
去る7月、自宅でサッカー・EURO2020を観戦していた筆者は衝撃を受けた。
(観客がマスクを着けずに声を上げ、フツーの状態じゃないか・・・)
コロナが世界の状況を変えた。
今でも、そうしたニュースがテレビを中心にメディアを賑わす。
でも、”フツーに戻っている”状況はあまり報道されていないというのが実情ではないだろうか…。
筆者は、”旅するビジネスマン”ではあるが、その中でも十八番の仕事はお花。
オンラインショップの「世界の花屋」のチーフバイヤーも務めている。
花バイヤーとして確信をもって言える。ヨーロッパの景気を見る一番分かりやすい指標は何か?
それは、アフリカ・ケニアからのバラの輸出である。
ご存知の方もいらっしゃると思うが、ケニアは、世界的なバラの生産国。
我が国日本に対しても、ケニアの輸出商品1位はバラである。
そして、ケニアのバラの殆どはヨーロッパへ流れるのである(ちなみに、アメリカには南米のバラが流通する)
そんなバラの流通を見ると、ヨーロッパのリアルが見えてくる。
ということで、早速数字で比較してみたい。
まず、ケニアの輸出通関統計からこの5年の流れを見てみる。
データの都合上、重量ベースとなることはご容赦頂きたい。
2015: 122,825,252kg
2016: 133,658,330kg(前年比9%アップ)
2017: 159,961,193kg(前年比20%アップ)
2018: 161,227,150kg(前年比1%アップ)
2019: 173,719,296kg(前年比8%アップ)
2020: 146,033,547kg(前年比16%ダウン)
この5年、順調に成長してきたケニアのバラ産業が2020年にコロナ感染に伴うヨーロッパの都市ロックダウンなども関係して大幅なダウンとなった。
そしてこの2021年、どのように変化しているのだろうか。
現状、ケニアとして正式な統計データは発表されていない。
ただ、筆者の伝手で、複数の大手バラ農園からこっそりデータを提供してもらい、その平均値を取り、昨年の同月との比較をしてみた。このコラムの趣旨はヨーロッパの景気を見ることなので、オフィシャルデータでないことはご容赦頂きたい。
1月:-13%
2月:-9%(この頃はまだコロナが流行していないため、昨対でマイナスとなる)
3月:+78%
4月:+140%
5月:+70%
6月:+26%
7月:+10%
8月:+33%
2020年、コロナが流行し始めた3月と比較すると、この2021年は見事にV字回復していることが見て取れる(=ヨーロッパの景気が戻ってきている)。
更に、6-7月、3-5月と比べてなぜ+の数字が少ないかお分かりだろうか?
これは、この時期はヨーロッパでもバケーションの季節で元々需要が低め。そのため、+のパーセンテージも低いということになる。
つまり、サマーバケーションも”フツーに戻ってきている”ということが見て取れる。
そう、バラの統計は見事にヨーロッパの景気を現わしているのである。
こうして統計をまとめながら、”旅するビジネスマン”である筆者としては、ただただ、早くいつも通りの旅する生活に戻りたいと願うばかりである。
文/小林邦宏
旅するビジネスマン。これまで行った国は100ヶ国以上。色んな国で新しいビジネスをつくるおじさん。
現在は新型コロナウィルスの影響で海外渡航制限中により国内で活動中。
オフィシャルサイト:https://kunihiro-kobayashi.com/
Youtubeチャンネル:「旅するビジネスマン 小林邦宏チャンネル」
Twitter: @kunikobagp