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お値段18万7920円!ライカ製スマホ「Leitz Phone 1」の実力を徹底検証

2021.08.07

■連載/石野純也のガチレビュー

 ファーウェイやシャープといったメーカーとタッグを組み、スマホのカメラ性能を底上げしてきたライカが、ついに自身のブランドを冠したスマホを発売した。それが、「Leitz Phone 1(ライツフォンワン)」だ。製造は、「AQUOS R6」で新たにパートナーとなったシャープが担当。ソフトバンクとも提携し、同社が独占的に販売する。価格は18万7920円。2年後に端末を下取りに出すことで半額が免除される「トクするサポート+」も利用できる。

 ベースのスペックは、AQUOS R6とほぼ同じだ。カメラのセンサーはスマホとして超大判となる1インチ。大型センサーを生かし、広角から望遠までを1つのカメラでまかなう仕様も、AQUOS R6との共通点と言える。チップセットはSnapdragon 888。ディスプレイには、1Hzから240Hzまでリフレッシュレートを可変させることが可能なPro IGZO OLEDを採用する。5G対応で、利用できる周波数帯もAQUOS R6を踏襲している。

 一方で、ライカが全面監修しただけに、外観のデザインは大きく異なる。専用のケースや、レンズフードが付属している点も、世界観にこだわるLeitz Phone 1ならではの特徴と言える。際立った特徴を持ったLeitz Phone 1だが、18万円を超えるスマホなだけに、気軽に手を出しづらいのも事実だ。ここでは、そんなLeitz Phone 1の実力をチェックしていきたい。

ライカが全面監修した初のスマホとなるLeitz Phone 1

最大の違いはカメラの風格が漂うデザイン、ディテールにも違いが

 左右が湾曲したディスプレイを採用していることもあり、正面から見るとAQUOS R6に近いLeitz Phone 1だが、側面から背面にかけてのデザインは大きく異なる。側面の金属製フレームには、ギザギザのローレット加工が施されており、高級感があるのと同時に手が滑ってしまう心配が少なくなる。カメラとして横位置で構えることが多いだけに、実用性も高いデザインと言えそうだ。

側面の金属フレームには、ローレット加工が施されている

 背面は、光沢感が強かったAQUOS R6に対し、Leitz Phone 1はマットなブラックで仕上げられている。サラサラとした手触りの加工が施されていて、指紋の跡がつきにくい。それ以上に差が出ているのが、カメラ周りの処理だ。Leitz Phone 1のカメラは、円形の台座のようなパーツの中に、レンズやToFセンサー、フラッシュが収められている。モチーフになっているのは、大型のレンズを搭載したカメラだろう。

背面はマットな質感で、黒の深みがあるのと同時に指紋がつきづらい

カメラ部分は、一見すると大型のレンズが搭載されているようなデザインになっている

 実際のレンズは円形のカメラ部分の中央やや左寄りに搭載されており、レンズ自体が大きいわけではないものの、このデザインを採用したことでカメラらしい雰囲気が増している。特に本体を横にして持ったときに、“様”になるデザインと言えるだろう。ただし、ライカのロゴは、縦持ちのときに水平になるよう配置されている。本体を横にするとロゴの文字が縦に並んでしまうのは、細かいながらも少々残念なポイントだ。

ライカのロゴは、縦に持った際に水平になる。細かな点だが、ここは横位置を基準にしてほしかった

 ケースやレンズキャップが同梱されているのも、Leitz Phone 1ならではだ。ケースは樹脂製で少々チープな印象を受けたが、本体にはぴったりフィットする。ライカのロゴも入っているため、装着していてもLeitz Phone 1であることがよくわかるのも、うれしいポイントと言えそうだ。レンズキャップは、レンズを模した円形の台座にはまる設計になっており、マグネットでピタッと止まる。見た目がいいのはもちろん、心地のいい装着感で、設計に力を入れていることがよくわかる。

ケースとレンズキャップが付属する。装着した際のたたずまいも、カメラのそれに近い

 カメラが目立つデザインになっているだけに、この部分がむき出しになっていると、目の前の人を撮影しているようにも見えてしまう。電車の中など、人が多い場所で使うとあらぬ誤解を与えかねない。撮影時以外はレンズキャップをつけておけば、こうした心配をする必要がなくなるはずだ。単なる飾りではなく、レンズを保護しながら、周囲の人に対する気配りにもなるという意味で、気の利いたギミックだと評価できる。

