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「45歳定年制」発言で足りなかった説明

2021.09.20

■連載/あるあるビジネス処方箋

前回、「「45歳定年制」は会社員人生を見つめ直す機会と捉えるべきか?」で、特に30代後半から40代後半にかけて自らの会社員人生について見つめ直しをせざるを得ない理由や背景を説明した。今回はなぜ、そのような姿勢が必要になるかをさらに考えたい。

まず、2020年4月1日に『パートタイム・有期雇用労働法』が施行されたことを取り上げたい。この法律で、同一労働同一賃金が求められるようになった(中小企業への適用は2021年4月1日から)。これを受け、現在、多くの企業で人事制度改革が行われている。

国家公務員も65歳定年になる動きがあり、50代の賃金カーブを見直す方針が示されている。40代、50代と賃金が上がっていく、いわゆる年功カーブを抑制すると同時に、65歳まで働くことができる環境を整えているのだ。

ここが重大なポイントになるが、年功カーブを抑制すると、優秀な20~30代が「こんな会社はダメだ」と見切りをつけて辞める場合がある。企業としては、優秀な若手を辞めさせないために成果、業績、役割の評価をもとに今以上に高いお金を払っていく。

賃金を抑制しつつも、優秀な20~30代のセレクトや抜擢がセットで進められていくのだ。そこには、セレクトされない人も多数現れる。この現実を踏まえると、45歳になった時に、エリートコースや部下のいる管理職(ラインの管理職)がいる一方で、管理職になれない人や部下のいない管理職にしかなれない人が多数現れるのだ。

このような「社員間格差」が確実に激しくなる。これを証言する著名な人事コンサルタントを昨年12月に取材した際、このように語っていた。

「私が顧問として相談を受けている大企業で言えば、定年を60歳から65歳に延ばすのに伴い、『役割給』を導入したケースがある。50歳以降は、60歳までの基本給の上昇を緩やかにした。つまり、賃金カーブを下げるのだ。その原資をもとに60歳以降も社員として雇用を継続する。

50歳から65歳までの賃金が相対的に下がるために、50歳前の優秀な人材が不満を持ち、辞める可能性がある。そこで前述のような『役割給』を導入し、優秀な人は基本給や賞与が増えるようにする。

こうした制度だと、中年層の社員間でこれまで以上に賃金をはじめとした扱いに大きな差が生まれる。今後、特に大企業では、これに近い制度が増えてくるだろう。」

さらに広く考えたい。前回、特に30代後半以降は会社員人生について考える必要があると説明したが、その際に総額人件費を取り上げた。この扱いも、今後、ポイントになるのだ。今年1月に取材した人事コンサルタントは、こう語っていた。

「総額人件費の厳格な管理をするならば、管理職は全社員の10~15%前後にするべき。ところが、現在は25~35%の企業が多い。40%近い場合もある。これでは、国際競争で勝てない。

本来、管理職は、高度な管理能力や経営能力を持っていて然るべき。今後は、グローバル化やダイバーシティ(多様性)が進む。難しい技能が求められる。誰もが管理職をできる時代ではない。

むしろ、日本企業が急いで育成すべきは専門職。市場環境が飽和した状況であっても、高度な専門職や高度な技能、技術を持つ社員が増えれば、会社は発展していける。にもかかわらず、依然として新卒者の多くを総合職として雇い、大量の管理職や役員を作ろうとしている。

一方で、総合職を20~30代で専門職にシフトさせるキャリアパスの制度は少ない。社員たちを誤った方向に、つまり、部下のいない管理職を大量生産する方向に引っ張っているケースが多い」

これまでのように総合職としてキャリアを積んでいったところで、部下のいない管理職や管理職にもなれない場合がある。むしろ、専門職になることも考えたほうがいいと説いているのだろう。遅くとも30代後半には、今後の会社員人生について真剣に考えるべきではあるのだ。

「45歳定年」発言を否定するのも、批判するのも1つのアプローチではあるが、時代や経営環境はほぼ間違いなく、その方向に流れていく。このことは心得ておくべき、と思う。だからこそ、発言をした経営者には丁寧で、誠実な姿勢が求められていた。人の雇用と生活、人生を我が家族のように考える力が必要だった。

文/吉田典史

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