
年々増加する、アメリカの植物性食品(プラントベースフード)市場。
リサーチ会社SPINSのレポートでは、「植物性食品の小売売上高は2019年と比較し、27%増加した」と報告されている。
植物性食品の中でも大幅な売上成長を遂げているのが、豆乳やオートミルクなどの「植物性ミルク」である。
代替肉のメジャーブランド「Impossible Foods」も、植物性ミルク「Impossible Milk」を開発していると発表しており、今植物性ミルク市場はかなりアツイ。
SPINSのレポートによると、植物性ミルクの市場を牽引しているのは「アーモンドミルク」。
売上高の2/3を占めている。次いで「オートミルク」となっており、オートミルクの売上高は昨年の3倍以上に増加したそうだ。
植物性ミルクが人気の4つの理由
今なぜ植物性ミルクに注目が集まっているのか?その理由は4つあると考える。
①日持ちがするから
コロナ禍で買い出しの機会が減ったことから、「買い溜め」が習慣化され、日持ちのする食品の需要が高まっている。
牛乳の賞味期限が約1週間なのに対し、植物性ミルクの賞味期限は約1カ月と、日持ちがする。
さらに、植物性ミルクは常温保存が可能なため、冷蔵庫以外の場所にストックできるとして、重宝されている。
②栄養価が高いから
コロナ禍で、消費者の健康意識が高まり、健康食品のニーズが増加している。
ミンテルの調査では、「消費者の39%が、植物性ミルクは乳製品よりも健康的であると考えている」とレポートされている。
実際、植物性ミルクに含まれるカルシウム量は、牛乳と比較してかなり低いなど、一概に「植物性ミルク=栄養価が高い」とは言えないものの、各ブランドからイノベーティブでヘルシーな植物性ミルクが発売され、消費者の心を捉えている。
例えば、「NotMilk」からは、エンドウ豆のタンパク質、チコリの根やキャベツに含まれる食物繊維を入れた植物性ミルクが、「Califia Farms」からは、高まるたんぱく質ニーズに対応するため、エンドウ豆やヒマワリの種などを加えた、高たんぱくな植物性ミルクが発売されている。
③環境に良いから
A.T.カーニーの調査では、消費者の約50%が「パンデミックを体験し、環境への関心が高まった」と回答している。
特にミレニアル世代の間で、サステナブルな商品を選択する傾向は高まっており、牛乳と比較して環境に優しい植物性ミルクが支持されている。
水をほとんど使用せずに、且つ輪作で育つオーツ麦は、とても環境に優しいドリンクである。
(一方、アーモンドミルクは水を大量に消費する作物であるため、実は環境に良いとは言えない。)
④家での食事に多様性をもたらすから
コロナ禍で、家での食事機会が増えたことで、食事に多様性をもたらす食材が人気になっている。
植物性ミルクは種類によってテイストが全く異なるため、朝のコーヒーにはオーツミルクを、ディナーのスープにはアーモンドミルクを使用する、など複数種類の植物性ミルクを常備する消費者も多い。
今最も注目が集まる植物性ミルクブランドは?
今世界が注目する植物性ミルクブランドと言えば、スウェーデン発の植物性ミルクブランド「Oatly(オートリー)」であろう。
今年の5月、ナスダックに初値22ドル(公開価格比30%高)で上場したOatly。企業価値は約130億ドル(約1兆4千億円)と言われている
1994年にスウェーデンで設立された、小さなブランドOatly。
web広告やインフルエンサーへの配布など、多くの企業が行っているものとは逆行する、「リアルでの施策」に注力することで、巨大企業へと成長したOatlyのマーケティング戦略は大変興味深いので、関心のある方は是非調べて頂きたい。
今後どのような植物性ミルクブランドが登場してくるのか?
世界の植物性ミルク市場はどうなっていくのか?
今後の動向に注目である。
文/小松佐保(Foody Style代表)
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