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「今が一番いいと脳に叩き込んでいる」 驚異の37歳、長谷部誠が挑むブンデスリーガ15シーズン目

2021.08.14

長谷部誠が迎えるドイツ15シーズン目


37
歳になってもパフォーマンスは決して落ちていない(筆者提供)

日本代表前キャプテンが迎えるドイツ新シーズン

9日に閉幕した東京五輪の男子サッカーでは、久保建英(マジョルカ)、堂安律(PSV)ら若い世代の奮闘が光ったが、ベテラン選手もまだまだ負けてはいない。U-24日本代表で6戦フル出場した吉田麻也(サンプドリア)、不動の右サイドバックとして1対1の強さを見せつけた酒井宏樹(浦和)ら30代のベテラン勢の存在価値はまだまだ大きい。

 日本代表キャプテン・吉田の前任者である長谷部誠(フランクフルト)も14日のボルシア・ドルトムント戦で2122シーズンを迎える。2008年1月にドイツに渡って以来、ヴォルフスブルク、ニュルンベルク、フランクフルトの3クラブを渡り歩いた彼は37歳。毎年のように「今季限りで引退する」と現地メディアに報じられながら、高いパフォーマンスを維持し、ドイツ15シーズン目に突入しようとしている。

「ここ数年は毎年、『今年が最後のシーズンかな』と思いながら、何年も過ぎているのが実情です。特別な感情はないですし、あんまり先を考えてもしょうがないなと。自分が今、できることをチームのためにできることをやるしかないので。

 幸いにして、ニコ・コバチ監督(1618シーズン)、アドルフ・ヒュッター監督(1821シーズン)、今のオリバー・グラスナー監督と、3人続けて年齢で判断しない監督の下でプレーできたことは恵まれていたなと感じます。それに応えたいですし、ホントに1日1日、一瞬一瞬、ベストを出すことで未来が変わっていくのかなと思っています」

 今季開幕が迫った8月4日、長谷部は日本人記者数人に向けたメディア対応でしみじみこう語っていた。「目の前のことを全力で突き詰める」というスタンスを貫き続けているからこそ、40歳手前になっても欧州5大リーグでコンスタントに活躍できるのだろう。


ロシアW杯・ベルギー戦(筆者撮影)

ラームやロッベンなど同級生はすでに引退

30歳以上のベテランが難しい環境に置かれるのはサッカー界の常。日本でも「ベテランはケガが多くなって使いづらい」「年俸が高すぎる」といったネガティブな捉え方をされがちだが、欧州ではより一層、厳しい見方をされるという。長谷部の1つ年上の川島永嗣(ストラスブール)も「欧州では30代のベテランを『やる気のない選手』と見る傾向が強い」と厳しい表情でコメントしたことがある。

 確かにクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)やリオネル・メッシ(パリサンジェルマン)のような特別なタレントを除いて、30歳半ばまで最高峰の舞台で輝ける人間は少ない。かつて長谷部自身が「同い年の選手」として名指しした元ドイツ代表キャプテンのフィリップ・ラーム、元コートジボワール代表のヤヤ・トゥーレはすでに現役を引退。オランダ代表として一世を風靡したアリエン・ロッベンも昨季限りでピッチを去る決断をした。もう1人のフィリップ・ラームは昨季でフィオレンティーナと契約満了になり、現役続行を希望しているが、まだ新天地は決まっていない。こうした面々を見ても、長谷部がどれだけ驚異的なパフォーマンスを維持しているかがよく分かる。さすがは日本の誇れる元主将である。

「サッカー選手としての価値は落ちていない」

「ここ数年、『今が一番いいのか』という質問をドイツの記者の記者にされていて、そう言わされている感もありますけど、実際、フィーリング的にはいい状態。体のスプリントや強度、フィジカル的な部分は落ちているかもしれないけど、サッカー選手としての自分の評価が落ちてるということはない。『今が一番いい』と自分の脳に叩き込みながらやってますし、まだまだ成長していけるのかなと感じながらやってます」

 こういったポジティブな思考はメンタル的に行き詰まりがちなサラリーマンにも響くのではないだろうか。振り返れば、長谷部自身もつねに順風満帆というわけではなかった。


日本代表時代の長谷部(筆者提供)

ドイツ移籍2年目の200809シーズンにはブンデスリーガ制覇という栄光をつかんだものの、同クラブでは本職のボランチのみならず、右サイドハーフ、右サイドバック、時にはGKまで任されるという「便利屋状態」。それでも、決してブレることなく多種多様な仕事を遂行した。

