「自殺念慮」「自殺未遂」ともに15歳~20代のリスクが高い
日本では、1998年に自殺者数が急増し、年間3万人を超え続けていたが、自殺対策基本法の制定等、取り組みが強化されたことにより、2010年以降、自殺者数は連続して減少してきた。
しかし、依然として日本の自殺率は先進7カ国(G7)で突出して高く、とりわけ若年世代(15~39歳)の死因第1位が自殺であるのは日本だけだ。
日本財団は、全国の13~79歳の男女2万人に対して、 自殺意識に関する調査を実施した。過去に日本財団では自殺意識に関する調査を計3回、対象年齢を18歳以上で行ってきたが、子どもの自殺が増加傾向にあるという社会情勢を踏まえ、今回は対象年齢を13歳まで引き下げ調査を実施した。
調査結果から、10のファクトが明らかに。
特に15歳~20代においては、自殺念慮・自殺未遂ともに他世代に比べリスクが高く、さらにその傾向は男性より女性の方が強いことが分かった。また、30代以下の若い年代は自殺に関する報道に影響を受けやすい傾向があることが明らかになった。
2020年は10年間減少を続けていた自殺者数が増加に転じたが、今回の調査結果では1年以内に自殺念慮があった層のコロナ禍におけるストレスを具体的に明らかにすることができた。
③のファクト:自殺念慮、自殺未遂ともに15~20代のリスクが高い 詳細
1年以内に自殺の念慮を抱いたのは15~19歳の若年層(15.8%)に多く、さらに男性(10.8%)より女性(21.3%)の割合が大きかった。中でも突出して17歳(27.8%)、18歳(28.2%)女性の割合が大きかった。また1年以内の自殺未遂経験は、16歳の女性(10.6%)が最も高くなった。
▼1年以内に自殺念慮あり(年代別)
▼1年以内に自殺未遂経験あり(年代別)
⑤のファクト:1年以内に自殺念慮があった層のコロナ禍におけるストレス 詳細
全世代で1年以内に自殺念慮があった層がなかった層に比べて特に強く感じていたストレスは、上位から、精神的健康問題(うつ病など)の症状悪化、同居する家族から感情的な暴言を吐かれること、経済的に苦しく、家賃や光熱水費、食費などの生活費が工面できないこと、と続いた。精神的なストレスに加え、経済的ストレスも自殺念慮の要因となっていることが明らかとなった。
また、15歳~19歳に対象をしぼると、上位から、精神的健康問題(うつ病など)の症状悪化、同居する家族から感情的な暴言を吐かれること、同居家族と一緒にいる時間の増加/一人の時間の減少など、特に同居家族に起因するストレスが多い傾向が明らかとなった。
⑩のファクト:若い年代は自殺に関する報道に影響を受けやすい傾向がある
著名人・一般人の自殺に関するニュースや記事を見たあと、自殺のことを繰り返し考えるのは、30代以下の割合が高かった。
構成/ino.