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3GBで月額990円のLINEMO「ミニプラン」は小容量料金プランを制するか?

2021.09.08

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は3GBで月額990円の破格を提示してきた、LINEMOについて話し合っていきます。

※新型コロナウイルス感染拡大対策にインターネット会議を行っております

楽天モバイルやMVNOに迫る低料金

房野氏:ソフトバンクのオンライン専用ブランド「LINEMO」が、20GBで月額2728円の「スマホプラン」に加え、3GBで月額990円の「ミニプラン」を発表しましたね。

房野氏

石川氏:ahamo、povo、LINEMOという大手3キャリアのオンライン専用プラン、あれはなんというか政府の意向を反映した料金プランになっている。総務省が世界6か国の携帯電話料金プランを20GBで比較して「日本は高い」と言っていたからこそ、3キャリアとも20GBで3000円程度の料金プランにしてきた。

 20GBで月額3000円程度を大手3キャリアがやったことで、MVNOはなんとか首の皮一枚つながった。MVNOが料金を下げて、あまり使っていないユーザーに向けて、もっと安く使えますよと提案できた。MM総研が今年2月に発表した調査によると、スマホユーザーの6割は1か月3GB以下の通信量。MVNOはそこのユーザーのために料金プランを新しくして、大手3キャリアとMVNOの棲み分けがなんとなくできて、まぁ良かったよねいう感じになった中で、ソフトバンクの寺尾さん(ソフトバンク 常務執行役員 寺尾洋幸氏)が、「そうはいってもなぁ」みたいな感じで、3GBで990円のミニプランを出した、ということなのかなと思っています。

 一般ユーザーの大半はLINEMOの設定でいいんじゃないかって気がします。ソフトバンクユーザーであれば、あえてMVNOに乗り換えるような面倒なことをしなくても、LINEMOで安くなる。これはインパクトが大きいんじゃないかな。MVNOは苦しい立場になるんじゃないかと思います。

石川氏

法林氏:報道関係者向けの説明会で寺尾さんが「楽天モバイルを意識した」と言っていて、それはあるだろうと思った。以前からこのスマホ会議で何度も言っている話だけど、安さを求めるユーザーは常に安い方に移っていく。どっちが安いかという話になった時に、「ウチ(LINEMO)はエリアが広くて安いです」という方向に行きたいので、LINEMOで3GBプランを出したということだと思う。これはこれでアリかなと思うけど、石川君が言ったように、MVNOへの影響は大きいと思う。しんどいかなと。ユーザーを獲れる料金プランを出せるMVNOが限られてくるのかなと。あとはブランド力の問題だと思う。今、ミニプランと素直に張り合えるのは、IIJmioの「ギガプラン」と……

IIJmio「ギガプラン」

法林氏

石野氏:nuroモバイルの「バリュープラス」。金額的には。

nuroモバイル「バリュープラス」

石川氏

法林氏:そんなものですよね。

石野氏:nuroモバイルの3GB容量だと、LINEMOより200円くらい安いのかな。コストを突き詰める人はnuroモバイルがいいでしょう。nuroモバイルも新プランで契約者数が5倍弱増えていたりする。あのくらいの値段はライトユーザーに訴求力があるというのは、なんとなくわかるところ。4桁にならないようにしていて、完全にユーザーを獲るための勝負をしかけたという感じ(笑)

石野氏

石川氏:LINEMOは3GBで990円にちゃんと設定されていて、安心して使えるという言い方をソフトバンクの寺尾さんはしていた。キラーなサービスになるだろうし、KDDIとドコモの動向が気になる。特にドコモは「エコノミー」というジャンルを発表しておきながら、未だに中身が見えてこない。ドコモ、KDDI2社の展開は面白くなってくるだろうし、2社も3GBで990円のプランをやってくると、MVNOが厳しくなるのは想像できますね。

ドコモの「エコノミー」プランはいつ?

石野氏:ドコモのエコノミーは決まっていないというか遅れているというか。まぁ、「会食」の件で遅れた部分がある(笑)

石川氏:そう、結局みんなそこに引っ張られている感じ。NTTコミュニケーションズ(NTTコム)をドコモ傘下に収めるというのも、会食の件と時期が近すぎるという指摘は、当然受けてしまう。会食騒動が企業の戦略に影響を及ぼしているところもあるんじゃないかと思います。

法林氏:NTTコムは現時点では相当動きにくいと思う。goo Simsellerで端末を安売りするくらいしかない。たぶん、あれもいずれ問題視されると思う。NTTグループ的にはちょっとマズイ感じになっているよね。

ビッグローブ「donedone」の評価は?

石野氏:LINEMOに話を戻すと、ミニプランを出した背景として、ahamoやpovoと比べて、LINEMOは若干伸び悩んでいるというか、契約者数が少ないかなと。そこに対する一手としてやってきたのかなと思います。KDDIのpovoも「約100万契約」ということなので。どこまで行けば100万が見えるのかは、ちょっとわかりませんが(笑)

 LINEMOは「LINEモバイルの2倍以上」という数字を出している。計算してみたんですが、LINEモバイルは去年、四半期ベースで7万4000契約くらい。月平均で2万5000契約なので、この数字の約2倍になったということで、1か月5万契約くらいになる。4か月だと20万契約くらい。そんなもんなんですよね。ahamoはとっくに100万を超えているので、てこ入れという側面もあったのかなという感じがします。

石川氏:どこまで本気でユーザーを獲っていくかというのも結構わからない。だって(ソフトバンクからLINEMOに移れば)収入が下がるわけなので。本気で1番を取っても仕方がない感じもする。とはいえ、他社から獲ってくるところもあるので、インパクトは欲しい。だからソフトバンクとしては、むしろMVNOと楽天モバイルを注視していて、そこからお客さんを獲ってくることを期待している。

