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新卒1年目と新卒2年目でテレワークに関する経験値と適応力の差はどれくらいある?

2021.09.07

20入社と19入社でテレワーク適応状況に違いはあるのか?

昨年から今年にかけて、テレワーク環境下での新入社員の受け入れに関する調査報告や事例紹介は増えている。2020年4月入社の新卒新入社員に関しては、第1回緊急事態宣言が4~5月に発出され、各社手探りでの対応が余儀なくされた。

新入社員たちは入社してからの1年間を振り返り、自分たちが置かれた状況をどのように受け止めているのか。

リクルートマネジメントソリューションズは、2020年4月および2019年4月入社の新卒入社者393名に対し、「新卒入社1年目オンボーディング実態調査」を実施し、「入社1年目の上司や職場からのサポート状況」「入社2年目になったときの変化」「現在の適応状況」など、調査結果から見える実態について公表した。

20入社と19入社で1年目のテレワーク経験に大きな差がある一方、「期待されていた到達像」に違いはない(図表1・2)

20入社は、「1年目研修期間」に約4割が「ほぼ毎日」テレワークを経験している。また「1年目研修期間」「1年目配属後」「現在(2021年6月)」の3時点とも、全体の約8割がいずれかの頻度でテレワークを経験している。一方、19入社は「現在(2021年6月)」約9割がテレワークを経験しているが、2019年の「1年目研修期間」には8割近くが、「1年目配属後」も約6割がテレワークをまったく経験していなかった。

期待役割レベルとしては、年次間に統計的な有意差はなかった。全体で見ると、「2.与えられた仕事について、上司や先輩の指示のもとにきちんとこなせるようになること」(35.6%)が最多。「1.社会人としての基本的なマナーや規律を身につけ、会社や職場に慣れること」(29.3%)、「3.与えられた仕事について責任をもち、自ら周囲の協力を引き出しながらやりきれるようになること」(18.6%)と続く。

図表1 入社1年目と現在のテレワークの状況

図表2 期待レベルの認識

「同期との交流」「職場メンバーとの業務外の交流」について、19入社は役立っている一方で20入社は不足を感じている(図表3)

「業務支援・相談」では、年次間で有意差はなく、「1.上司、2.育成担当者、3.職場の先輩たちからの面談や支援」については5割から6割近くが役に立ったと回答。

「社内コミュニケーション」の「5.同期との交流」「7.職場メンバーとの業務外の交流」は、19入社は役に立ったもの、20入社は不足の選択率が高い。「6.社内の他の職場の人との交流」は両年次とも相対的に不足が多く、約3割が選択していた。

「学び・インプット」では、役に立ったものとして、20入社の方が「12.社内の意思決定ルートについて知ること」が多い。また、すべての項目で19入社の方が不足の割合が高いのが特徴的だ。

⇒20入社が、「同期との交流」「職場メンバーとの業務外の交流」の不足に加えて、「社内の意思決定ルートについて知ること」が役立ったと感じていることもテレワーク下での仕事の進め方の影響が示唆される。「学び・インプット」の全項目で19入社の方が不足の割合が高いのは、3年目になると、「1年目のときにもっとこうだったらよかった」と思いあたることが増えてくるのかもしれない。

図表3 入社1年目に役に立ったもの・もっとあったらよかったもの

20入社に対して、上司は「受容的な態度を意識」「仕事の意義や価値を説明」「社内ネットワークの構築を支援」(図表4)

1年目の直属上司からの関わりとして、20入社の方が統計的に有意に高いのは、「1.どんな内容であっても否定せず、あなたの話を受け止めてくれる」「3.仕事の意義や価値を分かりやすく伝えてくれる」「5.職場や他部署の人との接点を作ってくれる」だった。

⇒20入社に対しては、テレワークやコロナ禍といった不安を感じる状況において、上司が受容的な態度を意識して、仕事の意義や価値を伝え、構築しづらい社内ネットワークの支援をしていた様子がうかがえる。

図表4 入社1年目の上司の特徴

1年目のテレワーク頻度が高かった20入社だが、「仕事のやりがい」や「組織コミットメント」など、19入社よりも適応が高い項目もある(図表5)

「仕事のやりがい(1)」「組織コミットメント(5、6)」「キャリアの見通し(9)」、「社外ネットワーク構築(10)」、「継続勤務意向(12)」、「仕事の中心性(13、14)」は、20入社の方が有意に高かった。

