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アウディがeモビリティの実現に向けた2030年までの経営戦略「Vorsprung 2030」を発表

2021.09.11

アウディは、2030年までに持続可能性、社会的責任、そして技術でも、業界のリーダーとしての役割を担う決意を持っている。また、電気自動車(EV)のオーナーに独自のエコシステムを提供して比類なき乗車体験を実現したいと考えている。

AUDI AG最高経営責任者(CEO)のマルクス ドゥスマン氏は、次のように述べている。

「私たちが掲げる“Vorsprung 2030”戦略とは、アウディが将来にわたって存続するためのものです。私たちの社会は急速に変化しています。そのため、私たちは独自の変革を加速させています」

アウディは数週間前、2026年以降に世界市場へ投入するニューモデルは、すべて電気駆動システムを搭載することを発表した。2033年を最終期限とし、内燃エンジンの生産は段階的に廃止される。この明快な判断は、確固とした戦略プロセスから生まれたものである。

未来においても「Vorsprung durch Technik(技術による先進)」というスローガンに基づいた経営方針を継続するため、役員会は数ヶ月をかけて「Vorsprung 2030」戦略を策定した。eモビリティを実現するための具体的な日付を定めたこの戦略に基づき、アウディブランドは改革に取り組む。アウディは、自動車産業界における革新のパイオニアであり、主導者であるという役割を自認している。

ドゥスマン氏は、次のように強調している。

「CO2の排出や地球温暖化など、世界が抱える主要な問題は、クリーンテクノロジーを活用して解決していかなければなりません。そのため、アウディのスローガンである"Vorsprung durch Technik"の重要性は、今後も変わることがありません。私たちは、お客様の自由とパーソナルモビリティを保証する会社であると自負しています」

アウディがゼロエミッションドライブシステムに焦点を合わせているのは、このような理由によるものである。

「私たちは、自分たちの業績を上げるためにテクノロジーを開発しているわけではありません。世界を動かし続けるために、これらのテクノロジーは結果を出し、実効性のあるものでなければなりません」

ミュンヘンで開催されるIAA 2021に先駆けて9月1日に行われる「Audi Media Days」イベントでは、「Corporate & Business」をテーマとして、マルクス ドゥスマンCEOが、世界各地から集まった報道陣の質問に答える。

新しい「Vorsprung 2030」戦略の策定

スローガンの「Vorsprung durch Technik(技術による先進)」は、過去50年にわたりアウディのDNAを定義してきた。それを未来においても守ってゆくため、アウディのチーフストラテジストであるジルヤ ピエ氏と彼女が率いるチームは、持続可能で未来指向の企業戦略を作り出す新しいプロセスを策定した。

彼女は、職務レベル全体および中国や米国といった主要市場を中心に集めた約500人のアウディ従業員とともに、数か月間を費やして、全世界においてアウディに関連する2030年代までのモビリティ関連トレンドを分析。その結果として発見された活動の戦略領域に関して、チームは役員会と意見を交わし、評価を行なった。

ここで得られた洞察の中には、すでに明らかなものも含まれていた。たとえば、販売や利益の中心は、従来型の内燃エンジン搭載車から次第に電気自動車へ、ソフトウェアやサービスへと移行し、自動運転車がさらなる成長の可能性を提供する時期が到来するということである。

ピエ氏は、次のように説明している。

「私たちのチームがきわめて心強いと感じたことのひとつは、従業員の多くと役員会は、持続可能性の問題にすでに深く取り組んでいたことです。私たちは責任あるビジネスの重要性をさらに強調し、それらを厳守したいと考えています」

新しい戦略は、収益性を確保した成長と差別化に焦点を当てるものであり、活動の戦略領域に優先順位を付けるためのガイドラインを提供する。それには、さまざまな要素、すなわち従業員トレーニング、企業文化、新しい企業管理システムなどが連携して機能しなければならない。

内燃エンジンを段階的に廃止してゆく計画に加え、アウディの電気自動車を品質およびデザインの面でライバルと差別化し、顧客に対する付加価値を高めることが重要な役割を果たす。これには、電気自動車および自動運転のためのシームレスなエコシステムが含まれる。

アウディのデジタル化責任者であるジョン ニューマン氏は、次のようにコメントしている。

「アウディは、これらの変化の結果、新しいデジタル技術や製品を使用して、お客様とより緊密かつ頻繁にコンタクトを取ることができるようになるでしょう」

アウディはまた、会社としての成功を、環境・社会・ガバナンス(ESG)関連基準に基づいて、ビジネスの成功と持続可能な活動をより緊密に連携させる。これらの基準には、気候変動の緩和、限りある資源の保護、職場での健康と安全、社会的責任、コンプライアンスやリスク管理に関連するコーポレートガバナンス活動などが含まれる。

