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犬の1.5倍の嗅覚を持つ線虫を使って、がんのリスクを判定する1次スクリーニング検査「N-NOSE」が始動

2021.08.10

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

◆犬の1.5倍の嗅覚を持つ線虫を活用したがん検査

日本のがん死亡者数は約38万人で、1日に約1000人ががんで亡くなっている。しかし諸外国に比べ日本のがん検診の受診率は低く、さらに昨年からの新型コロナウイルスの影響で、病院での感染リスクから検査を控える人が多くなっている。

こうした状況を改善すべく、2020年からサービスを開始したのが、がんの一次スクリーニング検査「N-NOSE」。生物の嗅覚を活用することで、尿1滴から全身のがんのリスクを判定できる、簡便、安価、高精度な検査を実現した。

「N-NOSE」のサービス開始当初は、医療機関を通しての提供が主だったが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、昨年末に緊急対応として業務拠点がある東京と福岡で一般受付を開始。現在、全国10か所の「N-NOSE ステーション(週1回のサテライト含む)」で検査キットの検体回収を行っており、7月21日には新宿に「「N-NOSE ステーション SHINJUKU」がオープン。また、集荷による検体受付サービス「N-NOSE at home」も7月末に47都道府県のすべてでカバーできるようになった。

“線虫(英名Nematode)の鼻”から命名された「N-NOSE」は、「C. elegans」という線虫を活用した検査方法。線虫は目や耳がなく土の中で匂いだけを頼りに生きているため、嗅覚が発達しており、匂いを受け取る嗅覚受容体遺伝子を犬の1.5倍も持っている。

「N-NOSE」を提供している「HIROTSU バイオサイエンス」代表取締役の広津崇亮氏は、線虫の研究を長年行っており、九州大学の助教授時代に、がん探知犬の研究者と出会ったことがきっかけで、線虫でのがん検査の研究に着手。健康な人とがん患者の尿の匂いで線虫の反応が分かれることを発見し、2015年に論文を発表した。

健康な人の尿の匂いは外敵だと感じるため逃げていくが、がん患者の尿には餌に近い匂いを感じ近寄っていくと考えられている。下記画像のシャーレを見ると、✕印のがん患者の尿(こちらはデモ用で尿ではなく線虫が好む化学物質で代用)に集まっている。

こちらの動画でも左側のがん患者の尿に線虫が移動していく様子がわかる。

「日本でのがん検診は、本来受ける必要のある人の半分しか受診されていない状況。面倒、痛い、怖いとさまざまな理由があるが、そうしたハードルを下げるためには、安さ、手軽さ、精度の高さが重要となる。

がんの検査に線虫を用いるというアイディアの発端は、線虫が機械には真似できないほどの優れた嗅覚センサーを持つという点と、線虫は雌雄同体で一匹が約300個の卵を産み、大腸菌で繁殖するため飼育コストが安価であるという点にあった。

基礎研究において既存の検査との感度比較を行ったところ、N-NOSEだけがステージ0、Ⅰの段階でも高い感度でがんを検知。N-NOSEは最新の臨床研究において、がん患者の尿と健常者の尿を高精度に見分けることが明らかになっており、感度は86.3%と高精度。がん検診の入り口として使ってもらい、がんに対する意識づけにも役立てたい」(広津氏)

線虫が反応するがんの種類は、胃、大腸、肺、乳、すい臓、肝臓、前立腺、子宮、食道、胆嚢、胆管、腎臓、膀胱、卵巣、口腔・咽頭の15 種類だが、現時点では、がんの種類の特定はできない。今後の研究でがんの特定を目指しており、特に早期では発見しにくい「すい臓がん」に反応する検査が求められており、他の研究機関と共同で研究を進めているとのことだ。

検査キットは1万2500円。専用サイト、もしくは各地のN-NOSEステーションで購入できる。キットに同梱されている手順通りに進めて、検体は有料での訪問回収か、N-NOSEステーションへの提出かを選べる。

匂いを指標に検査するため、常温だと匂いが揮発して正確に診断できない場合もあり、採尿から4時間以内に検体を提出するか、集荷の際は冷凍庫で保管して冷凍状態で提出する。医薬品配送の専用業者による集荷のため、申し込みはサイトから行う。

1回の集荷で同じ場所から5人分まで提出可能で、夫婦やそれぞれの親などまとめて利用できる。まとめて送る場合は集荷料を払う人のURLから全員分の情報を入れて申し込む。

ステーションに持ち込む場合は、キットに入っている保冷バッグを事前に冷凍して冷やしておき、そのバッグに入れて採尿から4時間以内に提出する。それ以上時間がかかる場合は集荷同様に冷凍で提出する。

提出後4~6週間で結果を郵送で通知。同じ検体でも日を変えて何度か検査してからデータ解析するので時間がかかるとのことだ。検査結果報告書はリスクが高いかどうかで表示され、危険の場合、改めて病院での検査を促す。

「N-NOSE ステーション」のみのサービスで、企業単位で受け付ける「職域“がん”検査」も実施。検査キットをまとめて指定住所へ送り、各自検体を採取、検体の回収は企業でまとめて「N-NOSE ステーション SHINJUKU」へ提出、もしくは各社員が直接持ち込む形となる。

【AJの読み】ホコリと見間違えるほど小さな生き物ががんの匂いを嗅ぎ分ける

線虫を間近に見たのは初めてだが、ホコリと見間違えそうなほど小さな生き物。これがステージ0、Ⅰのがんの匂いを嗅ぎ分けることができるのか?と驚いた。下記画像のように普段はあまり動かないそうだが、匂いを感じると活発に動き出すとのこと。

コロナ禍で病院に行くことを控える人も多く、がん検診もコロナ前に比べ大幅に下がっている。検査できずに見つかったときは進行していたというケースも良く聞かれる。

自宅にいながら、健康診断の感覚で検査できる「N-NOSE」は、簡単で安価だからこそ、毎年定期的に検査を受けて、万が一の時早期発見にもつながり、コロナ禍においてもがんへの意識を持つことに役立つ。

キットにはIDとパスワードがあり、検体を提出することで受診者と紐づけられるので、がん検診に腰が重い年配の親に、子どもから贈るのもいいかもしれない。

文/阿部純子

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