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カンバーバッチ演じる実在するスパイを描いた映画「クーリエ:最高機密の運び屋」の見どころ

2021.09.20

■連載/Londonトレンド通信

 実話の映画化は、注目を集めやすい。映画になるほどドラマチックな実話なわけだし、俳優が実在の人物にどこまで近づけるかも見所になる。リンカーンを演じたダニエル・デイ=ルイス、チャーチルを演じたゲイリー・オールドマン等々、それでアカデミー賞をさらった俳優も多い。

 ここでも、変わり種伝記映画『テスラ エジソンが恐れた天才』や、大胆な想像力による『アンモナイトの目覚め』など、実在の人物を主人公とした映画をご紹介してきた。最近の公開映画では、パントマイムの第一人者マルセル・マルソーが戦時に果たした役割を描いた『沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~』などもあった。

 9月23日公開ドミニク・クック監督『クーリエ:最高機密の運び屋』も、そういう映画の1本だ。だが、ベネディクト・カンバーバッチが演じるグレヴィル・ウィンは、リンカーンやチャーチルほどには知られていない。

 と言うのも、ウィンは一般人、イギリスのセールスマンなのだ。そして、一般人であることがこの映画の肝となっている。さて、セールスマンであるウィンに何が成し得るのか。

 時は1960年、核戦争すれすれの状況となったキューバ危機に向かう頃、英情報部の運び屋として白羽の矢が立ったのがウィンだった。

 だが、ウィンにそれは知らされていない。営業で海外を飛び回ることも多かったウィンに、ソ連でいつも通りの営業をしてほしい、だが、これをつけろとタイピンが渡される。

 ウィンは見事にやってのける。そもそも優れたセールスマンのウィン、冒頭にゴルフでわざとミスをして顧客を喜ばせるシーンがある。本心を隠し、人に取り入るのはお手のものだ。

 だが、口八丁手八丁の軽薄な人物ではない。セールスマンとしてのプロフェッショナリズムが、スパイとしてのプロフェッショナリズムに通じるのだ。

 最初はわけもわからずソ連で営業するウィンだが、自分に課せられたことを知るにつれ、さらに危険な任務に向かうようになる。妻子を核戦争から守るためだ。

 さらには、同じように妻子を守ろうとするソ連側のスパイ“アレックス”を救おうと、英情報部でさえ止めるほどの危ない橋を渡ろうとする。 

 世界平和のため、人類のために戦うヒーローは確かにかっこいい。だが、妻子、友、目の前の誰かのためにわが身を投じる人の方が、信頼できる気がする。結果的に、それが世界を救うことにもつながったウィンは、まさに一般人のヒーローだ。

 誰もが思い浮かべられるポートレートの残る有名人と違い、顔も浮かばないウィンだが、エンディングに当時の短い本人映像が流される。怖ろしい経験後であろうに、笑みを浮かべてユーモラスな調子でインタビューに答えるウィンを、カンバーバッチがしっかり捉えていることがわかる。

 対するアレックスを演じるメラーブ・ニニッゼの緊迫感あふれる佇まい、任務とウィンを引き込んでしまった責任の狭間で苦しむチームの紅一点レイチェル・ブロズナハンもいい。また、息詰まるスパイ劇とは別の次元でウィンの日常を支える妻役ジェシー・バックリーは大躍進中のイギリス注目株だ。

 実際に起こった世界的危機とその影にいた人々を知りながら、俳優陣の好演が楽しめる。

『クーリエ:最高機密の運び屋』
9月23日(木・祝)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給・宣伝:キノフィルムズ
© 2020 IRONBARK, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

文/山口ゆかり
ロンドン在住フリーランスライター。日本語が読める英在住者のための映画情報サイトを運営。http://eigauk.com

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