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かつて本州に生息していたヒグマの起源を古代DNAの抽出によって解明

2021.08.15

現在の日本列島ではヒグマ(Ursus arctos)は北海道にしか生息していないが、更新世の化石記録からはかつてヒグマが本州全域に生息していたことや、北海道の個体よりも遙かに大きかったことが分かっている。

しかし本州のヒグマがどのような系統で、いつどこから来たのかといった、ヒグマの進化の歴史についてはほとんど分かっていなかった。

そこで山梨大学医学部総合分析実験センター 瀬川高弘講師、東京工業大学生命理工学院 西原秀典助教、国立科学博物館地学研究部 甲能直樹グループ長らの研究グループでは、本州から産出したヒグマの化石から放射性炭素による年代測定と安定同位体の分析ならびに古代DNAの抽出をおこなった。

本州にかつて生息していたヒグマの起源の解明

年代測定の結果から、本研究で用いた2つの本州のヒグマ標本はそれぞれ3万2,500年前と1万9,300年前の個体であることがわかった。

本研究で分析した本州に生息していたヒグマの標本写真

上:更新世後期に絶滅した本州ヒグマの雌個体(3万2,500年前).左中:本州ヒグマの雄個体(1万9,300年前).下:北海道南部に生息するヒグマの雌個体.(大きさの違いに注意)

図2 本州ヒグマの系統的位置と分岐年代

ミトコンドリアDNA解析に基づく系統樹。水色の縦線が北海道の現存個体群、赤色の縦線が本州の絶滅個体群を示す。赤字の▼印は分析した本州ヒグマの化石年代、黒字の▼印はこれまでに推定された本州ヒグマの化石の年代を示す。  

図3 本州ヒグマの移動ルートの推定値

祖先集団が後期更新世以前にサハリンを経由して北海道に移動し(青熊)、その一部(赤熊)がさらに津軽海峡を南下して本州に入ってきた(赤実線矢印)。この図では、ヒグマが朝鮮半島を経由して移動した可能性も示してある(赤の破線矢印)。地図の緑の部分は大陸氷塊の蓄積により海面が120m低下した場合の陸域を示している。

また、炭素・窒素の安定同位体比の結果から、本州のヒグマは肉食性が強かったことが示された。

さらに、ミトコンドリアDNA分析の結果、本州のヒグマは現生のヒグマとは独立した集団であり、その姉妹系統が現在の北海道南部のグループであること、またそれらと分岐した時期が約16万年前であることが判明。

さらに、この分岐年代と化石記録から、ヒグマがユーラシア大陸から本州に少なくとも2回渡来したことが分かった。

1回目に渡来したヒグマ集団は世界のヒグマの中でもかなり古く34万年以上前には分岐していた系統で、2回目の渡来集団は約14万年前の寒冷期に起こった海面低下に伴って北海道を経由して本州に移動してきたと考えられる。

日本における哺乳類の種ごとの分布の消長が海面変動によってどのように影響を受けたかについて、これまでほとんど分かっていなかったが、研究により、度重なる氷期の海面低下により、これまで考えられていたよりも頻繁に同じ種の大型哺乳類が移動してきたことを示した。

研究は、更新世の日本列島における大型哺乳類の繁栄と絶滅、そして氷期の環境変動が哺乳類の多様性に与えた影響を理解する上で、極めて重要な知見になると期待される。

構成/ino.

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