小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

アンチエイジング第一人者が説く!健康寿命を延ばすための睡眠、食事、運動

2021.08.27

働き盛りの世代が知っておくべき健康寿命を延ばす術を紹介する「忍び寄る身近な病たち」シリーズ。今回は抗加齢をターゲットにするアンチエイジング医療を取り上げる。超高齢化社会を迎え、健康寿命を延ばす予防医学として、アンチエイジング医療は注目されているが、「30代40代から抗加齢に取り組むことが大切です」と指摘するのは今回、レクチャーをお願いした抗加齢医学研究の第一人者、米井嘉一教授である。先生は同志社大生命医科学研究科と、同志社大アンチエイジングリサーチセンター教授を兼任する。

問題は病的な老化

まずはアンチエイジング医療とは何か、米井先生は解説する。

「皆さんも聞いたことがあると思いますが、人には『平均寿命』と『健康寿命』があります」

日本人の平均寿命は女性で87.14歳、男性で80.98歳。一方で支援や介護等の必要がなく暮らせる健康寿命は女性で74.79歳、男性で72.14歳(2016年度厚生労働省発表)。制限のある不健康な日常生活を送る期間が、平均で9~12年もあるのだ。

「アンチエイジングの最大の目的は、健康寿命の延伸です。患者さんの弱点を是正して、健康状態のバランスを整えれば、健康寿命は延びるという仮説を私たちは立てていまして。私たちが問題にするのは病的な老化です」 

糖尿病、高血圧、メタボ等の生活習慣病を含めて、加齢による病的な老化は診断が可能である。病的老化は治療で改善することができるし、うまくいけば完治することもできる。それによって健康寿命も延びるというわけだ。

「高齢者は65歳以上という線引きがありますが、30代や40代でも抗加齢を意識して病的老化の改善を心がけることが、健康寿命の延伸につながります」

――予防医療としてアンチエイジングは注目されはじめていますが、先生は20年近く前からこの分野を専門にしています。何がきっかけだったのでしょうか。

「もともと、川崎市内の総合病院に勤務する消化器内科の専門医でした。脂肪肝や高血圧等の患者さんを数多く診たのですが、長く通院する患者さんの中には、“最近、疲れやすい”“物忘れが多い”と、つぶやく人がいます。そんな患者さんに『年ですね』と、言葉を発したことがありまして。その時の患者さんのがっかりした顔が、忘れられなかったんです。

“なんだ……、ほかの答えはないのか?”と言われているようで。患者さんが身体の改善に期待を抱けるようなアドバイスはできないのかと、考えるようになったのが抗加齢医療にのめり込むきっかけでした」

老化度の判定と危険因子、2つの5角形に着目

90年代末にアンチエイジングという言葉を知った米井先生は、渡米してこの分野を研究、2000年12月に勤務していた総合病院に、日本初のアンチエイジングドックを開設した。

「老化に関するたくさんの項目を2時間ぐらいかけ患者さんに説明したのですが、開設した当初のその方法は、システマチックとは言えませんでした」

そこで米井先生は画期的な診断方法を考案する。若さと老化を評価するために「老化度の判定」と、「老化の危険因子」に分けたのだ。

まず、「老化度の判定」は5つの機能を選び、「老化の危険因子」も5つに絞った(図参照)。患者は先生が考案した問診表にチェックを入れる。問診表の記入によって得た数値を、それぞれ5角形の図に書き入れると、老化が進行する機能や老化を促している危険因子が、一目瞭然に推定できる仕組みなのである。

出展:https://mainichi.jp/premier/health/self-check/

「“パイレーツの法則”というのがありまして。海賊が島を占領しようとする時、敵が10人いたとしたら、一番強そうな2人をまずやっつける。すると相手は戦意を失い、島の占領は8割方成功したようなものだという話です。

『老化度の判定』と、『老化の危険因子』のうち、2つの弱点を集中的に改善しましょうと、患者さんには伝えます。それによって他の病的な老化防止に好影響を及ぼすことができ、目標の8割方は達成できるという仮説を立てました」

そんな米井先生が、「アンチエイジング最大の敵」と名指しするのが、「老化危険因子」の一つに挙げた糖化ストレスである。

糖化ストレスの“サビる””黄ばむ“とは?

――先生は糖化ストレスのことを、身体を“コガしている”と表現されますが。

「酸化ストレスの“サビる”という言い方に対して、糖化ストレスは“コゲる”とか、“黄ばむ”と表現しています。ホットケーキを例に上げると、はじめは白いが熱を加えると小麦粉の中の炭水化物とたんぱく質が反応してきつね色になる。これが糖化反応で、食べ物の場合はいい香りがして喜ばしいのですが、身体の中でこれが起こると老化を早める元凶になります」

――身体がホットケーキ状態になるとは?

