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宇宙ベンチャーOrbit Fabが静止軌道衛星への燃料補給ミッションをスタート

2021.10.07

Orbit Fab をご存知だろうか。宇宙ガソリンスタンドを計画する宇宙スタートアップだ。2021年9月24日、Orbit Fabが、静止軌道帯の衛星へ燃料補給するミッションが始動する、そんなニュースが飛び込んできた。以前も、燃料を枯渇した衛星に燃料を補給するビジネスの概要については紹介したが、詳細な紹介はまだ。そして、Orbit Fabの事業は、すごいスピードで動いている。

では、Orbit Fabはどのような企業なのか、どのようなミッションを計画しているのか、そして今回の静止軌道帯の衛星へ燃料補給するミッションとはどのようなものなのか、今回は、そのようなテーマについて触れたいと思う。

Orbit Fabとは?

Orbit Fabとは、2018年に設立された宇宙スタートアップ。米国カリフォルニアを拠点としているが、最近、コロラドに拠点を変えるという計画も発表したという。

CEOは、DANIEL FABER氏。Deep Space IndustriesでCEOとして3年間活躍していた人物だ。宇宙テクノロジーに強みを持つ人物だ。

Orbit Fabは、宇宙のガソリンスタンドのサービスを提供する企業。

少し詳しく説明しよう。まだ、New Spaceという言葉を耳にしないおおよそ20年前までは、主に政府や宇宙機関の宇宙開発がメインだった。その頃、政府や宇宙機関の大型衛星はミッションを遂行することが困難になってしまう、そんな大きな故障が発生し、寿命をむかえる、そんなことも実は少なくなかった。

しかし、今のNew Spaceという時代になり、それらの衛星は、”小さな”故障さえ発生するが、故障で寿命をむかえる、そのようなことは稀となった。

理由は、衛星を長い期間、運用することによって蓄積してきた故障に関するノウハウなどが積み上げられ、次の衛星を開発、製造する際にフィードバックされたことが大きい。もちろん、部品、部材、装置の技術の向上や、衛星の熱解析、耐放電事象に関する解析などの精度が向上することなど様々なことが挙げられるだろう。

そのため、設計寿命を全うするようになり、衛星の寿命は、衛星に搭載している燃料の枯渇に起因するものとなった。

でもなぜ、燃料が枯渇すると、寿命になるのだろうか。それは、衛星の燃料は、衛星の軌道を制御したり姿勢を制御したりするために使われる。この燃料がなくなると制御不能となるのだ。

そこで商機を見出したのが、Orbit Fab。OTV(Orbital Tranfer Vehicle)という宇宙の軌道上を動けるビークルに、衛星の燃料を積んで、燃料が枯渇した衛星へとランデブー・ドッキングし、燃料を注入するというものだ。

Orbit Fabの Tenzing Tanker キャプ
(出典:Orbti Fab

Oribt Fabのビジネスモデルは?

Orbit Fabのビジネスモデルは、次のようなものだろう。

低軌道LEOそして、 静止軌道GEOなどの宇宙空間に、衛星燃料を詰んだタンカーとOTV(Orbital Tranfer Vehicle)という宇宙の軌道上を動けるビークルという、シンプルな構成要素で、人工衛星に燃料を注入するものだ。

衛星保有・運用事業者から、フィーを徴収し、燃料を注入する。衛星保有・運用事業者は、大型衛星のサイズにも依存するが100億円以上もする衛星を数年かけて開発、製造し、打ち上げるまでの”コスト”を先送りできるのだ。

これまでにOrbit Fabは、2019年に国際宇宙ステーションISSにおいて水を使って、燃料の注入を想定した実証実験も実施している。

他にもRAFTI(Rapidly Attachable Fluid Transfer Interface)という、既存の衛星の燃料充填バルブを代替できる燃料補給ポートを開発した。Oribt Fabの最初の製品だという。実は、このRAFTIは、2021年6月に打ち上げた上図のTenzing Tankerに搭載されており、機能等は実証済みだという。

Orbit FabのRAFTI キャプ
(出典:Orbit Fab

実は、Oribt Fabには、日本の企業も強い関心を寄せている。丸紅ベンチャーズだ。丸紅ベンチャーズは、ガソリンスタンドビジネスに商機を見出しているようだ。金額は明らかではないが、2021年9月8日に、彼らは、Northrop Grumman、Lockheed Martin Venturesなどと共にOrbit Fabに対して出資している。

静止軌道衛星の燃料補給へ

Orbit Fabは、静止軌道の衛星へと燃料補給するミッションを始動する、そんなニュースが流れた。

このヴィークルの名前は、TANKER-002。2022年後半から2023年の初め頃に打ち上げられるようだ。Space XのFalcon9で打ち上げられるIntuitive MachinesのNASAが支援するIM-2月着陸船ミッションと合わせてのようだ。

では、このOrbit Fabの静止軌道の衛星へと燃料補給するミッションはどのようなものになるのだろうか。下図をご覧いただきたい。

側面に6つほど燃料タンクが確認でき、また上部にも1つタンクが確認できる。太陽電池パネルも6つほど取り付けられている。

TANKER-002のOTVの部分は、三井物産も出資しているSpaceFlightが、GEOの軌道への到達ノウハウは、GeoJumpという企業が担当する。このTANKER-002は、月面のフライバイ軌道を使用して、最小限の放射線被曝で2週間(6か月ではなく)でGEOへと到達できるGeoJumpのノウハウを活用する。

このGeoJumpのノウハウを活用するためにIntuitive Machines※3のNASAが支援するIM-2月着陸船ミッションに相乗りするのだろうか。

また、このTANKER-002は、最大15年間、宇宙を漂うことができて、必要なときに必要な場所へ燃料を衛星へ注入しにいくことができるという。そして、この200ポンド(おおよそ90kg)以上のヒドラジンを搭載することができるというから驚きだ。

Orbit FabのTanker-002 キャプ
(出典:Orbit Fab)

いかがだっただろうか。ガソリンスタンド衛星は、既に、Northrup Grumman(Space Logistics)は、Mission Extension Vehicle-1(MEV-1)という燃料補給衛星にて、2020年2月25日に衛星Intelsat IS-901へのドッキングし、燃料注入に成功している。しかし、1つの燃料タンカーが複数の衛星へと燃料を注入することができる、しかも注入したいときにどこへでも移動できるというこのニュースは、非常に驚く。

この軌道上を自由に移動できるという技術は、スペースデブリ除去ビジネスにも応用できるし、非常に技術的に参入障壁の高いものだ。

ガソリンスタンド衛星は、寡占状態となることが予想される。そして、スペースデブリ除去ビジネスにも参入することも予想できる。

ますます、この宇宙ガソリンスタンド市場が活性化することだろう。

 

文/齊田興哉
2004年東北大学大学院工学研究科を修了(工学博士)。同年、宇宙航空研究開発機構JAXAに入社し、人工衛星の2機の開発プロジェクトに従事。2012年日本総合研究所に入社。官公庁、企業向けの宇宙ビジネスのコンサルティングに従事。現在は各メディアの情報発信に力を入れている。

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