石野氏:ただ、ソフトバンクは元々Y!mobileが強い。だから、LINEMOへそんなにユーザーが移っていかないという読みがあって、LINEMOに思い切ったプランを投入したのかな、という感じですかね。

法林氏:各社からオンライン専用プランが出た去年の12月から約8か月、ケータイ料金の情報を散々話してきたんだけど、この2か月くらい、LINEMOの話はあったけれど、言うほど盛り上がらないというか、止まった感をすごく感じている。LINEMOの3GBで990円がどれくらい響くか、ちょっとわからないなと思っています。

 MVNOもがんばってはいるけれど、がんばって安くしたいユーザーのためのプランでしかなくて、「とりあえずコレにしておけば大丈夫」という感じが全然しない。コストを気にする客層は、イオンモバイルでもIIJmioでもBIGLOBEモバイルでもどこでも同じ。あまり明示的な客層ではないんだなと感じた。

 それに関連して僕が意外に思ったのが、ビッグローブの新ブランド「donedone(ドネドネ)」。料金の一部を社会貢献団体に寄付できるというプランで、全然期待していなかった。だってユーザーにとっては何も嬉しくないでしょ、と思ったんだけど、そこそこ受けているみたいなので、ちょっと意外に思ったんですが、どうですか?

石野氏:あれはCMに出ているジャニーズJr.の効果も含んだ動き。

石川氏:盛り上がっているのは0円の「エントリープラン」だけですよね。

房野氏:エントリープランは、最大128kbpsで利用可能なデータ通信専用プランですね。時間単位で快適に通信できるチケットも用意される予定だと。128kbpsでも月額0円というのはすごいですね。

石野氏:先日、ビッグローブの有泉 健社長にインタビューしたんですが、想定外にエントリープランが受け入れられたということでした。本来は、音声付きの「ベーシックUプラン」と「カスタムUプラン」を売りたかったのに、エントリープランとして0円で出したら、ネットで「0 SIM」の再来だと別の角度で盛り上がってしまった。申し込みが殺到して、SIMカードの在庫が足りなくなることもあった。

 donedoneのプランは、MVNOは大容量プランが難しいと言われている中で、容量じゃなくて速度を絞ってきたところが面白い。昔も、例えば日本通信でそういうプランがあったので、歴史の繰り返しではあるんですけど、5GでMNOがギガビットを超えてきた中で、3Mbpsに絞って50GBで2780円で提供する。本当は月額1980円くらいで提供してくれたらインパクトがあったと思うんですけど、無制限が当たり前になってくると、今後、速度で差別化する方法もあるかなと思いました。

石川氏:けどまぁ、ずるい設定だなというか。エントリープランは128kbpsで50GB、そんなデータ量を1か月で使い切るのは、事実上無理だよ……みたいな(笑)

石野氏:元々はeSIMを前提にして、都度チャージして使ってもらう予備回線用と考えていたものなんですけど、eSIMもないし、都度チャージの仕組みも用意していないうちに提供を始めてしまった。なんでこのタイミングなの? というところがちょっとあります。

石川氏:後に取っておきなよって感じ。

石野氏:そう思いました。

石川氏:とはいえ、ドネーションという切り口もあるんだなと面白いと思った反面、苦し紛れのプランだなという感じもする。

法林氏:これが大多数を取るとは思わないけど、こういうキャラクターと切り口で一定の効果が得られるということは、MVNOには容量と料金と速度だけではない何かがあるのかな、とは思いますよね。海外でも、プリペイドのSIMカードを買ってアクティベーションしたけど3Mbpsしか出ない、プランを変えたら速度が上がったなんていう話はよくあった。新しい軸としてあってもいいのかなっていう気はする。

石川氏:ビッグローブというKDDI傘下の会社で、ちょっと企業の体力的な余裕を感じる話でもある。だからこそアイドルを使ったCMを流せるんだろうなと思うし。ほかのMVNOの台所事情は今後、相当カツカツになるのは変わらないんじゃないかなと思いますね。

法林氏:そうだよね。

大手キャリアの力業に対抗できる?

房野氏:5G時代にMVNOは、どういう戦略を採っていくのでしょうか。

石川氏:その舵取りは非常に難しいんじゃないかと思います。MNOは使い放題の方向に行っていますが、MVNOで使い放題は、今の仕組みでは提供しにくい。回線の借り方のルールが何かしら変わる必要も当然あるだろうし。ただ、MNOが使い放題に行く中で、ちょっとしか使わないというユーザーニーズもある。そこを狙ったMVNOの存在価値が、この数か月はあったけれど、LINEMOが3GBのプランを投入しちゃったので、厳しいよねって感じです。

 キャリアとしては、エントリーユーザーに契約してもらい、データをだんだんとたくさん使ってもらい、ハイスピードなスマホに乗り換えて使い放題プランに移行してもらうという流れにしていきたいだろうと思うので、そこにあらがうのは結構難しいんじゃないかと思いますね。

石野氏:LINEMOはeSIMのアジャイル開発でどんどん使い勝手を改善していて、試しに契約してみたんですけど、不満点は確かに改善されており、30分で契約が済んだ。そこはMNOとして、LINEMOが強いなと思えるところですね。とはいえ、LINEMOはオンライン専用プラン。MVNOもオンライン専用みたいなものだけど、IIJmioとかがそうですが、一応、家電量販店で吊しのSIMを買えたり契約できたりする。リアルが拡充してきているところはあるので、そこが差になるかなという感じですね。

......続く!

次回は、総務省の国民負担額4300億円の軽減の根拠について会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/房野麻子

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