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「何もしていない時間に考える」とメンタルヘルスの状態を確認できる?

2021.10.06

 あらためて言うまでもないことだが街は“ゾンビ”だらけである。それはもちろん悪名高い“スマホゾンビ”だ。狭い駅の出入口の周辺にはゾンビが群れていたのだ。

人混みの流れに合わせてゆっくりと新大久保の街を歩く

 混雑した駅のホームから階段を降りる。相変わらずの密集ぶりだ。JR山手線を新大久保で降りたことを少し後悔するが後の祭りだ。ゆっくり移動する人々の流れに歩調を合わせてホームを移動し階段を降りる。

 階段を降りるのもまさに“牛歩”のごとくノロノロである。つまるところ、そもそも駅の作りがこれほどの数の利用客を想定していないのだ。古い駅舎だけに仕方がない。

 それでも最近になってこの駅には出口専用の改札が開設している。しかしホームから降りる階段が増えたわけではないので混雑緩和の効果は限定的だろう。原宿駅のように駅舎を丸ごと建て替えれば問題は大きく改善されるとは思うが、もちろんそんな計画があるとは思えない。

 都内某所からの帰路、今日はもう急ぐ用件もないので最寄り駅のひと駅前で降りて少し歩こうと新大久保駅で降りたのだが、夕方のラッシュアワーに入りかけている時間帯ということもあり、このような混雑に出くわしてしまった。読みが甘かった自分にも非はある。

 前の人の背後について歩きながらようやく改札口にやって来た。胸ポケットのスイカを取り出して自動改札機にタッチさせる。

 ようやく混雑から抜け出せるのだと思いきや、今度は“ゾンビ”の群れである。改札の周囲には手にしたスマホに目を落として立ち尽くした“スマホゾンビ”がズラリと並んでいるのだ。要するにここで人を待っている人々である。

 そのほとんどは若い女性なので“ゾンビ”と形容するのは相応しくないが、周囲に無関心でスマホに心を奪われている“スマホゾンビ”であることには変わりない。スマホ画面を注視していて周囲を顧みない“ゾンビ”の人々を避けながら進むのは骨が折れるのひと言だ。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 ようやく駅から出ることができた。ホッとひと息つけるかと思いきや、駅前の人通りも多い。ともあれ通りを右に進み陸橋の下を潜る。駅前の大久保通りの歩道は狭いので、ここも前の人について行きながらゆっくり進むことになる。郷に入れば郷に従えということで、こうした人混みをむしろ新鮮なものとして楽しむべきなのかもしれない。こうした体験を含めて新大久保に来たということになるのだろうか。

 6時を少し過ぎたところだが急に暗くなってきていた。陸橋を抜けて交差点に出ると、いわゆる“コリアンタウン”が広がっている。街灯と店のネオン類が明るいので、日が暮れてからのほうが街はむしろ彩り豊かになる。

 どこかでひと息つきたい気分だ。歩いて帰路に就く前にどこかで何か食べてもいいのだろう。この辺で食べるとすればやはり韓国系の店になるだろうか。一人でも入りやすそうな店があれば入ってみよう。

 海外からの旅行客はまだまだ少ないが人出は多い。友人や恋人とSNSやメールでやりとりしながら駅で落ち合ったりしている人々も少なくないのだろう。“ゾンビ”が多いはずである。

※画像はイメージです(筆者撮影)

何もしていないときに何を考えているのか

 連絡やコミュニケーションには便利なSNSだが、その一方で利便性を超えて過剰に浸透しているという嫌疑も拭い去れないのかもしれない。いわゆる“SNS依存”に繋がる問題である。

 目先の仕事や用件、雑事などは否応なくすぐに取り組まなければならないが、新たな企画を検討したり将来のことを考えることも重要なことだ。たとえ1日の中でわずかな時間であっても、ルーティーンを離れて自分なりに考える時間がないことには、いろんな意味で将来に備えることが難しくなる。ホッとひと息ついて考えを巡らせるべき貴重な時間を、よもやSNSや他愛ないメールのやりとりで潰してしまってはならないだろう。

 最新の研究では、スマホやパソコンから目を離して何もせず過ごす束の間の時間に考えている思考パターンで、今の自分のメンタルヘルスの状態を占えることが報告されていて興味深い。


 研究者たちは思考のパターンを測定しようとしました。彼らは特に、うつ病の一般的な症状である否定的な考えを継続的に堂々巡りさせる反芻的な思考(ruminative thinking)を捉えることに興味を持っていました。

「ほとんどの参加者は感情的に中立な方法で現在または未来について考えるのに10分を費やしましたが、反芻的思考質問票で高得点を挙げた参加者は、より過去に焦点を当て、否定的な考えを経験しました」と(研究者の)ラファエリは言いました。「反芻的な個人はまた、自分自身について考える可能性が高くなりました」

 研究者は時間の経過とともに特定の考えに従い、それらがどれだけ長く続いたか、焦点がどれほど狭いか広いかを測定しました。反芻的な個人は、ポジティブな考えよりも長く続くネガティブな考えを持っていました。そしてそれらのネガティブな考えのトピックは時間とともに次第に狭くなりました。

「私たちはある人々がどのように堂々巡りの思考のサイクルに閉じ込められたかを目撃することができました」と(研究者の)アンドリュース・ハンナは言いました。「この研究では臨床症状と診断されたかどうかを知らずにランダムなグループの人々を(実験参加者として)採用しましたが、わずか10分のダウンタイムで、さまざまなメンタルヘルスの状態に対応する思考プロセスを捉えることができるのは驚くべきことです」