レンズキャップはマグネットでカチッと止まるが、接着力はあまり強くない

 ただ、接着力は強くないため、ポケットから出した際の衝撃で落ちてしまうおそれはある。撮影時に、キャップをしまわなければならないのも難点。メカニカルなレンズカバーを本体側に実装するのはハードルが高そうだが、せめてデジカメのように、レンズキャップと本体もしくはカバーをひもでつないでおけるような仕組みにしておいてほしかった。

スマホカメラの域を超えた画質だが、操作性には課題も

 肝心の画質はどうかと言うと、ベースが同じなだけにAQUOS R6と甲乙つけがたい仕上がりだ。搭載されているレンズは35mm判換算で19mmと広角だが、標準では、この中央部分を切り出して利用することで24mmの画角になる。センサーが1インチと大判なため、人物や物、花などにピントを合わせて撮ると、背景に自然なボケが生まれる。ディテールも鮮明。19mmで撮っても、写真の端に配置されている木の葉までごまかさずにきちんと描写されている。

背景が自然にボケるのは、大判センサーならではだ

上からセンサーいっぱいに撮った19mm、標準の24mm、2倍ズームの48mm。19mmだと周辺の歪みは目立つが、ディテールの描写が甘くなっていないことがわかる

 アンバー寄りの色合いになるのは、ライカの味付けだろう。人物を撮ったときには、顔の立体感をしっかり描写できている印象を受けた。暗所での写りも非常にいい。ナイトモードにすると暗い場所をしっかり持ち上げつつ、明るい場所も白飛びしていないダイナミックレンジの広い写真が撮れる。センサーサイズが大きく、さらにコンピュテーショナルフォトグラフィーを掛け合わせていることもあり、ノイズは少な目。スマホカメラの中ではトップクラスの暗所性能と言えそうだ。

人物や料理はどちらかと言うと、ややアンバーっぽい色味になる

ナイトモードで撮ると、暗い場所をグッと持ち上げつつ、明るい場所がさらに際立つ写真に仕上がる

 どちらもライカが監修しているため、写りはAQUOS R6に近いが、ユーザーインターフェイス(UI)には、ライカ独自の工夫がある。カメラアプリのUIに用いられているフォントは、ライカのカメラと同じもの。レンジファインダーを採用するライカのカメラに近い「ブライトフレーム」を表示できるのも、Leitz Phone 1の特徴だ。ブランドフレームは初期状態でオンになっており、1倍と2倍のときには画面の中央に“枠”が表示される。写真として記録されるのは、この枠の内側で、より広い画角を確認しながら、風景の一部を切り取ることができる。構図にこだわりたい人には、いい機能と言えるだろう。

ブライトフレームを採用しており、枠の内側が写真として記録される

 カメラアプリには「LEITZ LOOKS」と呼ばれる機能も搭載されているが、これもAQUOS R6との差分だ。LEITZ LOOKは、いわゆるモノクロ撮影機能。端末にモノクロセンサーを搭載しているわけではないが、濃淡のはっきりした表情のある写真を撮ることができる。同じ人物や風景を撮っても、モノクロにしただけで雰囲気が大きく変わるのはおもしろい。「ライカの真骨頂はやはりモノクロカメラ」というイメージを持っているユーザーも少なくないと思うが、LEITZ LOOKSはそんな期待にこたえた機能と言えそうだ。

LEITZ LOOKSで撮ったモノクロ写真。何気ない風景が、作品のように見えるのが印象的だ

 このように写真のクオリティは高いLeitz Phone 1だが、AQUOS R6がベースになっているだけに、同機の弱点もほぼそのまま受け継がれてしまっている。シャッターラグが大きく、オートフォーカスが合いにくいのはその1つだ。シャッターボタンを押してから、実際に写真を撮るまでの時間差が大きく、被写体が動いていると非常に撮りづらい。子どもやペット、乗り物などを撮る際には、連写を使って一部だけを残したり、動画から切り出したりするなどの工夫が必要になる。

