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プラスチックの可能性を示すサステイナブルでクリエイティブなプロダクツ7選

2021.08.11

数ある環境問題の中でも、プラスチックに関しては、プラスチック類のゴミの分別や、スーパーやコンビニのレジ袋の有料化など、近年身近に感じている人も多いだろう。そんなプラスチックは、素材としては有用で我々の生活には欠かせない存在であることは間違いない。その製造の担い手の一つである三井化学グループが、先日、オープン・ラボラトリー活動の一環として、同社が開発したプラスチック素材を用いたクリエイティブなプロダクトを披露した。

プラスチックの可能性をクリエイティブに化学するそのアーティスティックで斬新なプロダクトを紹介する。

サステナブルな未来に向け、素材や技術の価値や魅力を再発見する展示が開催

三井化学グループのオープン・ラボラトリー活動「そざいの魅力ラボ(Mitsui Chemicals Material Oriented Laboratory:“MOLp”)」は、同グループが100年余に渡って培ってきた素材や技術の価値や魅力を、あらゆる感覚を駆使して再発見し、そのアイデアやヒントをシェアしていく活動だ。そんなMOLpが、2021年7月13日(火)~17日(土)の5日間、ライトボックススタジオ青山(東京都港区)にて、「NeoPLASTICism(新造形主義)」をテーマに素材の魅力を体感できる「MOLpCafe2021(モルカフェ2021)」を開催した。サステナブルな未来に向けて素材の魅力を活かしたアイデアやヒントを身近なプロダクトへと昇華させて展示するエキシビジョンとなっている。

展示されたプロダクトの一部を、MOLpで素材実験やPRを担当する松永有理氏の解説のもと見ていこう。

クリエイティブにアップサイクル!魅力的なプロダクトたち

【取材協力】

松永有理氏
三井化学グループのオープン・ラボラトリー活動「そざいの魅力ラボ(Mitsui Chemicals Material Oriented Laboratory:“MOLp”)」において、素材が持つ機能的価値に加え、感性的な価値にも着目し、素材の新たな価値創造をする活動に邁進する中、多動的にさまざまな素材実験やPRを牽引する。

「世界で初めての人工合成プラスチックであるベークライトが発明されたのが1907年。それ以来、プラスチックと人類の付き合いはわずか114年です。それに対し、木や石は62,000年、金属は7,500年、ガラスは4,500年の付き合い。プラスチックはまだまだ人類に親しまれている素材ではないと思うんです。

素材というのは、何か新しい時代を生み出す原動力だと思っていますが、時代が変わるときには必ず人の創造力が必要となってきます。プラスチックはまだまだ人に慣れ親しんだ素材ではないからこそ、より人に寄り添うようなアプローチが必要だと思っています。素材の特性を理解すると、色々なアイデアが浮かんできたり、新しいことができるようになると思います」

●「ToteBags」

輸送などの際に、粒状のプラスチック原料を保管・輸送するために使用されているフレキシブルコンテナバッグ(フレコンバッグ)という大型運送用パッケージをアップサイクル製品へと再生。通常、約15年使用したのちに廃棄されていたフレコンバッグだが、軽量な点、1,000kgの荷物を運び続けてきた強度がある点などを活かし、日常で使えるトートバッグとして生まれ変わらせたロングライフな製品。

●「wallet」

上記のフレコンバッグを、ウォレットに生まれ変わらせた製品。トートバッグよりも少ない廃棄素材での制作が可能になる。

「フレコンバッグは、プラスチックの粒を1トン、デリバリーして、お客様が原料を使い終えたら回収し、洗浄・修理して何度もリターナブルに使っている袋。丈夫で、15年使っても残存強度が80~90%あります。EVAという、世界的に有名なサンダルのブランドでも採用されている素材で、やわらかさもあります。この丈夫な素材はアップサイクルに向いていると思い製作しました。結局、素材を長く使うのが一番環境にいいと思うからです」

「製品にはブロックチェーンカードが付属しており、NFC(Near field communication:近距離無線通信)の技術で、スマホで読み込むと、いつ生産され、何を運んでいたのかが全部わかります。ギフトとして人にプレゼントしても、メールの手続きで所有者を移し、情報を更新していくことができます。プロダクトの履歴に加え、これから所有者が紡いでいく未来が物語になることで、よりロングライフなプロダクトになっていってほしいという思いを込めています」

レジ袋は1枚60万円に相当するコストがかかっている!?