戦略プロセスは固定されたものではなく、継続的に開発されてゆくことをピエ氏は指摘している。

「この世界、とくに交通関連分野は急速に進化しています。私たちも、将来的には、変化にさらに迅速に、より柔軟に対応する必要があります」

グループの統合計画プロセスの一環として、アウディは戦略的フレームワークを定期的に分析し、必要に応じて見直しを行なう。

アウディは、プレミアムなパーソナルモビリティと持続可能性への妥協のない取り組みが両立可能であると証明したいと考えている。アウディは、フォルクスワーゲングループやその他のブランドとともに、新しいモビリティの世界で主導的な役割を果たすことを目指している。

eモビリティおよびソフトウェアへ移行する変革において、フォルクスワーゲングループの優れた創造力は、競争において決定的な優位性をもたらす。先月、フォルクスワーゲングループは「NEW AUTO」戦略を発表して優先事項を再定義した。これは「Vorsprung 2030」の成功をサポートするものでもある。

AUDI AGゼネラルセクレタリーのマルティン プリムス氏によると、この戦略ビジョンの利点は、これから遭遇する困難に対して、ベントレー、ランボルギーニ、ドゥカティ、イタルデザインという各ブランド内およびブランドグループの垣根を越えた形で、従業員全員が明確に焦点を定められることである。

このコースを早い段階で設定することで、アウディのチームは変革を完了するために必要な明確さと、十分な時間を確保することが可能になる。見直しを受けた強力な基礎は、財政的、組織的、そして人材の観点から戦略の実現を可能にしてくれるだろう。

未来のための新しいアイデア-アウディにおけるイノベーション

アウディスペースフレーム、“quattro”4輪駆動システム、マトリクスLEDヘッドライト、そしてeモビリティに関係する数多くの特許。アウディが実現してきたイノベーションのリストは膨大だが、今後さらに増えてゆくことだろう。

AUDI AG技術開発担当取締役のオリバー ホフマン氏は、今後さらに画期的なハイライトが公開されると述べている。

「新しいモビリティの時代において、私たちは“Vorsprung(先進)”を世界クラスのエンジニアリング、最先端のデザイン、そして魅力的なデジタル体験として定義するだけではありません。私たちの思考は、自動車という枠にとどまらないのです。将来における焦点は、クルマを取り巻くインフラを含む全体的なモビリティソリューションへと移行してゆくでしょう」

「Audi DNA」プロジェクトを通じて、ホフマン氏は顧客が体験できるイノベーションに注力することを目指している。アウディは、ステアリング操舵角の要件、ステアリング操作に必要な力、車両のアコースティクス性能といった技術面の細部を見つめ、アウディならではの感覚の開発に取り組んでいる。

「私たちは製品に対し、明確で紛れもないDNAを与える必要があります。将来において、アウディの運転がどのような感覚をもたらすのか、はっきりと語ることができるようになるでしょう。ちなみに、それはきわめて高度な自動運転が実現した時にも適用されるはずです」とホフマンは述べている。

会社全体と同じく、技術開発部門も史上最大の変革を遂げている。今後、自動車業界で最も困難な10年が待ち構える。車両に搭載されるソフトウェアと自動運転は、これまで以上に注目されるでだろう。フォルクスワーゲングループの戦略において、eモビリティに加えて焦点となるものとしては、コネクティビティの強化、デジタルサービス、グループ内部でプログラムしたシステムの活用などが挙げられる。

将来的には、顧客は購入後の車両アップグレード、サブシステムのアップデートや新規インストールなどが必要に応じて可能になるだろう。世界各国に存在する、内燃エンジン搭載車のオーナーにも、車両のライフサイクル全体にわたって素晴らしいサービスが提供される。

ホフマン氏は以下のように説明する。

「アフターセールスビジネスで提供されるインテリジェントなハードウェアにより、私たちのクルマは、さらにお客様中心になり、パーソナライズされ、持続可能なものになるでしょう」

新しい「Vorsprung 2030」戦略では、CARIADが重要な役割を果たす。フォルクスワーゲングループでソフトウェア開発を担当するこの子会社は、フォルクスワーゲングループの全ブランドを対象として、標準化されたOSを活用し、クラウド接続を備えた大規模なソフトウェアプラットフォームを、2025年までに開発する予定である。

「E3 2.0ソフトウェアプラットフォームは、相乗効果を発揮し、自動運転を含む未来のイノベーションの実現に貢献するでしょう」とドゥスマン氏は説明している。

CARIADはソフトウェアベースのソリューションを技術的に実現する責任を負い、車両に搭載する作業は各ブランドがCARIADと連携して行なう。

AUDI AG財務および法務担当取締役のユルゲン リッテルスベルガー氏は、「Audi Media Days」イベントにおいて、アウディグループ内でイノベーションを駆動するための財務的基盤をどのように確保するのかを説明している。

