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ウルトラマン×もののけ×アート「ウルトラ怪獣もののけ絵巻」を完成させた〝もののけアーティスト〟って何者!?

2021.10.15

ウルトラマン55周年を記念し、『ウルトラマン』『ウルトラQ』に登場する80体以上の怪獣を全長10メートル以上の「絵巻作品」として表現した「ウルトラ怪獣もののけ絵巻展」が、銀座のギャラリーshinaでスタートした。

こちらの絵巻を描き上げたのが、「もののけアーティスト」として活動する谷村紀明さん。クリエイティブディレクターとしても活躍する谷村さんは、オーストリアの広告芸術誌『Lürzer’s ARCHIVE』の「世界ベスト200イラストレーター」に選出されるなど、国内外で高い評価を集め始めている。

そして、こちらの企画の立ち上げに協力したのが、タカハシヒョウリさん。ミュージシャン、文筆家として活躍しながら、クリエイティブチーム「操演と機電」のメンバーとして本企画のプロデュースを行った。

今回は、お二人の対談を通して、「今こそ知るべき、もののけの魅力」と「アートとエンタメの融合」について深く掘り下げていきたい。

「もののけアーティスト」が描くウルトラマンの世界!?「ウルトラ怪獣もののけ絵巻展」

―― 本日は、”もののけアーティスト”谷村紀明さんと、ミュージシャンで文筆家でもあるタカハシヒョウリさんの対談になります。よろしくお願いします!

お二人が進めてきた「ウルトラ怪獣もののけ絵巻展」が開催されるとのことですが、まず谷村さんが名乗る「もののけアーティスト」というのはどのような活動なのでしょうか?

谷村:自分は京都出身で、幼少期からお寺や神社が身近だったというのもあって、”もののけ”は僕の中で「魅力しかないテーマ」なんです。最初は単純にデザインがかっこいいな、というところから入って、趣味でずっとイラストを描いてきたんですけど、だんだん”もののけ”たちが発しているメッセージについても自分なりに深く考えるようになってきました。

この世に実在して"動いているもの"もあれば、「静物」=同じように実在して"動かないもの"もあるんですね。そういうものにも、存在する理由があって、何らかのメッセージを発している。それを誰にでもわかりやすくアートで表現するのが「もののけアーティスト」だと思っています。

ただ「かわいい」「こわい」だけじゃない「もののけのストーリー」を、子どもたちや今の若い人たちに伝えたいんです。

―― ヒョウリさんは、クリエイティブチーム「操演と機電」として、企画協力で参加しているとのことですが、こちらについても教えていただけますか?

タカハシ:「操演と機電」は、自分とナカムラリョウが中心になって立ち上げた企画制作チームです。僕らは音楽畑の人間ですが、音楽に限らず、ジャンル縦断型の新しい企画を作っていこうと立ち上げたチームで、今回の「ウルトラ怪獣もののけ絵巻」が第一弾企画になります。音楽はもちろん、デザイン、WEBなんかもチーム内で出来て優秀なんです。僕は実務的なことはあんまり出来ないので、ほぼアイデア出してるだけですけど(笑)。

―― お二人の出会いや、「ウルトラ怪獣もののけ絵巻」の企画がはじまった経緯は、どのようなものでしたか?

タカハシ:まず「もののけの絵巻を描いている人がいて、怪獣を絵巻にしたいと言ってるのでちょっと会ってほしい」ってナカムラから紹介されたんですよね。

でも、こんな怪しい話ないじゃないですか(笑)。

正直最初は、「どんなヤツが来るんだ…」と身構えて行ったんですけど、そこに現れたのがタニさんでした。

その場で、タニさんが趣味で描いていたディズニーの絵巻を見せてもらって、ぶっ飛びまして。とんでもないことをやっちゃう人だと。

じゃあ、『ウルトラマン』55周年を祝って怪獣たちを絵巻にするというのは面白いんじゃないかと盛り上がって、円谷さんに正式に持ち込んで、展覧会をやろうという企画がスタートしたんですね。

