
最近、話題になっているプラントベースフード。最も身近なのは植物肉ではないだろうか。牛豚鶏などの動物肉の代替として大豆をはじめとした原料で作られているものが広がっている。そうしたプラントベースフードは「フードテック」による食品の一つだ。
フードテックとは、食にまつわる様々な課題や可能性を、テクノロジーの活用で前進させ、サステナブルなフードシステムの構築を目指す取り組みや技術を指す。近年、プラントベースフードだけでなく、様々なフードテック商品が登場している。
そこで今回は、フードテックの現状を知るべく、株式会社TWOが運営している渋谷ロフト2階プラントベースドフードカフェ「2foods」に併設する、最新フードテックブランドを五感で体験できる場「FOOD TECH PARK(フードテックパーク)」で展示されている商品やフードテックとの関わり方などを紹介する。
「FOOD TECH PARK」で注目のフードテックアイテム5選
「FOOD TECH PARK」は、渋谷ロフト店の2Fにある、世界中から選びぬかれた最新フードテックブランドの商品が展示されている場所だ。2021年4月にオープンしたが、2021年9月30日に公式サイトがオープン。日本語版・英語版があり、食やフードテックの最新情報を世界に向けて発信している。
フードテックブランドの商品とはどのようなものなのか? 具体的にはなかなかイメージできないものだ。そこで、株式会社TWO FOOD TECH PARK担当の宮内大樹氏に、FOOD TECH PARKに展示されている(2021年10月8日時点)食品の中から、注目の5商品について解説してもらった。
1.あづまフーズ「GREEN SURF」
「水産加工品メーカーが取り組む次世代シーフードです。2019年に重要な原料資源である『カラフトししゃも(卵)』が禁漁となったことをきっかけに、持続可能な水産資源の活用を目指して取り組みを始めました。本物の魚、そっくりな見た目ですが、こんにゃくを原料としており、生魚が食べられない妊婦や食事制限されている方も安心してお召し上がりいただける商品です」
2.グリーンカルチャー「Green MeatTM」
「大豆たんぱくを主原料とするプラントベースミートです。主流となっている乾燥タイプの大豆ミートとは異なり生タイプのため、ハンバーグやラザニアなど様々な料理に活用できます。味の評価も高く、高級レストランをはじめとする外食産業とのコラボレーションも進んでいます」
3.さとの雪食品「ずっとおいしい豆腐」
「特殊なパッケージング技術により、常温で最大120日の長期保存ができる紙パックのお豆腐です。長期保存できることから、フードロスの低減や、ローリングストックによる緊急時の備蓄品としても活用します」
4.Daiya Foods「デイヤシュレッドチーズコレクション」
「乳成分、グルテン、卵、大豆など主要なアレルゲンを一切使用していないカナダ発のプラントベースチーズです。デイヤフーズは、プラントベースの食生活が食を取り巻く環境や地球にとってよりよい選択肢であると信じ、様々なプラントベース製品を展開しています。またアメリカの雑誌Peopleが主催するフードアワード『The Best Supermarket Products of the Year』において、DaiyaのAmerican Style Slicesが『Best Vegan Cheese』を受賞しています」
5.TWO「2foods 生食感の濃厚ガトーショコラ」
「特許製法の超微粒玄米粉を使用し、濃厚でなめらかなくちどけを実現した、プラントベースかつグルテンフリーのガトーショコラです。外側はしっとりとしたリッチな食感、中央は半熟のとろけるくちどけになっており、食感のコントラストを同時に堪能できます。原料には玄米粉、アーモンドミルク、オーガニックシュガーなどを使用し罪悪感なくヘルシーに楽しめる商品です」
フードテック普及に取り組む背景
TWOは、なぜフードテックの普及に取り組んでいるのだろうか。その背景について、宮内氏は次のように話す。
「現在、地球環境を守る取り組みが世界規模で喫緊の課題となっています。その中でも畜産といった現代のフードシステムがもたらす地球環境への負の影響は計り知れません。そのような背景から、フードテック市場は2025年までに700兆円規模になるとも言われており、ベンチャーキャピタルによるフードテックへの投資額は、2019年で1兆円以上(150億ドル)にも上ります。
欧米のスーパーでは、すでに当たり前のようにフードテックを活用したプラントベースフードが店頭に並び、消費者は普段の生活の中で意識的に環境に良い食の選択を行っています。日本でも若者を中心に環境意識は急速に高まっており、今後、植物由来の食品が主流な食の選択肢の一つになる未来が必ず訪れると、我々は考えています。
そのため、当社は2foodsというプラントベースフードカフェを展開し、プラントベースフードへの意識改革を行っております。同時にFOOD TECH PARKでは様々なフードテックブランドを紹介することで食の未来を考える契機や、消費者にフードテックの裾野を広げる活動をしております」
フードテックの世界に足を踏み入れるには?
一般的には、まだ「フードテック」という言葉は新鮮な響きだ。興味はあるけれど、何から始めたらいいか分からないという人もいるだろう。フードテックの世界には、どのような切り口から入るといいだろうか?
「『ブランドのストーリーに共感いただくこと』と『実際に食べていただくこと』が最も有効な入口だと考えています。フードテックが向き合う地球課題を知っていただき、食の選択肢に入れてもらうためには、ブランドへの共感が必要です。そのために、FOOD TECH PARKでは専任のスタッフが出展ブランドの代弁者となり、ブランドストーリーをお伝えしています。
また、SDGsへの意識は以前に比べて高まっているものの、フードテックが活用された商品を実食する場はまだまだ少ないのが実状です。FOOD TECH PARKでの試食体験が、プラントベースフードやエシカルフードに対する敷居を下げることの一助になればと思い活動しております」
日本発のフードテック企業が世界を席巻する日は近い!?
フードテックは、今後、国内外でどのような拡がりを見せるだろうか。宮内氏に聞いた。
「海外では、代替肉のBeyond Meatや、代替ミルクのOatly等のフードテックスタートアップの時価総額1兆円を超えるIPO(新規株式公開)が続々誕生しており、産業としてさらに盛り上がりを見せています。
日本は世界においても屈指のグルメ先進国であり、世界で勝負が十分可能なカテゴリであり、今後、日本発のフードテック企業がユニクロや無印良品のように世界を席巻する日も近いと思っています。そういった企業を今後この場から発信していければと思います」
いち早く、フードテックを体験するのにぴったりのFOOD TECH PARK。時間があるときに出かけて体験したり、公式サイトでストーリーを知ったり、実際に購入して体験してみること
から始めてみるのがよさそうだ。
【取材協力】FOOD TECH PARK
取材・文/石原亜香利
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