コロナ禍で注目された「ロスフラワー」というキーワードをご存知だろうか? 環境への配慮から「ロス」に関心が高まるのはよいが、背景を理解していないと、本質を見失いかねない。
「昨今のトレンドに乗る形で、生産者に対する「ロスフラワーはありませんか?」という問い合わせが多くなった。しかし、生産者が廃棄する花はほとんどない」とは、花のサブスクリプションサービス「ブルーミー(bloomee)」を運営するCrunch Styleの久保裕太郎さん。生産者を訪れて得た問題意識からはじまったのが、日本最大の花市場を運営する大田花きと連携し、規格外品の買い取りを拡大する取り組みだ。
花には、茎の長さや花一輪の大きさ、色などの規格が定められている。規格に合致しない場合、花の品質や見た目が良好でも規格外と判定され、価値がつきにくくなってしまう。かといって、規格外品のすべてがロスになるわけではなく、ほとんどは近隣の直売所などで安く流通する場合もある。
久保さんは「ロスフラワーがあるとすれば、花屋が仕入れて売れ残ってしまった花。規格外品ではない」と主張する。そして、規格外の花の課題は廃棄ではなく、観賞価値に見合った価格がつけられていないことだ。
例えば、コンパクトなブーケに加工するなら、茎が短かったり曲がっていても問題はない。大田花きは、現代の消費に合った花の規格「スマートフラワー」を提唱し、生産現場や流通過程の効率化につとめてきた。
その理念に賛同し、Crunch Styleは独自規格の「ブルーミーフラワー」を策定した。郵便ポストなどに花を配達する同社のサービスでは、規格外品を活用できる範囲が広い。規格内の花と同じ条件で規格外品を買い取ることで、生産者の収益を確保し、持続可能な産業の仕組みづくりに貢献する。
背景にはブルーミーの販売力がある。コロナ禍でイベントや結婚式などでの需要は減ったが、ホームユースのニーズは増加傾向と同社はみている。「お花のサブスクは、現代のライフスタイルに合っている。需要はまだまだ伸びる」と久保さんは自信をみせる。
●ブルーミー(bloomee)
https://bloomeelife.com/
取材・文/ソルバ!
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