防水、おサイフケータイに対応した折りたたみスマホ「Galaxy Fold3 5G」「Galaxy Z Flip3 5G」の衝撃
2021.09.14
■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議
スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は先日発表されたGalaxyの最新折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold3 5G」「Galaxy Z Flip3 5G」について話し合っていきます。
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手に届く価格となったGalaxyの折りたたみスマートフォンはインパクト絶大!
房野氏:Galaxyのグローバル新製品発表会「Galaxy Unpacked 2021」にて、3世代目となる折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold3 5G」「Galaxy Z Flip3 5G」が発表され、後日ドコモ/auでの取り扱いも発表されました。発売はともに2021年10月上旬とのこと。みなさんどのような印象をお持ちでしょうか。
法林氏:個人的にはすごく評価しています。前モデルと比較するとかっちり感が向上しているし、両モデルともに防水とおサイフケータイに対応したのは大きいです。
石野氏:あとはGalaxy Z Fold3 5Gで「Sペン」に対応したのが大きいです。デジタイザーを画面2枚に分けた。折りたたみスマートフォンのディスプレイはガラスといっても通常のスマートフォンに搭載されるものよりもペコペコした素材になっているので、Sペン側の先端が少し引っ込むような形にするなど工夫が感じられて、“そう来たか”と驚かされました。
法林氏:以前、Galaxyの本国の担当者にインタビューした時に「折りたたみスマートフォンでペンが使える……そんなモデルが登場するのかな?」という夢物語をしていた。あれから数年たって、やっぱりGalaxyは仕込んでいたんだなと思いましたね。
石川氏:グローバル版のGalaxy Z Flip3 5Gが999ドルというのはかなりのインパクトで、やっとほかのハイエンドスマートフォンと戦える価格になったなという感じ。
法林氏:特にGalaxy Z Flip3 5Gはアイボリーを用意するなど、カラーの選び方が良くて、女性からの人気が出そうな印象です。
石野氏:今回はドコモからも出るんですよね。
法林氏:そうだね。ドコモとauからの発売で、auとしては「Galaxy S21+ 5G」がFHDで価格は抑えめだし、「Galaxy S21 Ultra 5G」は取り扱わなかった。なぜ? と言われていたけど、どうも折りたたみのGalaxyのために、準備をしていたのかも。
房野氏:ソフトバンクからは出ませんか?
法林氏:出ないですね。
石野氏:Galaxy Z Fold3 5G、めちゃくちゃほしいですね。もはや文房具のノートそのものじゃないですか。
法林氏:あと前モデルよりも折りたたんだ時のフレーム側の幅が薄くなっています。もちろん通常のスマートフォンよりは厚くなっていますけどね。
石野氏:とはいっても広げた時の画面サイズは通常のスマートフォンにはないので、全然いいと思います。
気になる最新スマートフォンの販売価格! 通信キャリアはどんな価格設定をするの?
房野氏:国内モデルもグローバル版と同等の価格になるのでしょうか。
法林氏:ドコモ版はFoldが一括で23万7600円、Flipが一括で14万8896円です。au版はもう少し高くなるかもね。
この前、自分の動画番組の資料作成のために、価格を計算していて気が付いたんだけど、例えばドコモ/au/ソフトバンクから発売されている「Xperia 1 III」は、販売価格を安い順に並べると、ドコモ/au/ソフトバンクの順になるけど、端末を2年使用してから返却するプログラムを利用すると、実質負担額はソフトバンクが一番安くなるんですよね。
石野氏:ソフトバンクは初めから返却プログラムを加味して価格設定を行っている感がしますよね。
石川氏:補助プログラム前提の価格設定は、今や破綻している気がします。例えばイオンモバイルが通信キャリアの端末を並べて販売しますが、その時に補助プログラムありきで価格設定をしているauとソフトバンクの端末は高く見える。10月からSIMロックが原則禁止になるタイミングなので、端末価格の設定が変わってくるかもしれませんし、2年の補助プログラムもこの先続けていくのかわかりません。
石野氏:逆にいうと2年の補助プログラムが、ある意味、“キャリアロック”になってしまいます。ソフトバンクが思い切って「ドコモの倍の価格にしちゃえ」となったらイオンモバイルでソフトバンクの端末を買う人はいなくなるので、ソフトバンクとしては端末の流出は防げる、ある意味ロックをかけるといった状態に持っていくこともできてしまいます。
法林氏:販売プログラムに関しては総務省が各社へ突っ込みを入れようとしているみたいなので、また、テコ入れがあるかもしれないけど、価格設定は考え直すべきタイミングでしょうね。20万円支払った結果、ユーザーは何を得られるのかという話にもなってきています。
「Xperia 1 III」はau/ソフトバンクだと20万円弱だし、「iPhone 12 Pro Max」も17万円程度、ソフトバンク専売の「Leitz Phone 1」も20万円弱。どれがメカニズムとして作り込まれているのかをみると、Galaxyの折りたたみ機種になる。価格設定は難しくなってきています。
石野氏:ただ、Galaxy Z Fold3 5Gは、クオリティを知っちゃうと、安く感じますよ。ただし、折りたたみのような端末こそ、保証があるキャリアから購入したいですよね。
Sペン内蔵の「Galaxy Note」シリーズは終焉
房野氏:ちなみに“Fold3”は「Galaxy Note」の後継機と捉えていいのでしょうか。
法林氏:Noteシリーズは2020年の「Galaxy Note20 Ultra 5G」シリーズで最後と言われていましたが、今回の発表で明確になった形ですね。
石野氏:後継というか、実質、ラインアップの統合ですね。
法林氏:Galaxyは長らくSシリーズとNoteシリーズの2本をハイエンドに位置づけてきた。両機の最大の違いは、Sペンがあるかないかだったけれど、Galaxy S21 Ultra 5GはSペンに対応した。
石野氏:もともとNoteシリーズは“大画面のスマートフォンでSペンが使える”という位置づけだったのが、Sシリーズが大画面化してきたので差別化が難しくなってきた。じゃあもっと大きい画面でSペンを使えるようにしましょうということで、Fold3で使えるようになった形ですね。
個人的にはNoteは面白いモデルだと評価してきたけれど、だんだんSシリーズとの差分が少なくなっていったので、Foldに統合したのは合理的だなと思います。
房野氏:Fold3は開いた状態で7.5インチとなると、「iPad mini」くらいのサイズ感ですかね。
石野氏:そうですね。大体それくらいかな。
法林氏:実際に手にしてみると、さすがにiPad miniと比べるのはかわいそうかなとも思うけど、多くのユーザーが日常的に使っているスマートフォンの、1.5倍から2倍に近いサイズ感かな。画面を開くと、思っていた以上に大きく感じる。とはいえ、日本のスマートフォン市場では、Fold3よりもFlip3のほうが需要は高いと思いますよ。
石川氏:あとはiPhoneからAndroidに乗り換えてくれるか……という障壁ですかね。Fold3に関しては、インカメラがディスプレイ下へ配置されたので、穴がなくなったのも進化ポイントとしては大きい。タブレット感が強くなり、より使いやすくなったと思います。
……続く!
次回は、この秋に登場が期待される、最新Androidスマホについて会議する予定です。ご期待ください。
法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。
石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。
石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。
房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。
構成/中馬幹弘
文/佐藤文彦
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