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コロナ禍のような〝予期せぬ不確実性〟がもたらした行動変容は再び起こるのか?

2021.08.13

 暑い。日中に直射日光で温められたアスファルトの上は熱気が留まっていてまるでサウナ室のようだ。首筋に汗が伝い肌がベタついてくる。こういう時はアレの出番だ――。

猛暑の夕暮れ時に大塚駅北口界隈を歩く

 夏真っ盛りの東京の街は夕方でもまだまだ暑い。陽は傾き直射日光の猛威は鳴りを潜めたが、まったくの無風で熱気が逃げることなく滞留している。まるで蒸し風呂のようだ。

 大塚駅北口界隈を歩いていた。用件を終えて乗り込んだ山手線を大塚で途中下車したのだが、北口を出てこの暑さに出迎えられるとさすがに少しばかりの後悔が募る。余計なことは考えずに真っすぐ帰るべきであったかもしれない。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 それでも飲食店が夜8時で閉まってしまう状況の中、こうした機会を逃すと気になっていた店にもなかなか訪れることができない。この暑さには後悔もあるが、機会を逃したことの後悔のほうがきっと後々で大きくなるだろう。意を決して駅前から延びる通りを進む。

 この界隈にネットで見て気になった飲食店が数軒あって、何かの機会に実際にチェックしてみようと少し前から腹積もりをしていた。そして本日、所用で山手線に乗ることになり帰路に大塚駅で降りたのだ。

 ここに来たことを決して後悔したくはないのだが、そうはいっても暑いことは確かだ。後頭部から首筋を汗が伝って背中へと落ちていく。額にもじんわりと汗がにじむ。首元も汗でベタついている。

 夏場の外出時にはハンカチに加えてハンドタオルも持参しているのだが、少し前から持ち歩くようになったアイテムがある。紙おしぼりだ。昨年の後半あたりから外出時にはバッグに常に紙おしぼりを2、3本入れるようにしている。

 こういう時はハンカチなどで汗をぬぐうよりも、湿っている紙おしぼりを使ったほうが一瞬ではあれヒンヤリして肌のベタつきも解消される。さっそく使うべく、歩みを緩めてバッグから紙おしぼりを取り出し封を切る。紙おしぼりを広げるのはすこしコツがいるのだが、慣れてしまえば難儀ではない。

 広げた紙おしぼりでさっそく首筋を拭う。束の間だがホッと一息つける心地良さだ。

 清涼感では大きめのウェットティッシュのほうがおそらく上だとは思うが、個人的は使い勝手の面で個包装の紙おしぼりのほうが好みだ。携帯用のウェットティッシュは最初の数枚は快適だが、最後まで使い切ることのないまま品質が低下してしまうケースがかなり多い。その点、個包装の紙おしぼりは無駄なく使え、しかも近所のスーパーで30本入りのものが百数十円で買えるのだ。

 暑いことには変わりはないが、汗もいったん落ち着いたことだし先へ進もう。駅前から延びる商店街に足を踏み入れる。

※画像はイメージです(筆者撮影)

“予期せぬ不確実性”に直面すると行動が変容する

 紙おしぼりを常に持参する習慣がついたのはやはりコロナの影響が大きい。この紙おしぼりには殺菌効果はないのだが、それでも手を洗うことができない状況で手を拭きたい場合には重宝するし、そして今回のように肌がベタついて顔や首周りを拭けばリフレッシュもできる。また携帯端末やノートパソコンの画面を拭いたりするのに使ってもいい。

 コロナ禍によって紙おしぼりを持ち歩くという“行動変容”が自分の中で生まれたことになるが、コロナが多くの人々の行動を変えたことはまぎれもない事実だ。

 コロナが騒がれはじめた初期のころ、マスクが不足していて一部の人々が連日朝からドラッグストアなどに並んで買い求めていた光景が思い出されてくるが、一方で決して供給不足ではないのにトイレットペーパーがスーパーの棚から消えるという事態も起きた。

 マスクについては本当に不足していたために人々は列に並んで買い求めたのだが、トイレットペーパーについては人々が何の根拠もなく一斉に買い占めに走ったために品切れが多発することになったのだ。これはつまりコロナが人々の行動を変えたということになる。

 最新の研究でもコロナ禍のような“予期せぬ不確実性”がいかに強く人々に行動変容を促すのかが報告されている。


 COVID-19のパンデミックが始まったとき、世界中の人々が買い物行動を劇的に変えました。

 新たな不確実性に直面して、買い物客は新しい未知のものに対処するために基本的な家庭用品、特にトイレットペーパーを買いだめし始めました。ほとんどの場合、人々が必要なものだけを購入すれば十分に回避できたにもかかわらず、この購入の熱狂は欠品につながりました。