⇒20入社は2年目、19入社は3年目時点での現在の適応状況を聞いているため、単純な比較はできないが、20入社は19入社に対し、1年目のテレワーク頻度が高く、社内コミュニケーションの不足など置かれた環境に違いがあるなかで、現在の適応の状況が低いわけではないことが確認できた。現在3年目である19入社は、仕事の難易度も上がったり、慣れによって新しい刺激が少なくなったりと、置かれた環境に個人差も大きいだろう。新人としての1年目を終え、2年目をどう過ごしてきたのかの影響も考慮する必要がある。そのため、次に2年目の変化について見ていきたい。

図表5 現在の適応の状況

2年目になると、「自分で判断し、主体的に進める度合い」は高まり、「自分から周囲に対して支援を求める必要性」も増える。その際、実際の職場や上司からの支援が増加しないと、職務適応・職場適応共に低くなる(図表6・7)

2年目になって、1年目と比べてどのような変化があったのかについては、年次間で有意差なし。

増加が半数を上回るものは、「1.自分で判断し、主体的に進める度合い」(増加59.8%)、「2.仕事量・労働時間」(同51.9%)、「3.周囲からの期待の大きさ」(同50.1%)である。

「5.自分から周囲に対して支援を求める必要性」は35.9%が増加しているが、実際の支援については、6.職場、7.上司いずれも増加は24.1%、21.6%にとどまり、変わらないが54.5%だった。

「5.自分から周囲に対して支援を求める必要性」が増加した人のうち、実際の「6. 職場の人からの業務上の支援」が増えた群に比べて、変わらない・減った群は、職務適応、職場適応ともに低い。

⇒自分で判断し主体的に進める度合いが高まるにつれ、自分から支援を求める必要性も増える。その際、実際の支援が増えないと適応が難しくなる可能性が示唆された。

図表6 入社2年目の変化

図表7 入社2年目の変化 支援要請必要度・実際の職場支援状況と現在の適応状況

本人の「プロアクティブ行動」に加え、20入社は「上司伴走支援」と「心理的安全性」が適応に効く(図表8)

現在の職務適応、職場適応それぞれに対して、1年目の本人の「プロアクティブ行動」「上司の支援行動(伴走支援・自律支援)」「職場の心理的安全性」、2年目の「職場の人からの業務上の支援」「自分から周囲に対して支援を求める必要性」、1年目と現在の「テレワーク頻度」が及ぼす影響について、重回帰分析を用いて確認した。

両年次、職務・職場適応いずれにも共通していたのは、本人の主体的、先取り的な行動を表す「プロアクティブ行動」である。

20入社の職務・職場適応に共通しているのは、「プロアクティブ行動」に加え、「上司伴走支援」と「職場の心理的安全性」である。職務適応ではさらに、「上司自律支援」と2年目の「職場の人からの業務上の支援」「自分から周囲に対して支援を求める必要性」(マイナス)の影響がある。また、「1年目 研修期間テレワーク頻度」(マイナス)、「現在 テレワーク頻度」の影響も確認された。

19入社では、職務・職場適応ともに、「プロアクティブ行動」や「上司伴走支援」に加え、「上司自律支援」が影響していた。1年目の上司自律支援が、自律性をより求められるようになる3年目の適応に効いてくる可能性が示唆された。

図表8 職務適応・職場適応に影響を及ぼす変数

適応項目を組み合わせて見ると、職務適応・職場適応のギャップや、継続勤務意向と転職意向の両立、状況に応じた仕事の中心性に対する考え方の違いがあるため、適応は多角的に捉えていく必要がある(図表9)

図表5の適応項目のうち、いくつか組み合わせたものを図表9に示した。

職務適応と職場適応では、両方高いのが48.1%と最多だが、ギャップも存在している。20.1%は職場に居場所があっても力を十分に発揮できていないと感じている。職務・職場適応マトリックスのどの象限にいるかによって、支援の仕方も異なるだろう。

継続勤務意向と転職意向では、「定年まで現在の会社で働きたい」が低く「良い機会があれば転職したい」が高い群が45.5%と最多だが、いずれも高い群が29.0%も存在する。できれば一社に長く勤めたい、良い機会があれば転職もいとわないという気持ちは併存し得るので、離職意思の確認の仕方に注意が必要だ。

仕事の中心性では、「仕事以外の生活を充実させたい」という一方で、「打ち込める仕事であれば、仕事中心の生活になることもいとわない」という人が42.7%いる。若者はプライベート重視だからとステレオタイプ的に語ることは避けたい。

図表9 各適応項目の組み合わせ

構成/ino.

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