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【開発秘話】6万本以上売れている田中金属製作所のシャワーヘッド「ボリーナ ワイド プラス」

2021.10.17

■連載/ヒット商品開発秘話

 シャワーをホルダーに掛け使おうと思ったら横を向いてしまった。こんな経験、誰もが1度はしているであろう。シャワーヘッドを好きなところでピタッと固定することができれば、どれだけありがたいことか……。

 このありがたさを実現したシャワーヘッドが、田中金属製作所の『ボリーナ ワイド プラス』である。2020年6月にネット通販で先行販売され翌月から量販店での販売が始まった『ボリーナ ワイド プラス』は、ホルダーにシャワーを掛けた状態でも向きを自由自在に回転させることができ、ヘッドの向きが好きな位置でピタッと止まる。これまでに6万本以上が売れているという。

アダプターの機能を本体に内蔵する

 シリーズ累計80万本以上販売されている『ボリーナ』シリーズは2011年に発売された。シリーズ最大の特徴は、直径0.001mm以下のファインバブルよりも超微小な直径0.0001mmのウルトラファインバブルを発生させること。1ccの水に1億個の気泡を含有。独自開発のウルトラファインバブル発生装置『μ-Jet(ミュージェット)』をグリップに組み込んでいる。

 ウルトラファインバブルは毛穴に入り込むことで、頭皮の乾燥を防いだり頭皮の皮脂臭や加齢臭を予防できたりするほか、肌の奥まで浸透し水分量が持続することから潤いのある肌や艶やかな髪に導く効果が確認されている。水量も50%カットでき、4人家族で1人7分間使用した場合、年間で約2万円分の節水効果がある。

一般的なシャワーヘッドと比較して『ボリーナ』シリーズは肌の水分量が8%アップ。シャワーのお湯が奥まで浸透するため時間が経っても水分量が持続し、しっとりと潤った肌、艶やかな髪へと導く

一般的なシャワーヘッドと『ボリーナ』シリーズで溜めたお湯に左右それぞれの手を3分間浸け、その後の肌温度を計測したところ、『ボリーナ』シリーズの方が温かさを持続することが判明。『ボリーナ』シリーズは一般的なシャワーヘッドより約27%、肌の表面温度がアップした

『ボリーナ』シリーズでシャワーを浴びた直後の肌の表面温度の上昇率は、一般的なシャワーヘッドより6倍高も高く、湯冷めしにくい

『ボリーナ ワイド プラス』は2016年12月に発売された『ボリーナ ワイド』をベースに開発された。開発の動機は、シャワーヘッドを思い通りの位置に固定することができる『カイテキフィッティング』というアダプターを、シャワーヘッド本体に内蔵するためであった。

 2015年頃から販売を開始した『カイテキフィッティング』は、シャワーを浴びようとしたときにホルダーに掛けたシャワーヘッドが横を向かないようにするもので、シャワーホースとシャワーヘッドの間に取り付ける。ライトターン機能によりシャワーヘッドがくるくる回転し、思い通りの位置に固定できるようになる。

 ホルダーに掛けてシャワーを使うとシャワーヘッドが横を向いてしまう理由は水圧にある。シャワーはヘッドとホースがくるくる回る仕組みになっているが、水圧が高いと内部のパッキンが拡大しホースが膨張。ホルダーのところで引っかかってしまうためねじれ、その勢いでシャワーヘッドが横を向いてしまうというわけである。

『カイテキフィッティング』を取り付けるとこの問題が解消されるのは、シャワーヘッドとホースの間に回転軸ができるため。水圧によってホースがねじれてもくるくる回るようになり、シャワーヘッドを止めたい位置に固定できるようになる。

「『カイテキフィッティング』は真鍮製で重かったことから軽くしたかったことと、一体感を出すためにシャワーヘッドとドッキングさせたかったことから、私がスタッフに開発を要望しました。加えて、これからできるだけ、自社の新型シャワーヘッドにライトターン機能をプラスしたいという目論見もありました。この目論見の第一弾としてつくったのが『ボリーナ ワイド プラス』です」

 こう振り返るのは代表取締役社長の田中和広氏。『ボリーナ ワイド』にライトターン機能を付加したから『ボリーナ ワイド プラス』というわけである。

田中金属製作所
代表取締役社長
田中和広氏

 なお、『カイテキフィッティング』そのものの軽量化も『ボリーナ ワイド プラス』の開発と並行して実施。現在、『ライトターンアダプタ』として発売されている。

ライトターンアダプタ

水量が増加する改良も実施

 ライトターン機能はすでに確立されたものではあったが、『ボリーナ ワイド プラス』に組み込むに当たっては真鍮から樹脂に変更した以外にも見直されている。進化したところの1つが水量の増加である。田中氏は次のように話す。