「実際に、バッグとして15年使用すると仮定した時間軸も考慮したライフサイクルアセスメント(LCA、環境負荷の査定)を実施してみたところ、このアップサイクルしたトートバッグの環境負荷は、レジ袋の50分の1、エコバッグの9分の1でした。このフレコンバッグの価格(サイズ中・価格12,000円)をもとに、レジ袋とエコバッグの環境負荷を価格に反映すると、なんとエコバッグは10万8千円、レジ袋は60万円になりますよということを表現しています。

これはつまり『外部不経済』を内部化した状態を表現しています。物を作り利用することは、地球に負担をかけていることになりますが、その環境負荷については誰も負担しない状況になってしまうのが今の経済の仕組みです。なので、経済的に内部化して見える化することで、物への向き合い方も変わってくるかもしれない。そういうことが本来はプロダクトの価格設定にも反映されていると、行動変容も起きやすいです。

今回もLCAの計算をしてみるとエコバッグは本当にエコなのかと疑問を感じました。いずれにせよ、リサイクルやアップサイクルで“素材のロングライフ化”を進めることは、環境負荷の低減につながることを見える化したプロジェクトです」

●「POLYSM」

「これは紙とプラスチックを一緒にすいて加工したものです。3Dプリンターで、照明の台座や脚を作ることができる3DデータもMOLpのホームページ上に掲載しています。

照明を取り替えたいときにすべて取り換えるより、シェードだけそのとき気に入るものに付け替えたり、そのときの気分でスタンドライトからペンダントライトに変えたり自在にできたほうが長く愛してもらえる、つまりエコじゃないかという発想で作りました」

●「SUPERLLIPSE」

「メガネレンズ材料の三井化学のシェアは世界45%。当社では液体のメガネレンズ材料を製造した際の品質管理で、レンズ形状に固めた後に透明性や屈折率や歪(ゆが)みがないかなどを念入りに確認しています。品質管理としての役割を果たしたレンズ形状物は、一定期間を経て廃棄していたのですが、ガラスの代替としてメガネレンズにするような原料ですので透明性が高くとても美しいものなんです。まだまだ使えるよ、という素材の声をメガネ愛用者のためのグラスホルダーとして生まれ変わらせました。

当社が作っているフォトクロミックレンズ材料の品質管理で出てきたものをアップサイクルして、紫外線で色が変わるグラスホルダーも作りました。通常は透明ですが、太陽の光を浴びると、さまざまな色に変化します。例えば、べっ甲を思わせるブラウンから、黒、赤、緑などに劇的に変わります。屋内では透明ですが、外出時につけて出かければ色が変わり2つの表情が楽しめます」

紫外線ライトを当てた後はホルダー部分がダークカラーに

●「NAGORI」

「NAGORI(R)樹脂(熱伝導プラスチック)」は、海水に含まれるミネラルから生まれたプラスチック。樹脂の常識を覆す陶器のような質感と、熱伝導性をあわせ持ち、さらに抗菌性を持つNAGORIを、握るとヒンヤリする石のような質感のマウスとして提案。

「国連サミットで採択されたSDGsの目標の6番、『安全な水とトイレを世界中に』に掲げられている、安全な水を得ることは大きな社会課題の一つです。しかしその一方で、海水を淡水化する設備から出る大量のミネラルを含む濃縮水がそのまま廃棄されてしまうことで、海水温の上昇やミネラルバランスの変化によってサンゴの死滅など別の問題の原因に。14番の『海の豊かさを守ろう』、とトレードオフになっていることに気づきました。

そこで出てきた濃縮水中のミネラルを素材に有効活用しようというアイデアが、陶器のようなひんやり・もっちりした質感の魅力的なプラスチック『NAGORI樹脂』を生み出しました。2018年度グッドデザイン賞受賞、『グッドデザイン・ベスト 100』にも選出されました」

NAGORI樹脂を使ったビアタンブラー。この肌触りは病みつきになりそう。

●「card case」

プラごみの軽減を目指し、レジ袋から再利用した製品。

「レジ袋をアップサイクルしたカードケースです。レジ袋の素材は高密度ポリエチレンなのですが、成型方法との相性から分子量の高いものが使われており、また延伸して作っているので、分子が縦に配向しています。熱でシールできることも特徴です。そんなレジ袋を、配向を活かしながら重ね合わせて熱でシールしてシートを作り、そこからパスケースを作っています。レジ袋も素材としてとらえ直した場合、まだまだ使える素材なんです」

●海洋ゴミを“ゴミのプラモデル”に

海洋ゴミの中でも最大の比率を占めるのが、漁業で使われている漁網(魚を獲る網)やロープなのだという。海洋ゴミとして漂着したナイロン製の漁網をプラスチックの粒状に再加工し、YouTuberの藤原麻里菜さんとのコラボレーションで“鼻をかんだティッシュゴミの形”を3Dプリンターで再現し、しかもわざわざそれをプラモデルとして組み立てるというアイテムも展示されていた。「無駄を真面目に楽しむ」というMOLpの活動のフィロソフィーの投影だという。

「これは、ナイロンをFDM方式(熱溶解積層方式)の3Dプリンターでやること自体が無駄であり、3Dプリンターでプラモデルを作ることも無駄、組み立ててできあがるものも無駄、という無駄のオンパレードです。でも、その中で見えてくる新しい気づきや可能性があると思っています」

素材がその生命をより長く、より愛され、まっとうできるような発想を生み出し続ける“素材愛”が、このプロダクト類から感じられた。今後は、ただリサイクル・アップサイクルするだけでなく、さらに有効な形でプラスチックとの付き合いが進化していく未来が垣間見られる。

【参考】
MOLpCafe2021(モルカフェ2021)

取材・文/石原亜香利

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