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コロナ禍でも成長を続ける100円ショップ市場、9000億円突破で過去最高を更新

2021.10.23

急成長を続ける「300円」均一ショップ、迎え撃つ側の100均大手

今、100円ショップの売り上げが伸び続けている。

TDBによると大手5社を中心とした2020年度の100円ショップ業界の売上高(事業者売上高ベース)は9000億円を突破。大手5社の店舗数も10年間で4割増の7900店を数え、ともに過去最高を更新した 。

大手各社が引き続き積極的な出店攻勢を続けたことに加え、コロナ禍の外出自粛やテレワークを背景に、キッチン用品から日用品、インテリア用品、文房具など、幅広い品ぞろえでニーズが急拡大。大手家具店やホームセンターなどと同様にこうした巣ごもり需要を取り込みつつ、ファッション性や実用性に優れる「コスパの高さ」がコロナ禍の消費者に受け入れられたことが、100円ショップの人気が改めて高まる大きな原動力となった。

100円ショップ市場推移

100円ショップでは現在もショッピングセンターなどの空きテナントを積極的に活用した出店が続いており、大手5社の店舗数合計は足元で8000店を超えた。

また、近年はインターネットやコンビニ店舗など販売チャネルの多様化も進むほか、クオリティやデザインの見直し、最新のトレンドや細かな需要変化を捉えた新商品の投入など、価格以外の商品訴求力も大幅に向上している。そのため、当初はコロナ禍の巣ごもり特需から反動減も懸念されたものの、現状のペースが続けば21年度の市場規模は約1割の増収が見込まれる。100円ショップ業界の成長は今後も続きそうだ。

セリアは最高売上へ、キャンドゥも増収 ワッツは海外事業で減速も、国内事業が堅調

100円ショップ市場の好調を背景に、大手各社の業績も概ね増収傾向を維持している。ファッション性の高い雑貨で女性顧客層に人気のセリアでは、22年3月期第1四半期の売上高が519億9100万円(前年同期比6.9%増)、営業利益は52億6500万円(同3.7%増)だった。

引き続き、「100円ショップとしての魅力を追求する」をテーマにした商品開発に注力したほか、採算性を重視した出退店、セルフレジの導入などを進めている。その結果、営業利益率は上場3社のうち最も高い10%台と、100円でも高い利益を生み出すビジネスモデルを確立しており、通期売上高は過去最高を更新する2130億円を見込んでいる。

 キャンドゥは、マスクなど衛生関連商品の販売が好調。外出自粛などを背景に都市部の店舗で売り上げが減少したほか、出店先のテナントにおける営業時間短縮が業績を下押ししたものの、2021年11月期第3四半期の累計売上高は551億2000万円(前年同期比0.1%増)、営業利益10億1300万円(同26.4%減)を確保。通期でも増収を維持するが、利益率アップが課題だ。

ワッツは上場大手3社の中で唯一の減収減益だった。同社は生活雑貨を中心に100円以外の商品導入を進めるほか、おしゃれ感を演出した店舗づくりなどで他社と差別化を図っている。100円のアイテムには不向きと言われてきた通販事業にも進出しており、国内事業は概ね好調に推移している。ただ、新型コロナの感染拡大による海外店舗休業の影響が残り、通期の売上高としては減収減益となった。

上場3社の業績

急成長中の「300均」、店舗は5年で倍増 迎え撃つ「100均」勢、価格の多様化や再編などで対抗

今後も消費者の根強い節約志向と、コスパの高いアイテムへの支持を背景に安定した成長が続くとみられる。ただ、100円ショップ1店舗当たりの月間売上平均(推定)は、都市部などで同業や自社ブランド間での顧客獲得競争が激化していることを背景に、過去5年間はほぼ横ばいで推移。店舗数と来客数の増加によって成長が支えられてきたビジネスモデルには飽和感が出てきた。

また、海外に製造工場を多く有することから物流面で燃料価格の上昇や円安の影響を受けやすい。国内でも人手不足による店員の賃金上昇といった課題もあり、薄利多売モデルの100円ショップにとっては成長への大きな重荷となる。

 類似業態、特に300円均一ショップ市場の急拡大も、既存の100均市場に影響を与える可能性がある。100均よりも高品質=「プチ贅沢」ニーズを満たす300円ショップは、特に生活雑貨など身の回り品で消費者のニーズをつかんで成長。

デザインや機能性など、100円にこだわらないことで商品開発に選択肢が広がることも、300均ブランドに参入が相次ぐ大きな要因となっている。服飾大手のパルグループHDが展開する「3COINS」をはじめ、主要300均の店舗数は5年間で倍増しており、さらに増加していく見通しだ。

100均・300均の店舗数比較

こうしたなか、100均大手各社では既存商品の深化に加え、高価格商品の開発や販売チャネルの拡大などで300均勢を迎え撃つ。最大手のダイソー(大創産業)は、顧客の細かなニーズを拾った100円アイテムの開発を進めつつ、300均の「THREEPPY」、ベーシックなデザインが特徴の「Standard Products」などプチプライス業態にも進出。コンビニ最大手のセブン-イレブンへの商品供給、ネット通販の全国展開などオムニチャネル化も進む。コロナ後や同業他店との競争を見据え、新業態や中高価格帯商品のラインナップを拡充し、トレンドに敏感な女性や都市部の需要開拓を進める構えをみせている。

キャンドゥやワッツは、100円ショップ業態を維持しつつも店内商品の中高価格化を進める戦略を採る。キャンドゥはファンシー・化粧品での「ネイルシリーズ」などアイテム別に差別化。流通大手のイオン傘下となることで、来店数や店舗規模の拡大、商品開発力など相乗効果も期待されている。

ワッツは「心地よい生活」をテーマにした独自ブランド「Buona Vita」を展開、300円ショップが強みとする中高価格雑貨の牙城切り崩しを狙う。セリアは大手で唯一100円均一の姿勢を堅持しているものの、徹底した売上原価や在庫の管理、自動化で、100円単価でも利益を上げる筋肉質な経営を目指している。

100円以外のワンプライス市場が拡大していることで、迎え撃つ100円ショップ側でもこれまでより高い品質や感性が求められるようになった。そのため、クオリティやデザインの見直し、最新のトレンドや細かな需要をつかむ新商品の投入など、各社の戦略には多様さがみられる。ただ、価格以上の満足度=「お値打ち感」でシェア獲得を狙う動きは各社で共通しており、ワンプライス市場をめぐる各社の激しい攻防が注目される。

構成/ino.

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