そのあとになって気づいたんですけど、その日は7月17日だったんです。『ウルトラマン』の放送開始記念日だったんです。

―― えーっ!すごい偶然ですね。

谷村:本当にたまたまでしたね(笑)。

タカハシ:これは、何かお導きがあるかもね、と。なので、最初からバシッとハマるものがありましたね。

谷村:ハマりましたね。

―― 『ウルトラマン』の怪獣を、日本古来のもののけと融合するというアイデアがとても面白いと思います。

タカハシ:今までも、ウルトラマンのキャラクターを和風に表現するという企画はたくさんあったと思うんですね。でも見る人の胸を打つには、ただ表面的に和風のアプローチをするだけでなく、もののけの本質、怪獣の本質に迫ろうとしたものでないとならないと思うんです。

今回、タニさんはもののけの魅力を伝える専門家だし、怪獣の魅力に関しては僕たちは熟知していると思うので、そこが合わされば今まで見たことのない、核心に迫ったような怪獣絵巻が出来るんじゃないかと思いました。

―― 「本質に迫る」というお話がありましたが、具体的にどのように表現したのでしょうか?こだわったポイントを教えてください。

谷村:怪獣やもののけっていうのは、自然のメタファーとしての存在でもあると思っていて、それを表現するためにはどうしたら良いか考えました。

そこで、画材にこだわったんです。命の起源でもあり、微生物がたくさん含まれている「泥」を画材に選んで、「泥ーイング」したんです。

タカハシ:うまい。

谷村:さらに今回、絵巻のために和紙もオリジナルで一から作りました。

「真菰(まこも)」という、古くから神事に使われてたり、浄化作用があると言われている神聖な植物があるんですね。

長野県長和町にある「立岩和紙の里」が、この真菰を使って和紙を作っていたんですが、職人さんが亡くなったりで途絶えていたんです。

そちらと一緒に、繊維やパウダーの配合も試行錯誤を繰り返して、完成したのが世界に一枚の今回の約10メートルの和紙です。

ただ、真菰を使った和紙というのは、繊維が多いので絵を描くのがとても難しいと言われているんです。試しにその場で描いてみたんですけど、その時に真菰に付着していた泥を使ってみたら、サササッとペンが入って、描けたんですね。

タカハシ:勇者が、伝説の剣に選ばれたようなエピソードですね(笑)。

谷村:他にも画材で言うと、約6億ボルトの雷が落ちた時に出来る砂の結晶「雷の化石」と呼ばれる「フルグライト」を魔改造して筆を作りました。今回の絵巻は、その筆で描いてます。自分の中での裏テーマは、土と雷で「天地創造」なんです(笑)。

この辺の画材も「ウルトラ怪獣もののけ絵巻展」会場に展示することになっているので、見てみてください。

タカハシ:画材もふくめて、「すべてが土に還るアート」というのを一つのテーマにしていて、ある意味、命そのもので描かれている。そこが、怪獣に対するリスペクトになっているんじゃないかと思います。

今回、「ウルトラ怪獣もののけ絵巻」では、実は「妖怪」という言葉を使わずに「もののけ」という言葉しか使っていないんです。「もの」というのは、人間以外の超自然的なエネルギー全般を指す言葉で、神も、鬼も、「もの」らしいんですね。怪獣というのも、神でもあり、鬼でもあり、大地の精霊のようなものでもあり、人間の畏敬の念の象徴でもあると思います。それを表現するために、自然から生まれた画材を使うというのが、言葉で説明するよりもわかりやすく伝えてくれているのかなと。

「そんなの見てもわからない」「なんでそこまでするの…!?」という考え方もあると思うんですが、そのくらいやらないと表現できない境地っていうのはあるんだと思います。タニさんの選択は本当に正解だったと思いますね。

谷村:最初に泥で描く、和紙も作る、と言ったときはチームの人たちも困惑してましたよね(笑)。

―― 彩色については、どのような画材を使っているのでしょうか?

