1981年に放送されたロボットアニメ『太陽の牙ダグラム』。40周年を迎えた今年、コミカライズされた。手がけるのは『MOONLIGHT MILE』や『機動戦士ガンダム サンダーボルト』などの作品で大人気の太田垣康男先生。今回の話は、太田垣先生自身が持ちかけた話だった。
「私が腱鞘炎でしばらくマンガを描けなかった時期に『マンガが描けないなら飲みに行こう』と誘われたのがきっかけです。当時は、これまでのマンガの書き方を変えなければいけない転換点でした。今後はいろんなやり方を試して、新しいものをやりたい思いがあった中、ダグラムの話で盛り上がったと記憶しています」
その時、一緒に飲んでいたマックスファクトリーの渡邉誠社長が『太陽の牙ダグラム』のアニメ監督を務めた高橋良輔氏に「ダグラムを描きたい人がいるんですが、どうでしょうか」と打診。「そんな奇特な方がいらっしゃるならぜひ」と、高橋氏から了承してもらったとか。
1979年に放送の『機動戦士ガンダム』を〝リア帯〟でほぼ観られなかったことが悔しかったという太田垣先生。その思いから、『太陽の牙ダグラム』の放送は絶対に全部観ようと決めたそうだ。
「物語で好きなのは、ストーリーの前半。ドナン・カシムを暗殺するために、クリンを騙して空港に入り込んだテロリストの回です。暗殺のために空港に行くというテロリストの存在自体に惹かれました。そのテロリストを倒すため、ジープに乗った狙撃兵が少しずつ後ろに下がりながら照準を合わせるのも、かなりグッとくる秀逸なシーンですね」
熱心に視聴していた当時のアニメをマンガ化するに当たり、どんなことに注力し、気を配るのだろうか。
「まずダグラムに対して、マッチョにしたり、現代的なディテールを入れたりといったアレンジを試みました。けれど、やればやるほどまた、ダグラムではなくなっていくんですよ。そのことは登場人物たちにいえます。最初にアプローチした時は、新しい主人公、新しい登場人物たちの世界観で物語を作ろうと思っていました。けれど、ダグラムに別の人が乗ると、もうダグラムじゃないんですよ(苦笑)。ダグラムには主人公のクリンが乗り、太陽の牙のメンバーが揃っていないとダメ。だから、メカやキャラはできるだけそのままに、物語を自分なりに再構築しようとしています。どんな展開になるのかは、読んでからのお楽しみです」
太田垣氏の最新作『Get truth太陽の牙ダグラム』は、電子書籍販売サイト「ebookjapan」と小学館発行のビッグコミック系4誌のコラボサイト「eBigComic4」にて5月28日から連載をスタート(毎月第4週金曜日更新)。ここでしか見られない全ページオールカラーの圧倒的なクオリティーで、最新話を無料閲覧できる。
取材・文/清友勇輔