小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

有人機と無人機、2極化する「月面ランダー」の開発最前線

2021.09.10

人類は再び月を目指している。約50年前のアポロ計画以来、人類は月へは到達していないが、今、米国を中心としたアルテミス計画、中国を主導としたILRS計画が始動している。それに伴い月面に関わる市場の可能性をさまざまな企業が模索し始め、宇宙機関とともに技術開発を行なったり、民間としてのビジネスを計画するなど、今までの宇宙市場に参入してこなかった非宇宙企業までもが参入を表明するなどし、今後、この市場は、益々大きくなっていくだろう。

そのなかでも今回は、月面ランダーについてフォーカスしたいと思う。月面ランダーとは、月の地表面に離着陸することができる宇宙船のこと。ヒトを乗せる月面ランダーと、物資のみを乗せる月面ランダーの大きく2つのタイプがある。今回は、そのようなテーマについて触れたいと思う。

月面ランダーの歴史

月面ランダーとは、月の地表面に離着陸することができる宇宙船のこと。英語表記だとLunar Lander、Moon Landerなどと表現されている。日本語では、月面着陸船、月着陸機などと表現されている。ここでは、月面ランダーと呼ぶことにする。月面ランダーを分類する上で、月面ランダーをヒトを乗せる有人の月面ランダーと物資のみを乗せる無人の月面ランダーの2つに分けるのがわかりやすい。

過去にフライト実績のある月面ランダーといえば、アポロ宇宙船が挙げられる。ヒトを乗せた月面ランダーは、人類史上アポロ宇宙船のみ。そして今日までの約50年もの間、有人の月面ランダーの開発はされてこなかったといっても過言ではない。つまり、ヒトを月に降り立たせたフライト実績があるのは、世界でこのアポロ宇宙船のみなのだ。このアポロ宇宙船は、米国NASAが開発を主導。実際に開発、製造したのは、Grumman。現在のNorthrup Grummanという企業だ。

月面に着陸しているアポロ宇宙船のイメージ

有人月面ランダーを手がける企業は少ない?

近年、アポロ計画以来のビッグプロジェクトが始動している。それがアルテミス計画。アルテミス計画では、もちろん、有人の月面活動が計画されていて、ヒトを乗せ離着陸できる月面ランダーが必要不可欠だ。

先日、NASAは、アルテミス計画における月面ランダーの開発を手がける企業を公募した。この公募では、最終段階でBlue Origin、DyneticsそしてSpaceXの3社が競う形となった。Blue OriginとSpaceXという新興企業と、Dyneticsという老舗企業の構図だ。

Blue Originの月面ランダーを見てみよう。Blue Originの月面ランダーは、ディッセントエレメントという降下する機能などを担う部分、アセントエレメントというヒトを乗せる機能、上昇する機能などを担う部分で大きく構成されている。アセントエレメントは、Lockheed Martinが担当する。他にも、この月面ランダーをロケットから分離後に月へと輸送するトランスファーエレメント、降下ガイダンスと飛行アビオニクスがあり、それぞれNorthrup Grumman、Draperが担当している。このようにBlue Originは、宇宙の老舗企業とタッグを組む体制を整えていた。

Blue Originの有人月面ランダー
(出典:NASA

Dyneticsは、宇宙防衛企業の老舗企業。Dyneticsのレンダーは、太陽光パネルが2本あるのがとても特徴的だ。どのロケットにも搭載できる、OrionやGatewayどちらにもドッキングすることができる点をアピールしている印象だ。下請け企業25社以上でこのプログラムに応募している。

Dyneticsの有人月面ランダー
(出典:NASA

そしてSpaceXの月面ランダーであるStarship。現在開発中であり、Super Heavyブースターと組み合わせた新たな開発段階に突入している。月面に着陸した際のイメージが公表されている。Blue OriginやDyneticsとはデザインが大きく異なっている印象だ。

SpaceXの月面ランダーStarship
(出典:NASA

最終的には、SpaceXが選定され、アルテミス計画の月面ランダーとして受注している。しかしながら、この結果を不服としてBlue Originは、NASAに対して訴訟を起こしているという報道がある。

しかしながら、この2社は、アルテミス計画に選定されなくとも、特にBlue Originは、今後、自社事業としてこの月面ランダーをビジネス化していくことが予想される。従来の発想を覆す斬新さを武器に、これまで進めてきた取り組みを考えるとこのように考えるのが自然であろう。

このように、現時点では、このアルテミス計画で名が出ている企業のみ、有人月面ランダーを計画している状況と理解できる。

無人月面ランダーの市場はレッドオーシャン!?

では、無人月面ランダーを手がける企業にはどのような企業が存在するだろうか。多くの皆さんがまず思いつくのは、ispaceではないだろうか。

2021年8月24日、ispaceは、シリーズ2ランダーを発表。2024年前半の打ち上げを目指している。この月面ランダーは、月の周回軌道と月の地表面にペイロード(以後、モノと呼ぶことにする)を輸送することが可能。月地表面には、最大500kg、月周回軌道には、最大2,000kgのモノを輸送可能だという。また、着陸したい地点に確実に着陸できるよう、Draperと連携し優れた推進系や姿勢制御系を備えているという。

ispaceのシリーズ2ランダー
(出典:ispace)

他にも世界には数多くの企業が存在する。Moon Express、Astrobiotic、Firefly Aerospace、Deep Space Systems、Intuitive Machines、Masten Space Systems、OrbitBeyondなどが挙げられる。老舗企業のLockheed MartinもMcCANDLESS LUNAR LANDERという月面ランダーを手がけている。日本では、Moon Express、Astrobioticは報道でよく耳にするので著名だろう。

2極化する月面ランダー市場

有人の月面ランダーは、ヒトを月へと輸送し離着陸させなければならないため、無人の月面ランダーと比べれば基本的には大型になる傾向にある。姿勢制御や推進のための高い推進力のスラスターが必要になるし、その分の燃料も必要だ。そして、ヒトが乗るスペースはもちろんのこと、空気を供給する与圧機能も必要だろう。他にも緊急事態に備えたさまざまな機能もインストールされるはずだ。そのため、無人に比べると開発要素は増えるし、人命を第一とする安全設計もレベルも上がるのだ。

このような背景から、宇宙ビジネスの分野では、月面レンダー然り、無人と有人では、参入する企業の数が異なるのだ。

いかがだっただろうか。今回は月面ランダーの市場について言及した。有人の月面ランダーを手がける企業は、今後も1、2社程度だろう。しかし無人の月面ランダーを手がける企業は、現在でも相当数が計画していて、今後もおそらく増えてくることが予想される。宇宙旅行というヒトを宇宙へと輸送するビジネスとロケットなどのようにモノを宇宙へ運ぶビジネスの企業の数を見てもわかるとおり、有人と無人に分類すると宇宙ビジネスという市場は、構造が異なるのだ。

文/齊田興哉
2004年東北大学大学院工学研究科を修了(工学博士)。同年、宇宙航空研究開発機構JAXAに入社し、人工衛星の2機の開発プロジェクトに従事。2012年日本総合研究所に入社。官公庁、企業向けの宇宙ビジネスのコンサルティングに従事。現在は各メディアの情報発信に力を入れている。

小学館ID登録&@DIMEログインでルンバi3+&Amazonギフト券が当たる

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2021年9月16日(木) 発売

DIME最新号の特別付録は「モバイルPCスタンドMAX」! 特集は「通勤自転車ベストバイ」、「Chromebook vs Surface」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。