※「The University of Arizona」より引用


 たとえば仕事や学業の休憩時間など、10分ほどの“何もしない時間”が訪れた時、我々はどんな考えを巡らせるのだろうか。米アリゾナ大学の研究チームが2021年9月に「Scientific Reports」で発表した研究では、実験を通じて何もしていない状態の時の思考パターンを分析している。

 78人の参加者は、電子機器にアクセスできない部屋に1人で座っている間、10分間声を出して自分の考えを声に出すことを課された。研究チームは録音されたそれらの記録を書き起こし、合計で2000を超える考えが分析された。

 最悪の場合、うつなどの精神疾患に繋がる反芻的な思考(ruminative thinking)を巡らせる傾向の人々がいるのだが、反芻的思考の度合いを計測する質問票で高得点を挙げた参加者は、より過去の出来事に焦点を当てて狭い範囲でネガティブに考え、自分自身のことについて考える傾向が高いことが浮き彫りになったのだ。つまり何もしていない時のネガティブな思考は、過去の出来事を悔やむことであり、自分に関係したものであったのだ。

 一方で一部の参加者は、達成したい前向きなトピックや目標について考えていることも判明し、そうした人々は何もしていない時に生産的でクリエイティブな考えを巡らせていたこともわかった。

 この違いはどこからくるのか。研究チームによれば独り語りをしたり、考えたことを細かく文章にして日記に残すことなどして、内面の考えを外部化する能力が鍵を握っているのではないかと説明している。そして何もしていない時間を快適かつポジティブに過ごすことができるように、幼い頃からトレーニングを積むことがメンタルの健康を維持するのに役立つ可能性があると示唆している。何もすることがないからといって、ゲーム機やスマホをすぐに手にする癖がつくことは、後においてメンタルヘルス面でのリスクになり得るのである。まさに“ゾンビ”などになってはならないのだ。

1人でも入りやすい店でキンパとおでんを楽しむ

 人の流れに歩調を合わせながら大久保通りをゆっくり進む。まだ7時前だというのにゆっくり歩いてうるうちに急激に日が暮れてしまった。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 どこか入れそうな店に入ってみようと思うが、大久保通りに面した店はどちらかといえば「大箱」の店で、1人でも入りやすそうな店はあまりないかもしれない。どこか脇の路地に入ったほうがそれらしき店がありそうではある。

 韓国・ソウルにはずいぶん前に1度行ったことがあるのだが、一般的な飲食店のメニューは確かに美味しいと思った。滞在の間のある昼に、街の外れにある大衆食堂に入って何らかの料理を注文したことがあったのだが、席に着くなりキムチやナムルをはじめ煮魚など5、6品がご飯とスープと共に出てきて、いったい何を注文したのかわからなくなるほどどれも美味しくて、ご飯をお代わりした記憶がある。

 そして明洞のロッテ百貨店のレストラン街で人生で初めてのサムゲタンを食べたことも思い出されてくる。韓国の宮廷料理であるという鍋料理を食べる機会もあり、この時にソウルで食べたものはどれも美味しかった記憶しかない。韓国料理に目覚めた旅でもあった。

 どこかの路地に入ろうかとも思いつつ大久保通りを歩いていると、「明洞」の文字が店名の一部になっている店が見えてくる。どうやら韓国の太巻きである「キンパ」の店だ。入口から店内を覗くと1人客も少なくない。これなら大丈夫そうだ。入ってみよう。

 店先の印象からは意外なほどに店内は広い。明るいデザインのインテリアで余計に広々と感じる。中途半端な時間であるが、ほどほどにお客が入っていて見たところ全員女性である。1人客の女性も少なくない。

 店の人に促されて席に着くとボトルに入ったお茶と紙コップがテーブルの上に置かれる。メニューを一通り眺めて最も定番的なキンパとおでんを注文した。

 ともかくいったんひと息つくことができた。思わずアルコールも注文したくなってくるが、これから戻って少し作業がある。今は遠慮することにしよう。

 お客は散発的に入ってきて、お会計を済ませて出て行くお客も一定の間隔で続く。テイクアウトのお客も少なくない。たまたまかもしれないが決して慌ただしくはならない店内の“新陳代謝”はなかなか絶妙である。

 キンパがやってきた。思っていた以上のボリュームである。具沢山で断面の見た目がカラフルだ。鉄製の箸で1つをつまみ、皿に注いだ醤油を少しつけて口に運ぶ。美味しくないはずがない。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 続いておでんもやって来た。1人用の鍋に入ってグツグツと煮立った状態でテーブルに置かれた。スタイル的にスンドゥプチゲと同じこの提供法は意外ではあったが面白い。すぐには食べられないので少し待つことにはなるのだが。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 食べるという行為、特に外で飲食する行為は今という時間に意識を集中させやすくなるという点でも良い気晴らしになる。前出の研究にならえば、ネガティブ思考は往々にして過去のことくよくよ思い悩むことであるからだ。食べている時や何もしていない時は、今に集中するか未来のことを考えるようにしたほうがよいことになる。つまり過去を振り返るのではなく、未来に向けて発展的に考えるべきなのだ。

 ともあれいろいろあった今年の夏ももう終わりである。朝晩もだいぶ涼しくなってきた。今シーズンは新しくコートを買うかどうか迷うところなのだが、判断は保留したまま少し検討してみてもよいのだろう。ささやかではあるがそれも未来についての話なのだから。

文/仲田しんじ

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