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マグロの超希少可食部位〝胃袋〟がクラファンに登場!家呑みにおすすめの遠洋漁船の珍味

2021.09.06

清水港からマグロ漁船が出航していく。

「頑張れよ!」

「身体に気をつけてね!」

「お父さん、早く帰ってきて!」

見送りの家族が、声を上げながら漁船に手を振る。港町ならではの、涙の味がする光景だ。

マグロ漁は、遥かインド洋や南太平洋へ繰り出し、黒光りの巨体を釣り上げることが多い。一度出航したら、1年は祖国に戻ってこられない仕事である。

釣ったマグロは、最終的に我々一般消費者の腹に入る。しかしその前に、マグロがどのように処理されるかを知っている人は少ないだろう。船上のマグロにはすぐさま刃が通され、内臓と尾が取り除かれる。そうしないと腐敗してしまうからだ。

ところが、その内臓と尾は漁師たちの間では「終業後の楽しみ」となる。酒に合う珍味として、捨てられずにしっかり食べられているのだ。

「漁師のお土産」をクラファンに

「Makuakeのこのプロジェクトは、月曜日の早朝に公開を始めたんですよ。その後は順調に出資が集まって、気がつけば目標金額の800%を超えていました」

そう笑うのは、静岡県静岡市清水区に所在するフジ物産株式会社海上部課長の嶋田綱吉氏である。「マグロの胃袋チャンジャ風」をMakuakeに出展し、ちょっとした話題を生み出した人物だ。

「フジ物産はマグロ漁船の燃料やマグロ餌料などを取り扱っている会社です。ですから、航海から帰ってきた漁師さんから“お土産”をもらうことがありました」

ここで言う「お土産」とは、マグロを処理した際に出る内臓や尾である。

多くが船上で酒の肴として消費される、可食部位だ。

「マグロの内臓など食べられるのか?」と疑問に感じる読者は少なくないだろう。が、マグロの胃袋は宮崎県日南市では「ゴングリ」と呼ばれ、地元住民の間でも広く食されている。マグロに限らず、魚とは即ち「可食部の塊」だ。

それをチャンジャ風の味付けにしてクラウドファンディングに出展しよう、というのが此度のプロジェクトである。

「地元にガルシアブリューイングという、ペルー人経営のビール醸造所があります。今回はこのガルシアブリューイングさんで製造されたビールもつける運びになりました」

嶋田氏からその話を聞き、筆者は驚いた。清水にそのような醸造所があったとは!?

ガルシアブリューイングは、ペルー人オーナーの作るビールらしく、キヌアを使っている。アンデス山脈原産の穀物であるキヌアは、インカ帝国では「神聖な食料」として扱われていたスーパーフードである。栄養価が高く、しかも塩分濃度の高い土地でも育つ救荒作物。フランシスコ・ピサロ率いるコンキスタドールの一団がやって来るまでは、このキヌアがアンデスの人々の暮らしを支えていた。偉大な文明の土台には、必ず偉大な穀物が存在する。

ガルシアブリューイングではキヌアと静岡産のミカン、イチゴを使ってビールを製造している。静岡の文化とアンデス文明のコラボ企画のような、非常に珍しい地ビールだ。

知られざる可食部位

日本人は、恐らく世界一マグロが好きな民族と言って差し支えないだろう。

豊洲でのマグロの初競りが毎年のように注目され、誰が何億円出してこのマグロを買ったという話題がテレビのニュース番組でも放映される。

が、そんなマグロ好きの日本人でも「マグロの胃袋を食べたことがある」という人は多くないはずだ。現に、筆者の地元である静岡市では、決してメジャーな食材とは言えない。先祖代々静岡に根付いている筆者の親族一同も、「マグロの胃袋」の話に首を傾げていた。そんなものは聞いたことがないし食べたこともない、と。

認知度は決して高いとは言えないこの食材に、果たしてどれだけの出資金が集まるのか? いや、その心配はもはや不要だ。上述した通り、月曜早朝に公開したMakuakeのプロジェクトページに、続々と出資者が集まった。期限残り38日の時点で、サポーターは175人である。

米飯の頂に乗せて

筆者も嶋田氏からマグロの胃袋を分けてもらい、自宅で食べてみた。

これはホルモンとほとんど変わらない、というのが正直な感想である。

陸上生物の内臓と海洋生物の内臓、ここまで味と食感が類似しているのかと箸を進めながら驚愕したほどだ。そしてチャンジャ風に仕立てたマグロの胃袋は、米飯の頂に乗せるとその味を一層引き立てる。1日の労働ですっかりくたびれた身体に、新たな活力を与えてくれる。

これは明日を生きるための糧であり、船上生活における貴重なたんぱく源である。マグロの胃袋を食べた漁師たちは、我々の食卓を支えるために今もどこかでマグロを獲り続けている。汗を流し、両腕の筋肉を膨張させながら。その光景が、はっきりと脳の片隅に浮かんだ。

美味い。本当に美味い! 港のある町に生まれて、心底良かった! そう思える逸品だ。

ウィズコロナ時代を楽しく生きる

このプロジェクトに出資者が集まった理由を筆者なりに推測すると、やはり「家呑み需要」だろう。

新型コロナウイルスの感染拡大は、「仕事帰りの一杯」も、気軽にできない状況を生み出してしまった。これは我々ライターの世界にも多大な影響を与えていて、「不要不急の外出を促さない記事」でなければならないようになった。

が、その代わりに「自宅で何かをする」という趣旨の記事が多くなった。それは同時に、「テレワーク」や「Web会議」や「バーチャル旅行」、そして「家呑み」にトレンドが転換したことにほかならない。

今回のフジ物産のプロジェクトは、我々がウィズコロナ時代をどのように生きるのか、今現在の状況をどうやってビジネスに反映させればいいのかを教えてくれるものでもある。

※クラウドファンディングには立案会社の問題でプロジェクトが頓挫する可能性や支援金が戻らなくなるリスクも稀にあります。
出資に当たっては、読者様ご自身でご判断いただきますようお願い致します。(編集部)

【参考】
市場に流通しにくいマグロ希少部位を使ったチャンジャ!静岡産クラフトビールとお届け-Makuake

取材・文/澤田真一

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