「体内のたんぱく質と、過剰に摂取した糖が結びつき、糖化したたんぱく質が有り余って蓄積される状態のことです。糖化したたんぱく質は最終的にAGEsという、老化を早める物質を生みだし、それが体内に蓄積されます。糖化ストレスが強く影響する糖尿病をはじめ、脂肪肝、メタボ等、AGEsは急増する生活習慣病の元凶の一つです。

人類は長い年月をかけ、酸化に対する抗酸化システムを発達させました。でも、近年の糖分と脂肪の多い食事や運動不足等が関係する糖化ストレスに対して、身体の中に十分な対抗機能を持っていません」

――一方で、糖尿病等の加齢による疾病は、遺伝によるものという説も耳にします。

「遺伝的な要素があったとしても、それは2~3割です。“エピゲノムの状態の変化”と言って、生活環境や生活習慣の改善で、病的な老化を防ぐことができるのです」

――そのために、まず運動が欠かせないことは、素人でも想像できます。

「30歳以降、何も運動をしないと筋肉量は年間約1%下がっていきます。最近の研究では65歳を過ぎると、3~4か月ごとに筋肉量が1%下がることがわかってきました。筋肉量が減ると筋肉に行くはずの糖やグルコース等のエネルギーが体内で余り、有害物質に変わって糖化ストレスが強くなります。

筋肉量を減らさないようにするため、筋トレは重要な対処法です。人間にとって最大の筋肉である太ももの筋肉、大腿四頭筋は加齢によって最も衰えやすい筋肉です。スクワットは大腿四頭筋を鍛える。お勧めの運動ですね。座った状態で椅子から立ち上がり、また椅子に座る、“座ってスクワット”でも構いません。1日30回程度、週4回ほどが効果的です」

質のいい睡眠は、抗加齢につながる

日々の食事が、病的老化防止に大切なことは言うまでもない。

――牛乳や玄米は身体にいいと言われています。

「確かにそうなのですが、これを食べなさいと言うのは難しいです。牛乳でおなかが痛くなる人もいますし。私も高校時代に玄米食を試したことがありますが、腸内で異常発酵を起こして3日で止めました。人それぞれですから牛乳の弱い人は、乳糖が入ってない乳製品を取るとか。玄米なら一分二分と徐々に増やしていくとか。食事に関しても無理をしない。

たんぱく質が20%、脂肪が20%、炭水化物が60%の割合の食事を意識して。近年、糖分と脂肪の摂取割合は増えましたが、たんぱく質が不足しがちです。足りないものをそのままにしておくと老化を促すことになります」

米井先生も以前は忙しい時、コンビニのメロンパンですませることもあったが、今はたんぱく質を補うことを意識して、プロテインバーを選んでいるという。

さらに病的老化の改善、健康寿命の延伸、アンチエイジングにとって、質のいい睡眠は大きな要素であると、米井先生は最後に強調する。

「ストレスは昼間の行動で貯まるもので、疲れを感じるのはストレスからくるダメージです。たまった疲れを休憩と睡眠で回復させて、翌日の新たなストレスに立ち向かう」

――睡眠の質が悪いと、疲れが回復できないというわけですね。

「疲れが回復できない悪循環が続くと最悪の場合、鬱状態に陥ります。睡眠を改善することが重要で、眠りの質が上がると若さや健康を維持するために大切な役割を果たす成長ホルモンが、増えるというデータがあります。

良質な睡眠をとることでメラトニンも増える。メラトニンは眠りを誘うほかに、抗酸化作用によって細胞の新陳代謝を促したり、疲れを取ってくれる。アルツハイマー型認知症の原因であるアミノイドβを分解促進する、認知症予防に有効なのではないかという研究報告もあります」

睡眠の質を高めるには寝具が重要である。複数の寝具を試して、自分に合ったものを選ぶ必要があると話す。

――日本の国民皆保険は、病気になったら守るという“疾病治療型”の医療ですが、超高齢化社会を迎え、健康保険への負担は深刻です。国も予防医療へと舵を切る中、アンチエイジング医療は注目されています。

「近未来型のアンチエイジングドックを世界に発信したいです。患者さんの状態を『老化度の判定』と、『老化の危険因子』の5角形の図に当てはめることによって、健康の延伸を測れるという仮説を実証して、世界基準にしたいですね」

米井嘉一
1958年東京生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了後、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授に就任。日本抗加齢医学会理事、日本人間ドック学会評議員。抗加齢医学研究の第一人者として様々な情報を発信している。

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama

興味のあるジャンルを登録して@DIMEをもっと便利に!話題のコーヒーメーカー「BALMUDA The Brew」やAmazonギフト券が当たるキャンペーン実施中

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2021年11月16日(火) 発売

DIME最新号の特別付録は「自撮り棒一体型スマホ三脚」! 特集は「今聴くべき、ラジオと音声コンテンツ」、「家電進化論2022」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。