谷村:色は、顔料でつけています。顔料というのも鉱石を砕いたものですから。

タカハシ:今回、こだわったのが『ウルトラQ』の怪獣はモノクロで、『ウルトラマン』の怪獣からカラーで描いてもらったことです。モノクロ番組だった『ウルトラQ』から、カラー番組になった『ウルトラマン』を初めて見た当時の子供達の体験を想像して、その感動が少しでも絵巻の中で表現できたら良いなと。

そういったネタはたくさん用意されていて、555年前に現れたらこんな怪獣だったんじゃないか、という妄想設定みたいなものも考えてあります。いろいろ想像しながら楽しんでもらいたいです。

―― 全長約10メートルにもわたる長大な絵巻ですが、制作期間はどれくらいかかりましたか?

谷村:実際に描いたのは、1~2ヶ月くらい。泥で描くので、下書きなしで一気に描かないとダメなんです。

こういうのは人気怪獣に偏ってしまうことが多いと思うんですが、操演と機電のお二人のおかげでマニアックなこだわりポイントもフォローできて、『ウルトラQ』『ウルトラマン』の全話に登場する怪獣80体以上を描けたのが良かったですね。

―― 絵巻の中で、それぞれお気に入りの怪獣はいますか?

谷村:僕は、意外と大ダコと巨人ですね。あえて、普通の人の足とタコみたいに見えているのが面白いなと(笑)。

タカハシ:僕は、ガボラですかね。獅子のような、今までに見たことのないガボラなんです。これは、タニさんがいわゆるガチガチの「怪獣マニア」じゃないからこそ生まれてくる自由な発想のアレンジだと思うんですよね。このガボラや、ダダを見た時に「これはいける」という手応えを感じました。

谷村:怪獣ともののけの融合については、ギリギリのラインを攻めるという挑戦もあったので、ファンからすると「何これ?」という怪獣もいるかもしれないです。もちろん元の姿から離れすぎてもダメですし、そのまんますぎても面白くない。円谷プロさんやお二人にも監修していただいて、「これはやりすぎ」「これは大人しすぎ」という風に試行錯誤していきました。そういう部分でも、楽しんで見ていただけると思いますね。

タカハシ:紙や泥の質感、サイズも含めて、実物のインパクトが半端ないので、ぜひ銀座の会場で見てほしいです。今までに見たことのない怪獣たちに出会えると思います。

何コレ、美味しそう!「てんぷら妖怪」あらわる

―― 今回、対談場所も天ぷら屋さんということなんですが、もう一つ谷村さんのもののけアート企画があるんですよね?

谷村:はい、「てんぷら妖怪」ですね。

もともとは、2019年の秋に「丸亀製麺」を経営しているトリドールホールディングスさんの新社屋が完成した際に、そのアートスペースで展示をやらなかというお話をいただいたんです。せっかくなら、トリドールの社員さんの身近にあるものを「こういう風に視点を変えたら面白いよね」という展示にしたくて、丸亀製麺と言えば「うどん」だけどここはあえて「天ぷら」だろうと。

それで40種類くらいの「てんぷら妖怪」たちを、"キッチンペーパー"をキャンバスにして描きました。

これが社員さんたちにとても喜んでいただき、良い反応をもらえたので、立体化してワンダーフェスティバルにも出展したんです。

そこでもめっちゃ反応をいただけて、この冬にクオリアさんから「てんぷら妖怪」がカプセルトイとして発売になります。

―― このてんぷら妖怪、本当にかわいいですね。

タカハシ:てんぷら妖怪、めちゃ良いですよね。今、「かわいい」というリアクションがありましたけど、もののけや妖怪の面白いところは、「こわい」だけじゃなくて、「かわいい」って反応があるところですよね。子どもから大人までいろいろな魅力を感じる存在なんだなと。

僕は「ししとう」がお気に入りなんですけど、フィギュアの造形や彩色も素晴らしいクオリティですね。マジでサクサクしてそうで、美味しそうですよ(笑)。

谷村:天ぷらをフィギュアで表現するのって、めっちゃ難しいんですよね。そこは、美味しそうになるまで造形チームのZERO STUDIOさんと試行錯誤しました。だから、これはもうカプセルトイの域を超えて、身近で楽しめるアートなんですよね。

「コンテンプラリーアート」なんですよ。

―― コンテンプラリーアート(笑)。

「てんぷら妖怪」も「ウルトラ怪獣もののけ絵巻」もそうですが、アート作品でありながらエンタメ的なポップさを持っているのが面白いところだと思います。

谷村さんは、広告業界でお仕事をしてらっしゃるということですが、アートとエンターテイメントビジネスの関係について、どのように考えながら作品を作ってらっしゃいますか?

