
ビジネスでもプライベートでも、もっとも必要なのは主導権を握ることです。
例えば恋愛において、告白をするということは、相手にあなたと付き合うかどうか、その選択権を明け渡すということです。逆に相手から告白してもらうと、こちらが選択権を持つことができるわけです。これはビジネスの場でも全く同じことがいえるのではないでしょうか。
こうした主導権を握るというと、多くの方は難しいと感じますが、実はそんなことはありません。要は主導権の握り方を「知っているかどうか」だけです。今回主導権を握る強力なテクニックの中の一つ「メモリーリフォメ―ション」をぜひ学んでいただきたいと思います。
人間の記憶というのは実にあいまいです。一日の記憶の95%は眠ってしまえば忘れてしまうとも言われています。昨日の10時にあなたはどこで何をしていましたか?ハッキリと明確に思い出せますでしょうか?もうおぼろげな感じで、思い出そうとするとなんとなくはわかりますが、明確に思い出すのは無理なはずです。
「この前一緒に食事したときにさ、僕のこと前からいいなあと思っているって言ったのを覚えている?」
「えっ?そんなこと言ったの?」
「えぇ、酔っていたから覚えていないとかはナシだよ」
「あれ・・どうだろ?そんなこといったのかな?」
「うわぁ、それは悲しいなあ。前からいいなぁっていってくれたとき、かなりうれしかったのに」
「あっ、ゴメン。そういう意味じゃないんだけど」
「まぁ、酔った勢いとかあると思うけどさ、でも本気で言ったのではなかったってこと?」
「う~ん、そうじゃないよ。だって嫌いな人とは飲みに行かないわけだし・・・」
もし、あなたがこんなことを異性に言われたとしたらどう感じますか? なぜだかわからないけど、少し意識をし始めるはずです。実は上記の会話のやりとり、酔っていたという彼(彼女)は、相手のことを一切「いいなぁ」などと言ってはいません。でもこうして断定的に「言った」と決めつけた話し方をされてしまうと、自分の記憶に絶対の自信がない限りは「そんなこと言ったのかな」と思いこむようになります。
久しぶりに会った友人に「おっ、そういえば、三年前にさ、同窓会の後の二次会に貸した5000円、もう返してもらってもいいよね」などと言われたら、借りたかなと思いつつも、自分の記憶に自信がないので、渋々お金を渡す可能性が高いのです。
ビジネスでも同じです。相手がもし話した証拠のようなものを持ち合わせていなければ「はい、以前お食事をさせていただいた時にはこの値段で話していましたので、この線で進めています」などと話すということですが、ビジネスシーンではこのテクニックは使わないほうがいいでしょう。相手に嘘を付くということですから、万が一発覚した場合は取返しが付かないことになりかねませんので、プライベート、特に恋愛の場面だけにご使用ください。
このテクニックを完璧にこなすポイントはたった一つ、自信たっぷりに話すことです。
人は自信のある人に従う習性があります。自信のある人には能力があり、従えば自分にメリットがあると考えるのです。そもそも自信をもつというのは本来「自分を信じられる」ということであって、多くの方は自信を「自分の能力に自信がある」と解釈しているのです。自信を持つには経験が必要だと考えるので、いつまでも「自信」を持つことができない状況が続くのです。
ですから、メモリーリフォメ―ションを使うときは、とにかく「自信」を持って話すことです。そうすれば相手はあなたの話すことを信じるようになります。相手が信じるということは、自分自身が「いいなぁ」と話したということを意識し始めるわけですので、今まで意識をしていなかった部分が刺激されて、徐々にその思いは強くなるのです。
もちろん、このテクニックは異性との関係を一気に縮めるものではありません。しかし、このテクニックは「茹でカエル」と同じで、ゆっくり温度を上げながら、徐々にそこから逃がさないようにするものです。あなたもきっと気になった人の事を忘れられない、時間があればその相手のことを思い出してしまうという経験があったのではないでしょうか。メモリーリフォメ―ションはまさにこの状態を作り出す強力なテクニックなのです。
このように言葉を使うことで「無」から「有」を作り出すことができるということを覚えておくと損はないでしょう。
文/ロミオ・ロドリゲス(プロフェッショナル・メンタリスト)
1972年香港生まれ。説得術、交渉術のエキスパートであり、ビジネス心理専門家である。幼いころよりイギリス、カナダ、日本とさまざまな国々で生活し、4カ国語を操る。相手の心を読み、暗示をかけ、操作をするエンターテイメント「メンタルマジック」を日本に確立させた第一人者。メンタリストの徒弟制度を開設し、次世代なるメンタリストの育成にも力を入れている。一方、独自のビジネス心理方法論を元にしたセミナーを開催し、サービスや接客業のビジネス現場でいかにお客様の心を読むかを指導。インターネット事業でも多方面にビジネスを展開し、メンタリズム・アンダーグラウンド・アカデミーオンラインや多種類のインターネットビジネスにも関連、2015年、「マインドリーディング協会」を立ち上げるなどマインドリーディングの発展のため、さらに活動の幅を広げている。主な著書に、「メンタリズム 最強の講義 メンタリストがあなたの心理を操れる理由」(日本実業出版社)などがある。
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