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慶長年間以来の老舗酒屋が作った「飲むみりん」で家呑みを楽しむ!

2021.07.28

「みりん」は酒である。が、だからといってみりんをそのまま飲む人はあまりいないだろう。

なぜなら、みりんは調味料として扱われることがほとんどだからだ。

そのみりんを、飲用として販売している業者が東京都内にある。有限会社神田豊島屋だ。東京では唯一のみりんの蔵元で(醸造元は豊島屋酒造株式会社)、2021年6月に『Me』という新商品を発売した。

江戸以来の老舗が売り出す「麹のリキュール」である。

鎌倉河岸の十右衛門

「みりんを原料にした白酒は、初代豊島屋十右衛門が女性のために作って売り出しました。時期は恐らく豊島屋の創業からしばらく経った頃、17世紀の初め頃ではないかと思います」

そう語るのは、有限会社神田豊島屋木村倫太郎氏である。

「この時代、酒は男性の飲み物という風潮でした。それを女性にも飲んでもらおう、せめて年に一度は楽しく酔ってもらおうということで、初代は雛祭りの時期に白酒を販売しました。それが大きな評判になって、豊島屋の白酒は江戸の名物となりました」

現在の神田豊島屋のルーツである豊島屋は、元々は職人需要に応えて開店した酒屋である。

神田鎌倉河岸は、江戸の水運拠点だった。「江戸」といっても元禄年間や文化文政年間の光景を想像してはいけない。何もない湿地帯だった頃の、極初期の江戸である。徳川家康は各地から職人と船と建材を集め、江戸を関東の一大都市にしようと計画した。

しかし、職人を呼ぶ以上は彼らの衣食住を整えなければならない。いや、それだけではまだ足りない。腕自慢の職人たちにとって、酒は米と同様の「日常的な食品」だ。鎌倉河岸に酒屋ができるのは、時代の必然である。

「ところが、初代十右衛門という人物は謎に包まれています。どうやら水戸の出身らしい、という程度です。もしかしたら、家康に重用されていたのではないかとも言われていますが……」

そんな初代十右衛門は、上述の通り女性向けの白酒を製造した。みりんベースの酒である。これを雛祭りに合わせて売り出したところ、飛ぶように売れてしまった。職人の男たちの需要に応じて開店した酒屋が、女性層の販路開拓に成功したのだ。

江戸時代にも「ホワイトデー」があった!?

天保年間に刊行された『江戸名所図会』にも、当時の豊島屋がイラスト付きで登場する。

しかも、年に1度の白酒販売日の様子を鳥瞰図という形式で具体的に描いている。

「この絵をご覧ください。これは白酒を買い求める人々の様子ですが、よく見れば男性が多いですよね? 女性のためのお酒なのに、なぜ男性が集まっているのか。ある研究者の方によると、どうやらこれは女性に白酒をプレゼントする意図の男性が集まっているとのことです。今で言うところのホワイトデーですね」

さらに木村氏は、こう続ける。

「そしてこのあたり、豊島屋の店先に急ごしらえの櫓(やぐら)みたいな建物があります。ここから豊島屋の店員が、お客さんに対してちゃんと列に並ぶよう呼びかけたそうです。興奮した人に対して、頭上から水をかけたこともあったとか」

いかにも江戸らしい、にぎやかな光景である。

みりんは貴重な甘味だった

華やかな江戸文化の構築に大貢献した「飲むみりん」は、しかしながら時代の流れと共に忘れられていった。

「ですが、みりんは本来ノンシュガーで、GI値は15しかないんですよ。これ、ひじきと同程度の数値です」

リキュール類には糖類が加えられていることがほとんどだが、『Me』に関してはその限りではない。にもかかわらず、まるで蜂蜜のような甘さが込められている。

いや、待て。この甘さは確かに砂糖のそれではない。現代人の舌は白糖の甘味にすっかり慣れてしまっているから、『Me』のこの味はむしろ新鮮な具合だ。

ここは江戸時代の人々の感覚で考えてみよう。白糖が貴重だった時代、これだけの甘味を発揮する食品はほかにあまりなかったはずだ。筆者は何となく、豊島屋に押し寄せた江戸の男たちの気持ちがわかったような気がした。

週末夜の贅沢

『Me』は神田豊島屋のオンラインストアでも販売されている。

『Me 無濾過生原酒』は2420円、『Me 無濾過生原酒 おりがらみ』は2640円、そして『Me 2種セット』は5060円。週末夜のちょっとした贅沢を味わうには、ちょうどいい価格ではないかと思う。

さて、この記事を書いたら筆者も『Me』を何杯か飲んで、そのまま寝てしまおうか——。

『Me』公式サイト
神田豊島屋オンラインストア

取材・文/澤田真一

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