谷村:アートとビジネスの関係というのは、すでにあると思うんですが、僕が目指しているのは、対価がお金じゃないんですね。みんなが笑顔になるとか、幸せになるとか、そっちにKPIを置いているんです。今回、コロナというのもあって、アートで世の中を少しでもハッピーにしたいなというのが、絵巻チームの考えでもあります。

そこから広がってビジネスに繋がっていけば良いと思うんですが、最初から儲けを狙っていくというのは違うんですね。そうすると、やっぱりつくるものも変わってきちゃうんです。子どもがつくるものが面白い理由って、お金の匂いが全くしないからだと思うんです。それを広げるのは、また違う仕事だと思っています。

タカハシ:タニさんは、クリエイティブディレクターとしても活動している方なので、「どうしたら、わかりやすく伝わるか」の部分を考えられるのがすごく強いと思いますね。芸術家肌な部分もあるんですけど、それをストーリーを交えた見せ方に繋げられる。そういう部分が、すごく現代的なんだろうなぁと。

―― それでは、最後に谷村さんには「いま、もののけを描く理由」を、ヒョウリさんには「ウルトラ怪獣もののけ絵巻」という企画に込めたテーマをお聞きしたいと思います。

谷村:存在するものには、すべてに意味があって、エネルギーがあるっていうのが日本らしい昔からの考え方だと思うんですね。「もののけ」をテーマに、そのメッセージが、少しでもわかりやすく、楽しく、説明的じゃなく伝わって、人生の価値観やまた何かのきっかけにしてもらえたら良いなと思いますね。

コロナ禍の中で、妖怪がバズる国って日本しかないと思うんですよ。本当に面白い存在だと思いますね。

タカハシ:僕は、今回の企画のテーマは「受け継ぐ」っていうことかなと思っていて、「ウルトラマン」も「もののけ」も「絵巻」も日本が持つ文化ですよね。時代ごとに少しずつ受け取り方が変わってきたものだと思うんですが、これを新しい時代にフィットした形で融合させたり進化させたりして、受け継いでいく一助になれば良いなと思っています。そういう企画を、ウルトラマン55周年のタイミングで作れて光栄ですし、ぜひ楽しんでもらえたらと思います。

左:タカハシヒョウリ
ミュージシャン、文筆家、作家。
ロックバンド「オワリカラ」ボーカルギター。
サブカルチャーへの造詣と偏愛的な語り口から、執筆や番組出演多数。
近年は円谷プロ公式メディアでも連載。
クリエイティブチーム「操演と機電」を結成し、『ウルトラ怪獣もののけ絵巻展』を企画。

右:谷村紀明
1988年、京都生まれ。東京在住。拠点は全国各地。
すべての”もの”や”こと”に含まれるエネルギーを、自身のアイデンティティや空気感を作品に表現。自然や風土、文化の継承などをテーマとした、もののけアートを創作し活動。広告芸術誌『Lürzer’s ARCHIVE』の「世界ベスト200イラストレーター」に選出。『極楽浄土AR』が文化庁メディア芸術祭にて審査委員会推薦作品に選出。その他、国内・国外の広告賞多数受賞。コピックアワード審査員、絵本、造形デザイン、アニメ、アートコンサルティングなども精力的に手がける。

展覧会概要

ウルトラマン55周年記念「ウルトラ怪獣もののけ絵巻展」

・会場:shina 銀座ギャラリー (〒104-0061 東京都中央区銀座5-5-6三平ビル)
・日程:2021年10月15日(金)~11月14日(日) 入場無料
・開催時間:11:00~18:00
・定休日:毎週月曜
・企画運営:タキヒヨー株式会社
・開催協力:株式会社円谷プロダクション
・コンテンツ制作:株式会社インフィニティスタイル/株式会社HONNOW
・企画協力:クリエイティブチーム 操演と機電
・公式サイト:https://www.shina-ginza.jp/kaijuemaki

構成/タカハシヒョウリ
写真/御座岡 宏土
聞き手・編集/福アニー

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