■連載/コウチワタルのMONO ZAKKA探訪
「挟む」という言葉を改めて考えてみると面白いことに気づく。それはかなり確率で「~だけ」といった気軽さを示す言葉と一緒に使われることが多いという点だ。文房具関連の賞を近年受賞している製品を見てもその特徴を見ることができる。そのように考えると、「挟む」ことは様々な問題を解決する方法になる可能性を秘めているかもしれない。
挟むだけで即席の卓上ゴミ箱が作れる画期的なスタンド『PAPER POCKET HOLDER』
COVID-19の流行により自分のデスク以外で仕事をする機会も増している。在宅勤務の場合はリビングのテーブルだったり、自宅外の場合はカフェの席だったりするわけでだが、地味に困るのがすぐ近くにゴミ箱がないこと。仕事に集中しているとちょっとしたゴミを捨てるためだけに席を立つのはなかなか面倒なもののである。そんな問題に解決策を与えてくれそうなのがこの『PAPER POCKET HOLDER』だ。即席の卓上ゴミ箱を作れる製品なのだが、面白いのは不要な紙を使用してゴミ箱を作る点。本体はステンレス製の2つのパーツから構成されており、各々のパーツを組み合わせた後、不要な紙を2つ折りにしてスタンドに挟むだけでゴミ箱の出来上がりだ。スタンドは解体すれば簡単に持ち運ぶことができるので自宅外でも使用することができるし、不要な紙を使用することで資源の無駄遣い防止にも繋がる。何よりすぐ使える手元に即席のゴミ箱ができるのは嬉しい。リモートワークだけでなく自分の座席が決まっていないフリーアドレスのオフィスにおいても活躍してくれそうな製品だ。
価格は税込み6,160円で楽天市場から購入することができる。
挟むだけで子どもたちから絶賛されるようになるイヤリング『オオクワガタのイヤリング』
見た目のインパクトが凄い。思わず「…芸人さん?」言ってしまいそうなこちらのイヤリングはオオクワガタの顎を耳に挟んで使用するイヤリング。もちろん本物のオオクワガタではなく、オオクワガタをモデルに作られた真鍮製のイヤリングだが、オオクワガタの顎の部分にバネが仕込まれており優しく耳を挟み込んでくれるという。「なぜオオクワガタを耳に挟んだ?」と率直な疑問が浮かんでくるかもしれないが、実はこれにはちゃんとした理由がある。オオクワガタは“黒いダイヤ”とも称される昆虫だからである。その宝石を身に纏ってみたらどうだろうか、というのが発想の始点だったに違いない。
価格は税込み6,600円で「Nina」のオンラインショップから購入することができる。なお、こちらのショップでは他にも爬虫類や両生類など作者が観察してきた生き物をモチーフにしたアクセサリーが多数販売されているので、覗いてみるだけでも面白いのでお薦めだ。
挟むだけだから何でも運べるトート&リュックサック『Tack Sling』
私たちが出かける時に運ぶ荷物の形や量は当然のことながら同じではない。だからこそ私たちは複数のバッグを使い分けるわけだが、日本の住環境を考えるとモノを増やしていくことには抵抗を感じることもある。変動する荷物の大きさにバッグ自体が臨機応変に対応してくれる製品が待たれるところだが、この『Tack Sling』は1つの解答になるかもしれない。こちらの製品、袋を2つ組み合わせたような独特の形状をしており、各々の袋は仕切られたコンパートメントのようにして荷物を収納することができる。なお、サイズはH53cm×W40cmと大きめのサイズとなっている。この製品が特徴的なのはこの2つの袋がバンドで連結されており、各々の間に荷物を収納することが可能な点だ。厚みがあるためにコンパートメントの中に納まらないような荷物だったり、はたまた自転車のタイヤのように大きくサイズが超えるようなものでも持ち運ぶことができるというから驚きだ。なお、ストラップのバックル部分の調節でトートとリュックの切り替えが簡単にできるので、普段はトートで使用し、サイズの大きな荷物を挟み込みハンドルが使用できない時はリュックサックとして背負って使用することができる。
カラーラインナップはEmpire Grey、Charcoal Black、Red Hook Burgundyの3種類で「SSCY」のオンラインショップでは199ドル(約21,000円)で販売されていたが、残念ながら2021年7月17日現在、品切れとなってしまっているようだ。
途中で挫折はしない代わりに長続きもしない貯金箱『100円玉が1枚だけ貯金できるブタ』
レジンキャスト(無発泡ウレタン樹脂)製のこちらの貯金箱。モデルになっているのはブタの貯金箱であるが、名前が示しているように背中に100円玉を1枚だけ挟んで使用するシンプル設計の製品となっている。100円玉を1枚挟めば終わりなので途中で挫折することはまずない代わりに長続きすることもない貯金箱である。予備の100円玉をこの子に挟んで置いておけば、いざという時(?)に助けられることがあるかもしれない。ハンドメイド製品のマーケットプレイス「Creema」で扱われていたが、2021年7月17日現在は“展示作品”となっており販売は終了してしまっているようである。
text/Wataru KOUCHI