もちろん、20代から経験とスキルを磨くための投資を少しずつ行うのはもちろん“あり”です。ただ、その場合、インデックス型投資信託の自動積立やロボアドバイザーの利用はあまりお勧めしません。まとまった資産ができた後はプロに運用を任せるのがいいと思いますが、まずは個別銘柄の選択とその結果を経験することで、投資先企業のビジネスを見極める力や投資におけるリスク・リターンの意味などを肌感覚で理解できるようになります。最初から「人任せ」では、経験とスキルを磨くことになりません。

これから資産運用を始める人はぜひ、アメリカ流の“FIRE”ではなく、ヨーロッパ流の「本業による継続的なキャッシュフロー+長期分散安定の資産運用」という王道のスタイルを目指して欲しいです。

取材・構成/フォーウェイ(https://forway.co.jp/)仲山洋平、古井一匡、

篠田 丈(シノダ タケシ)
アリスタゴラ・アドバイザーズ代表取締役会長。日興証券ニューヨーク現地法人の財務担当役員、ドレスナー・クラインオート・ベンソン証券及びINGベアリング証券でエクイティ・ファイナンスの日本及びアジア・オセアニア地区最高責任者などを歴任。その後、BNPパリバ証券で株式・派生商品本部長として日本のエクイティ関連ビジネスの責任者を務めるなど、資本市場での経験は30年以上。現在、アリスタゴラ・グループCEOとして、日本、シンガポール、イスラエルの拠点から、伝統的プライベートバンクと共に富裕層向け運用サービスを展開、また様々なファンドを設定・運用、さらにコーポレートファイナンス業務等を展開している。https://aristagora.com/

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