「アウディでは、あらゆる技術イノベーションの背景に特定の考え方があります。それは、全体的な視点に立ち、社会および社会的状況との関連性を常に念頭に置くというものです」

イノベーションを手頃な価格で提供するために、アウディはプロセスとコストの最適化を続けている。

「現在アウディが進めている変革に取り組むには、財務資源を有効に活用しなければなりません。これは、私たちが長期にわたって競争力と実行可能性を維持する唯一の方法なのです」

結果重視のボリューム管理と強力な運用パフォーマンスに加え、フォルクスワーゲングループ内のハードウェアとソフトウェアの相乗効果を活用することが、会社の成功に重要な役割を果たす。2021年上半期の業績は、アウディが正しい方向に進んでいることを示している。新記録となった販売台数と電気自動車の大きな伸びは、アウディが持続可能で収益性の高いモビリティに取り組んでいることを証明している。

アウディは約5年間にわたって、ベルリンを拠点とするイノベーションユニット、デンクベルクシュタット(=シンクタンク)を通じ、将来に向けた新しいアイデアを開発してきた。Audi Denkwerkstattは、ドイツ企業が運営する主要なイノベーションユニットのひとつとして広く認識されており、スタートアップ企業のように機動力に富むチームが革新的なビジネスモデルを開発し、アウディの牽引役を果たしている。

またアウディの社内ベンチャープログラムでは、さまざまな部門の従業員が数週間でビジネスアイデアを開発するケースもある。各段階の終わりに、専門家から構成される審査委員会が、所定の基準に基づき、プロジェクトの継続または停止を判断する。

「私たちの目標は、新しいアイデアを、お客様に関連するイノベーションという形で迅速に具現化することです。Audi Denkwerkstattは、このプロセスで大きな役割を果たしています」とホフマン氏は強調しています。

同時に、アウディは生産段階における効率的なプロセスおよびスマートテクノロジーの採用にも積極的に取り組んでいる。たとえば、Audi Production Labでは、最先端の製造ソリューションの開発を行なっている。この目的のために、チームはさまざまな研究所、スタートアップ企業、全世界のサプライヤーが持つノウハウ、そしてアウディ従業員の技術力と創造力を活用して研究を進めている。

ネッカーズルム工場はパイロットファクトリーとして、またデジタル化への移行を検証する実世界の研究所として、欠かせない役割を担っている。情報を完全に連携させる工場を生み出すための「Industry 4.0」プロジェクトには、Amazon Web Services、SAP、Capgeminiといったテクノロジーパートナー各社によるITソリューションやインプットが組み込まれている。

中国におけるアウディ

中国市場は、アウディの新たな戦略の調整において、引き続き重要な役割を果たす。アウディは、中国のプレミアムカー市場は2030年までに年間450万台に成長すると予測。2020年には、この数字は310万台に達した。さらに、この合計に占める電気自動車の割合は、現在の10%から10年後には40%にまで増加する可能性がある。

そのため、アウディにとって中国におけるビジネスを拡大することは理にかなっている。これには、現地生産される電気自動車の供給を増やすことも含まれる。アウディはその活動を通じて、中国の自動車産業の持続可能なモビリティへの移行を推進している。

FAWとフォルクスワーゲンの合弁会社(一汽大衆)の本社は長春市にありますが、そこはアウディ中国工場の中で30年を超える歴史を持つ地でもある。アウディはFAWと協力し、2021年末までに製造する車両を、12モデルにまで拡大する予定である。

アウディの2番目の中国のパートナーであるSAICフォルクスワーゲン(上汽大衆汽車)とのコラボレーションで生み出される最初の製品は、2022年に発表される。これらは、パートナーの一汽VWアウディが運営する既存のディーラーインベスターネットワークを通じても販売される。

アウディチャイナ社長のヴェルナー アイヒホルン氏は、次のようにコメントしている。

「私たちのアプローチは、“中国向けの製品は中国で”という考えに基づいています。そのため、アウディは世界最大の自動車市場のお客様の特定のニーズに焦点を当て、革新を積極的に推進しています。FAWとSAICというパートナー2社とともに、私たちは未来の課題に取り組む準備ができています」

現在まで、アウディは中国市場向けに700万台以上の車両を出荷し、2020年だけで72万7,358台の車両を中国で販売した。2021年上半期の販売台数は41万8,749台であった。

関連情報:https://www.audi.co.jp/jp/web/ja.html

構成/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)

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