「回転軸のあるライトターン機能をシャワーヘッドにプラスすると中が狭くなります。でも、シャワーヘッドに入る水の量はできるだけ多くしたいものです。節水しながらシャワーヘッドに入る水の量を増やし少量の水でもしっかり洗い流せるようにするには、シャワーヘッドに流れ込む水の勢いを落ちにくくしなければなりませんでした。私たちは技術者なので実現する上で大変だったところはとくになかったのですが、使用するパッキンの選定などは難しかったです」

 特殊なパッキンを使うことや金型投資を伴うので、コストできる限り抑える工夫が求められたという。

『ライトターンアダプタ』の構造。黒い内側のパーツが回転軸となる。同様の構造が『ボリーナ ワイド プラス』にも採用されている

伝える先に感動があり、感動の先に購買がある

 今でこそ『ボリーナ』シリーズは、高機能やウルトラファインバブルがもたらす美容面での効果が知られるようになったが、発売当初は知名度がなく、取り扱ってくれる小売店がないに等しい状況。この状況を打開したのが、田中氏による実演販売だった。東急ハンズを皮切りに自ら売場に立ち、来店客の前で実演しながら売っていった。

 東急ハンズも最初は、「高いから売れない」と思い実演販売を許可しなかったが、諦めず食い下がったことで銀座店でのテスト販売が実現。すると、1本で軽く1万円を超えるシャワーヘッドが2日間で30本以上売れた。以後毎週末は、同社がある岐阜から東京まで通い実演販売を行なったほど。他の小売店からも声がかかるようになり、実演販売先が拡大していった。

「商品の魅力を伝え、それを聞いたお客様が感動し、買っていただくという流れをつくってきました。人は感動しないと買ってくれません」

 このように話す田中氏。伝える先に感動があり、感動の先に購買があるこの状態を「アーティスト理論」と名付けているそうだ。

『ボリーナ ワイド プラス』の販売でも当初は、田中氏自ら店頭に立ち実演販売するつもりだった。しかし、新型コロナウイルスにより田中氏の実演販売は断念。代わりに2つの手段を講じることにした。

 1つは、SNSの活用。TwitterとInstagramを使い、同社に寄せられた意見や質問に回答するほか、YouTubeにつくった自社チャンネルで商品のプロモーション動画を公開するようにした。

 もう1つは、プロの実演販売士の活用。一緒に組んで実演販売をしていたことがある、まかせんしゃい井上氏に実演販売を託すことにした。なお、井上氏は『ボリーナ ワイド プラス』のプロモーション動画にも出演している。

まかせんしゃい井上氏が出演する『ボリーナ ワイド プラス』のプロモーション動画

 田中氏によれば、プロの実演販売士でシャワーヘッドを扱う人はいなという。その理由を「喋りながら人を集め実演しながら販売するのと違い、1対1で話をしながら実演して売っていくので、効率が悪いのでしょう」と分析する。その点、まかせんしゃい井上氏は一緒に組んでいたこともありツボを心得ており、安心して任せられるというわけだ。

取材からわかった『ボリーナ ワイド プラス』のヒット要因3

1.かゆい所に手が届く便利さ

 ホルダーに掛けて使うとシャワーが横を向いてしてしまうのは、起きなければそれに越したことがないこと。深刻なことではないが地味に困ることだ。こうした日常の些細な困りごとを解決できるものは、広く受け入れられる。

2.『ボリーナ』シリーズのブランド力

『ボリーナ』シリーズはウルトラファインバブルを発生させ、高い洗浄力と美容効果をもたらす。高機能もさることながらファインバブル市場をつくってきたのでブランド力が高く、信頼された。

3.コストパフォーマンスが高い

 価格は同社オンラインショップで1万5180円(税込)。一見すると高価に思えるが、ファインバブルを発生する他社のシャワーヘッドの中にはこれより高価なものもある。高機能な上に便利ながらも価格を抑えたので、コストパフォーマンスが高い。

『ボリーナ ワイド プラス』は『ボリーナ』シリーズの高機能に便利さをプラスしたもの。シャワーヘッドの交換は、機能や効果を体験しないとメリットがわかりにくいところがある中、新型コロナウイルスで体験の機会が限られてしまっているが、使ったら感動が待っているかもしれない。

『ボリーナ』ブランドサイト

文/大沢裕司

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