
一時期話題になった「SNS疲れ」。コロナ禍でSNSの利用が増えていると世間的にはいわれているため、自粛疲れも手伝って、SNS疲れを感じている人も多いのではないだろうか。
SNS疲れといっても、その原因や症状はさまざまだ。今回は、アンケート調査結果より症状を紹介。そして心理カウンセラーに、よくある症状への対処法についてアドバイスをもらった。
SNS疲れのきっかけは「つながりを増やす」「人と自分を比べる」「自慢や批判を目にする」
ウォルターインターナショナル合同会社が運営する「みんなの予約ナビ」は、SNS利用者を対象に「SNS疲れ」関するアンケート調査を実施した。
SNSを利用する幅広い世代の男女にInstagram、Twitter、FacebookのSNS疲れの体験談を募集したところ、SNS疲れの「きっかけ」について次の共通点があることがわかった。
・実際に関わる人の数を増やす
・積極的に他者と関わりを持つ
・現実世界の人とSNSでつながる
・他者と自分を比べてしまう
・自慢や批判を目にする
また、SNS疲れの事例・症状のリアル体験談が公開されている。
そこでは、実にさまざまな種類のSNS疲れがつづられていた。
よくあるSNS疲れの悩み…心理カウンセラーが対策をアドバイス!
よくあるSNS疲れの症状をピックアップした。それぞれの症状への原因と対策を、「感情の学校」という感情(心)の持ち方をを主催する心理カウンセラーの天乃陽妃氏にアドバイスしてもらった。
【取材協力】
天乃陽妃(あまの・てるひ)氏
「感情の学校」主催・心理カウンセラー
日頃のネガティブな感情から抜け出し、ちょっとでも毎日を楽しく、豊かに過ごす方法を伝えている。20代~50代までの幅広い女性層に「安心できる」と定評がある。
「感情の学校」ホームページ:https://bit.ly/3CIHHH6
【SNS疲れ1】
キラキラして幸せそうな人のSNS投稿を真似しようとしたができず、うらやましい一方でイライラしてしまう。
「幸せそうな人の投稿を見てネガティブな感情が出る理由は、自分が今、満たされていないということ。そのことを教えてくれるサインととらえましょう。自分が本当にやりたいこと、心が満たされることに集中できていると、他の人の投稿は気になりません。
もし、幸せそうな人を真似してできなかったのなら、自分が幸せになる方法は、その人の真似をすることではない、ということも教えてくれています。
一度、外から入る情報を減らして、自分に集中してみることをおすすめします。他人からどう見えるかや、結果が出るか、評価されるか、正しいかどうか、などの考えは一旦、横へ置いておいて、自分が心から満たされることをやってみてください。
リラックスできること、好奇心が注がれること、心が温かくなること、心が浮き立つように喜ぶことを増やしていきます。そうしているといつの間にか、他の人の投稿が気にならなくなっていきます」
【SNS疲れ2】
好きなアニメやゲームが共通している人たちとSNSで交流しているが、他人に対して悪口や上から目線の意見を言う人が多く、モヤモヤしてしまう。
「モヤモヤする人間関係にハマってしまうときは、“自分の力を見失っている”サインです。人には、『周りの意見を採用するかどうかを選ぶ力』も、『嫌な空気感の影響を受けないようにする力』もあります。そのことを忘れてしまうと、モヤモヤする人間関係から抜け出せなくなってしまいます。
もし周りの人が言っていることが自分の感じていることと違う場合、相手を否定したり、相手との関係を切り離したりする必要はありません。『あなたはそう思うのですね、でも私はそう思いません。』というスタンスでいればいいのです。人間関係を続けるのに、違うことを感じていても良いのです。そうやって相手の意見を採用しないと決めることができます。
嫌な空気感の影響を受けないようにしたければ、私はこの空気感の影響は受けない、と意図してみてください。自分の周りにバリアみたいなものをイメージしてもいいでしょう。そうするだけで、本当に影響を受けなくなります。ただ、敏感体質で、どうしても影響を受けてしまう人もいます。その場合は、受けてしまった影響を感じたら、意識の中で『この嫌な感覚を流します』と流してしまうといいでしょう。水に流す、という言葉がありますが、『人には外から受けた嫌な感覚を手放す力』も備わっているのです。自分には自分を取り戻す力がある、そのことを思い出してください」
【SNS疲れ3】
美味しそうな外食店にばかり行って報告する投稿や、自分の作った料理を自慢げに紹介している投稿を見ているとうんざりする。
「他人の自慢のような投稿にうんざりしているなら、客観的に考えれば、見るのをやめたらいいはずです。でも現実に見たくないのに見続けているとしたら、そこが深層心理への入り口です。深層心理に理由があるのです。人は自分に禁止していることを他人がやっていると、ネガティブに感情が動くものです。
この場合、『自慢している人』にうんざりしているわけですから、『自慢することはよくない』と思い、無意識のうちに自分が自慢しないように気をつけている可能性があります。自慢への禁止の力が強い人ほど、人の自慢投稿にイライラしたり、不快感を感じます。ですので人の自慢投稿を見て不快感を感じる方は、無意識のうちに自分は自慢しないように気をつけていないか、チェックしてみてください。
実は自慢への禁止が強いと、自分の才能や喜びを率直に分かち合えない、というデメリットがあります。『私はこれができます』『私はこれがとても嬉しかったです』『私は今、幸せです』といったポジティブな表現で自分を表すことができなくなってしまうのです。
それは結果的に、自分らしさの一部を閉じてしまうことになりますし、幸せを分かち合えない、ということにもなります。もし今、人の自慢投稿にうんざりするなら、あなたは『もっと自分のことをポジティブに表現していい』『幸せや喜びを分かち合ってもいい』というタイミングだと深層心理が教えてくれているのかもしれません。ずっと自慢を禁止してきた人は、何かしら表現したいポジティブな出来事が溜まっているはずです。それを少しずつ表現していきましょう」
【SNS疲れ4】
「いいね」をもらったときに、返さなければと義務感が生まれてしまい疲れる。
「義務感で疲れるということは、『望まないことで自分をすり減らして犠牲をしている』というサインです。同じ行動でも自分が望んだことなら疲れても充実感を感じるでしょう。犠牲は美徳のように言われることもありますが、実際に良いことはありません。犠牲をすれば疲れるし、ある人間関係の中で自分が犠牲するパターンが続くと、だんだん相手のことが嫌になってしまうからです。本来、人間関係を良くするためにした犠牲だったはずなのに、結果的に嫌いになってしまうわけです。もしお互いに、犠牲で『いいね』を押し合っているとしたら、こんなに滑稽なことはないでしょう。
本当に良好な人間関係を築きたければ『お互いに犠牲しない』というのが大切です。また、義務や犠牲にとらわれてしまう人は、それ以外の人間関係を知らないだけ、ということもあるでしょう。実際には、自分があげたいときにあげたいだけあげて、やってきたものはありがたく受け取るだけ、という人間関係もあります。もし、義務や犠牲でない人間関係を作りたければ、まずは『いいね』返しをしないのに愛されている人がいないか観察してみましょう。実はそういう人はたくさんいます。そうやって今とは違う人間関係のあり方を自分に取り入れていきましょう」
SNSは、本来、普段なかなか会えない人や、会えない時間帯でのつながりやコミュニケーションを楽しむもののはず。今回のアドバイスをヒントに、SNS疲れを対策し、楽しく活用していこう。
取材・文/石原亜香利
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