 また、画角の切り替えが少々面倒だ。1倍の時にボタンをタップすると2倍になり、0.7倍にしようとすると、2回のタップが必要になる。この時の動作も十分速いとは言えず、すぐに広角を呼び出すことができない。他のメーカーの場合、0.7倍、1倍、2倍と複数のボタンを並べてワンタッチで画角を切り替えることができる端末が多く、こうしたUIと比べると使い勝手が悪い。ソフトウェアをバージョンアップする際には、UIを変更することもぜひ検討してほしいと感じた。

スマホとしての基本性能も高い、初物ながら使い勝手も十分

 ベースのモデルがAQUOS R6であるだけに、Leitz Phone 1はスマホとしての性能も高い。ディスプレイは最大240Hzで、動きの少ないときには1Hzまでリフレッシュレートを下げることができる。これは、Pro IGZO OLEDを搭載しているお陰だ。リフレッシュレートが高いため、画面を素早くスクロールさせても文字がしっかり見える上に、止まっているときには消費電力を抑えることができる。表示の滑らかさと省電力性能を両立させているというわけだ。

リフレッシュレートは1から240Hzまで自動で切り替わる。省電力と滑らかさを両立できるのは、そのためだ

 ディスプレイに表示可能な色数は10億色で、非常に明るい。HDRの映像再生にも対応しているため、対応している動画などのコンテンツなら暗い場所まで潰れずに、滑らかに描写される。左右が湾曲しているため、操作時に手の腹が当たってしまい、画面をタップしても反応しなくなるのは難点だが、フレームが目立ちにくくなるため没入感は高い。操作感がよく、キビキビと動くのはハイエンド端末ならではだ。

ディスプレイの左右が湾曲しているため、フレームが目につきにくく没入感は高い

 ライカブランドで販売されている端末ではあるが、AQUOSシリーズに搭載される便利な機能は一通り網羅している。例えば、画面をなぞるだけでスクリーンショットを保存できる「Clip Now」や、ゲーム利用時にゼスチャーナビゲーションや通知をオフにできる「ゲーミングメニュー」などの機能はAQUOS R6と共通。UIのフォントやメニューの構成などに少々AQUOSの色が強く出過ぎているきらいはあるが、初のライカ全面監修スマホながらも、スマホとしての完成度は高い。シャープが製造しているため、初物だからと言って必要以上に警戒する必要はなさそうだ。

AQUOSシリーズに搭載されていた便利機能は、Leitz Phone 1にも継承されている

 おサイフケータイや防水、防塵といった仕様もAQUOS R6と同じで、日本市場で重視される機能もしっかり搭載している。また、5Gに対応しているため、通信速度も速い。撮った写真をアップロードする機会が多くなりそうな端末だけに、5Gとの相性はいい。ソフトバンクは4Gの周波数の一部を5Gに転用しているため、エリアによって速度はまちまちだが、速いときには1Gbpsに迫る速度が出る。一方で、通信時は特に発熱しやすく、カメラアプリが起動しないケースもあった。夏場は特に温度が上がりやすいだけに、注意しておきたいポイントだ。

おサイフケータイにも対応。こうしたスペックはAQUOS R6と同じだ

5Gを利用でき、エリアによっては1Gbpsに迫る速度が出る。ソフトバンクは4Gからの周波数転用を進めており、エリアが広いのもメリットだ

 ライカが全面監修した初のスマホとなるLeitz Phone 1だが、カメラを含めて仕様はAQUOS R6に近いため、安心して利用できる。一方で、デザインの上質さはAQUOS R6を上回っている印象を受けた。機能やコストパフォーマンスを考えればAQUOS R6で十分だが、撮影という行為や端末の持つ世界観を重視するならLeitz Phone 1に魅力を感じるはずだ。ただし、AQUOS R6と同様、ソフトウェアには粗削りな部分が残っていることは付け加えておきたい。高額な端末だけに、継続的なアップデートによる改善は必須といえるだろう。

【石野’s ジャッジメント】
質感        ★★★★★
持ちやすさ     ★★★★
ディスプレイ性能  ★★★★★
UI         ★★★★
撮影性能      ★★★★★
音楽性能      ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★★
生体認証      ★★★★★
決済機能      ★★★★★
バッテリーもち   ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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