その献身性と安定感でフェリックス・マガト監督に絶対的信頼を寄せられていたはずだったが、201213シーズン開幕前に移籍を直訴したことで関係が急激に悪化。8試合連続ベンチ外という理不尽な扱いを受けたこともあった。結局、マガトが解任され、3カ月後には苦境を脱することができたが、海外ではこういったドラスティックな環境の変化は往々にしてある。本人は不安を覚えつつも、処世術を身に着けたことだろう。

1314シーズンにはニュルンベルクへ移籍。清武弘嗣(C大阪)との共演で躍進が期待されたが、チームは不振を極め、まさかの2部降格が決定。彼自身も2014年ブラジルワールドカップ(W杯)を半年後に控えた同年1月に右ひざ半月板損傷の重症を負い、長期離脱を強いられる。それがW杯本大会にも響き、日本はまさかの惨敗。キャプテンとして力不足を痛感したに違いない。

ニコ・コバチ体制移行のボランチ・リベロ兼務でさらなる高みへ

 直後に赴いたフランクフルトでは継続的に出場機会を与えられたが、ニコ・コバチ体制ではボランチからリベロへ本格的にコンバートされ、最終ラインの統率役を任されるようになった。

「リベロはボランチに比べると運動量が少ない」と本人も言いながらも、読みや状況判断力がより求められるポジション。それが30代になった彼には合っていたのか、日に日に評価を上げていき、「現代のフランツ・ベッケンバウアー(『皇帝』の異名を取ったドイツのレジェンド)」の異名を取るまでになった。これには藤枝東高校時代の服部康雄監督(現静岡県サッカー協会専務理事も「まさか長谷部がベッケンバウアーだなんて」と驚いていたが、ボランチとリベロを臨機応変にこなしてしまうインテリジェンスと適応力が高く評価されたのは確かだ。

 このようにドイツに赴いてからの15年間を見ても、自分自身を巧みに変化させながら、さまざまな指揮官やチームメートの要求に応える能力が際立っている。どんな組織でも年齢や経験が上がっていけば、立場や役割も変わるが、長谷部はその時々に必要な仕事をやってのけたからこそ、37歳になっても必要とされるのだ。そこは我々も大いに学ぶべき 部分である。


ロシアW杯初戦・コロンビア戦前の記者会見風景(筆者撮影)

遠藤航や田中碧ら後輩を見て学ぶ姿勢も

もう1つ、彼の秀でているのは、年下の選手をリスペクトしつつ、彼ら刺激を受けて、自身を成長させている点だ。ドイツには目下、日本代表ボランチの後輩である遠藤航(シュツットガルト)やA代表予備軍と言われる田中碧(デュッセルドルフ)がいるが、彼らの一挙手一投足から吸収できることはしようという前向きな姿勢を見せている。

「航は今、ドイツ国内でも高い評価を受けています。彼の活躍を見ていると、阿部ちゃん(阿部勇樹=浦和)や今ちゃん(今野泰幸=磐田)もタイプ的に同じで、ドイツでフィットしたんじゃないかと思います。航と僕はプレースタイルはそんなに似てないし、航の方が競り合い、ヘディングに強くて、セットプレーでも点を取れる。タイプは違いますけど、評価されるのは嬉しいですし、頼もしく思ってます。

田中(碧)選手はまだあんまり見たことがないけど、川崎フロンターレからデュッセルドルフに移籍したばかりで、五輪代表でもいいプレーをしていますよね。まだ20歳を越えたくらいで若いですし、そういう選手がどんどん欧州に出てきて、ステップアップしていくことを僕自身も期待しています。自分とは年代があまりにも違いすぎるので、直接対決は対戦したくはないですけど(苦笑)」


真面目さの中に人間臭さがあるからこそ長谷部は愛される(筆者撮影)

長谷部はユーモアを交えながらこう語っていたが、「彼らに負けてはいられない」という秘めた闘志も燃やしているはず。ベテランはベテランの味を出しつつ、20代の彼らに違いを見せつけてもらいたい。

すでに日本代表からは退いている分、彼が日本人サポーターの前でプレーする機会はほぼないが、アラフォーになってもトップに君臨し続けている事実を改めて認識してほしい。偉大なベテラン・長谷部誠が進む先は果たしてどこなのか…。ここまで来たら、カズ(三浦知良=横浜FC)の領域を目指してほしいものである。

取材・文/元川悦子

長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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