 ニューサウスウェールズ大学が主導した調査によると、このような反応的な行動は珍しいことではなく、予期せぬ不確実性に処理するための一般的な方策です。

 実際、予期せぬ不確実性は変化の強力な動機であるため、たとえそれが私たちにとって良くない場合でも、行動を変えるようにと促すことがよくあります。

※「UNSW Sydney」より引用


 オーストラリア・シドニーのニューサウスウェールズ大学(UNSW Sydney)の研究チームが2021年7月に「Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition」で発表した研究では、実験を通じて人々は予期せぬ不確実性に直面した際に大きく行動を変える傾向があることを示唆している。

 たとえば毎日電車通勤をしていれば場合によっては遅刻するかもしれないという不確実性が心の片隅に織り込み済みであるのだろうか、それには何らかの鉄道事故による運行の遅延という「予期できる不確実性(expected uncertainty)」もあれば、大地震で駅を利用できなくなるという「予期せぬ不確実性(unexpected uncertainty)」もある。そしてこの予期せぬ不確実性に直面した時、人々は劇的に行動を変える傾向があることが今回の研究で突き止められたのだ。

 実験参加者は我々とはまったく思考様式が異なり何を考えているかわからない“エイリアン”に商品Aか商品Bのどちらかを売ってなるべく多く稼ぐというゲームを行った。

 価格の決定権はエイリアンの側にあり、こちらから価格を設定することはできない。参加者は当然だがまず商品Aと商品Bのどちらの商品にエイリアンが多くのお金を払うのかを見極めることになる。何度か売買を繰り返せば多少のバラつきはあるものの、どちらの商品が高く売れるのかがわかってくる。

 こうして商品Aが高く売れるとわかり、参加者はAばかりを売ることになるのだが、そこに途中から変化が訪れる。これまではおおよそ15ドルで売れていた商品Aが、8ドルから22ドルと値動きの幅が激しくなったのである。

 値動きが激しくなったとしても実は冷静に計算すれば平均して15ドルを得られているのだが、何しろ相手は何を考えているかわからないエイリアンである。この予期せぬ不確実性に直面した参加者の多くは売り物を商品Bにするなど、新たな販売戦略を模索しはじめたのだった。つまり予期せぬ不確実性を目の当たりにして行動を変容させたのである。

街を“探索”した後、そばとかしわ天に舌鼓を打つ

 通りを歩く。この界隈でチェックしたい店は3つあった。一人焼肉ができる焼肉店とネパール料理店、そして十割そばの店なのだが、実際に入ってみるのは1軒だけになるだろう。残念ながら飲食店のハシゴができる胃袋は持ち合わせていない。

 ひとまず商店街を足早に往復してさっそく3店とも場所を確認することができた。この界隈は飲食店や居酒屋が多い一帯でほかにも興味をそそられる店は少なくない。それにしてもコロナ禍で休業している店があるのは残念だ。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 うかうかしてはいられない、いずれかの店に入ろう。どの店でも良かったのだが、結局のところ一番駅に近いそば屋に入ることにした。戻ってからも少し仕事が残っているのでそんなにゆっくりしていられないこともある。3店の中でおそらくそば屋が一番滞在時間が少なくて済みそうだ。

 そば屋の店先では弁当を売っていて通りかかった人が買い求めている。このご時世でひょっとすると弁当販売のみで店舗営業はやっていないのかとも思ったが、弁当を売っていた店の人に尋ねてみるとそんなことはなくさっそく店内に入る。中途半端な時間ということもあるがお客は誰もいなかった。

 この時間はどうやら弁当と出前のほうに営業のウェイトが置かれているらしく、店員さんたちは皆忙しそうである。水やおしぼりはセルフサービスだ。

 4人掛けの席に着かせてもらい、メニューを一通り眺める。もりそばとミニ天丼のセットがお得なメニューであることがわかるが、炭水化物をあまり多くは摂りたくないので「かしわ天せいろ」でそばの大盛り(1.5倍)を注文する。

 猛暑の中だというのにちょっとした街の“探索”になってしまったが、こうして店に入ってひとまず落ち着くことができた。水と一緒に持ってきた熱い布のおしぼりで汗ばんだ首筋を拭う。当然だが紙おしぼりよりも心地良い。

 コロナ禍という予期せぬ不確実性によって多くの人々の行動が変化したのだが、それは人々がより活発に“探索”するようになったということだ。これまで慣れ親しんできたやり方やルーティンのほかにより良い代替案がないかと“探索”することがコロナ禍によって増えたのだとすれば興味深い。

 いつでも来ることができる大塚の街だが、不要不急の外出が憚られる中ではそうもいかず、加えて飲食店は時間的制約も伴う。とすれば今日のようにして訪れた機会に街を“探索”したくなってくるのも無理はないのだろう。

 そばがやってきた。思っていた以上のボリュームだ。特にかしわ天は大きいものが3つもある。さっそくいただこう。

※画像はイメージです(筆者撮影)

 そばの美味しさは申し分ない。かしわ天も食べ応えじゅうぶんだ。立ち食いそばよろしくサッと食べて帰るつもりだったが、どうもそういうわけにはいきそうもない。慌てずにゆっくり味わって食べることにしよう。下見した残る2つのお店を訪れるのはいつの頃になるだろうか。その日が来るのを楽しみにしたい。

文/仲田しんじ

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